1. Audio チュートリアル
Audio ライブラリには、オーディオの再生、録音をはじめ様々なサンプルスケッチが用意されています。
Spresense がもつマルチコアの特徴を生かして、音声のエンコード・デコードといったコーデック処理は、ユーザーアプリケーションが動作するメインコアとは別のコア (以降、DSP と呼びます) で実行します。これにより、ユーザーアプリケーションでは特に複雑な制御を必要とせず、簡単に Audio 機能を使ったアプリケーションを開発することができます。
Audio チュートリアルでは、DSP ファイルのインストール方法や、各種サンプルスケッチの動かし方について解説しています。
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再生系
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録音系
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マイクから入力を聞きながら記録する
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音声を加工して出力する
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1.1. DSP ファイルのインストール
サンプルを動作させる際に、再生・録音するフォーマットの形式に合わせて、DSP ファイルを事前にインストールしておく必要があります。ここでは DSP ファイルのインストール方法について示します。
1.1.1. DSP ファイルの種類
DSPファイル名 | DSP インストーラー | 説明 |
---|---|---|
MP3DEC |
mp3_dec_installer |
MP3 オーディオ再生で使用します |
MP3ENC |
mp3_enc_installer |
MP3 オーディオ録音で使用します |
WAVDEC |
wav_dec_installer |
WAV (PCM) オーディオ再生で使用します |
SRC |
src_installer |
WAV(PCM) オーディオ録音で使用します |
1.1.2. DSP インストール方法
DSP のインストール手順は以下の二通りあります。
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DSP ファイルをダウンロードして microSD カードへ直接コピーする方法
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DSP インストーラーのスケッチを用いる方法
microSD カードへインストールする場合は、どちらの方法を使用しても構いません。 DSP インストーラーを使用する場合、拡張ボードの microSD カード以外に、メインボード上の SPI-Flash へインストールすることも可能です。
DSP ファイルのインストール作業は、DSP ファイルの更新が無い限り、一回実行してインストール済みの状態であれば毎回作業する必要はありません。 |
1.1.2.2. DSPインストーラー用いてインストールする方法
DSP インストーラーは、インストールする DSP ファイルごとに用意されています。
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Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → dsp_installer
から起動します。図 2. DSPインストーラーの起動 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、書き込みを実行します。 -
コンパイル&書き込み(Upload)の実行が終わったら、シリアルモニタを起動します。
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ボーレート 115200 bps を選択すると、下図に示すようにメッセージが表示されます。
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インストール先の番号を選択して、送信ボタンを押します。
microSD カードへインストールする場合は、拡張ボード上の microSD カードスロットへ FAT32 フォーマット済みの microSD カードを挿入してください。図 3. DSPインストール先の選択 -
インストールが成功すれば下図に示すメッセージ表示されます。
図 4. DSPインストール実行
オーディオの再生・録音のアプリケーションプログラムにおいて、DSP ファイルがインストールされた場所を initPlayer() 関数、または initRecorder() 関数の引数で指定します。デフォルトは microSD カード(/mnt/sd0/BIN ) が指定されています。SPI-Flash に変更する場合は、/mnt/spif/BIN へ書き換えてください。
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1.2. ハイレベルインターフェース層
Spresense Audioライブラリは、
Audioライブラリの開発ガイド にあるように、レイヤ構造を持持っています。
ハイレベルインターフェース層では、抽象度の高い典型的な機能をシステム全体の整合を取りながら実現しています。
+ 以下に、このハイレベルインターフェース層を利用したサンプルを示します。
1.2.1. ビープ音を鳴らしてみる
1.2.1.1. 概要
このサンプルは、Audio ハードウェアの機能を使用してビープ音を出力します。
Audio ライブラリの setBeep() 関数で、指定した周波数の音を出力します。 Arduino の tone() 関数によく似た機能ですが、圧電ブザー等を用意する必要はありません。 Spresense 拡張ボードのヘッドホン端子から音を出力します。
本サンプルでは、DSP ファイルのインストールは特に必要ありません。
1.2.1.3. 動作手順
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Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → beep
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
ドレミファソラシドの音階がヘッドホンから出力されます。
1.2.1.4. プログラム解説
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setPlayerMode()
関数でプレイヤーモードに設定します。theAudio->setPlayerMode(device, (1) player0bufsize, (2) player1bufsize); (3)
1 device
: スピーカーヘッドホン (AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_SPHP
) へ出力するか、I2S (AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_I2SOUTPUT
) へ出力するか、出力先のデバイスを選択します。
このサンプルではAS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_SPHP
を使用します。
I2S を使用する場合、I2S へ出力するには を参照してください。2 player0bufsize
: プレイヤー0 のバッファサイズを指定します。3 player1bufsize
: プレイヤー1 のバッファサイズを指定します。
詳細は、プレイヤーバッファサイズについて を参照ください。
ビープ音の出力のみであればバッファは使用しないので、このサンプルでは 0 を指定しています。 -
ビープ音の出力は、
setBeep()
関数を使用します。theAudio->setBeep(enable, (1) volume, (2) frequency); (3)
1 enable
に 1 を設定すると Beep 音の出力を開始し、enable に0
が設定されると出力を停止します。2 volume
: 音量を変更することができます (-90 ~ 0 [dB])。3 frequency
: 指定した周波数の音を出力します。
1.2.2. MP3 の音楽を再生する
1.2.2.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
microSD カード
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再生用ヘッドホン or スピーカー
このサンプルでは、microSD カードとヘッドホンを使用します。 拡張ボードのヘッドホン端子にヘッドホンもしくはアクティブスピーカーを接続してください。
1.2.2.3. 動作手順
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MP3デコード用の DSP ファイル
MP3DEC
を microSD カードへインストールします (DSP ファイルのインストール 参照)。 -
再生したい MP3 ファイルを "Sound.mp3" というファイル名で microSD カードのルートディレクトリに置きます。
-
microSD カードを拡張ボードの microSD カードスロットに挿入します。
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Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → player
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
スケッチがアップロードされ実行されると、microSD カードに置いた MP3 ファイルがヘッドホンから再生されます。
ファイルを最後まで再生したら停止します。
1.2.2.4. プログラム解説
-
setRenderingClockMode()
関数でクロックモードを設定します。theAudio->setRenderingClockMode(mode); (1)
1 mode
: ノーマル (AS_CLKMODE_NORMAL
) かハイレゾ (AS_CLKMODE_HIRES
) かクロックモードを選択します。
MP3 再生の場合は、AS_CLKMODE_NORMAL
を指定してください。 -
setPlayerMode()
関数でプレイヤーモードに設定します。theAudio->setPlayerMode(device, (1) sp_drv); (2)
1 device
: スピーカーヘッドホン (AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_SPHP
) へ出力するか、I2S (AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_I2SOUTPUT
) へ出力するか、出力先のデバイスを選択します。
このサンプルではAS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_SPHP
を使用します。
I2S を使用する場合、I2S へ出力するには を参照してください。2 sp_drv
: 出力ドライブを設定します。
このサンプルでは、AS_SP_DRV_MODE_LINEOUT
を指定します。
詳細は、拡張ボードのスピーカー端子を使用する場合 を参照してください。 -
initPlayer()
関数でプレイヤーの初期化を行います。theAudio->initPlayer(id, (1) codec, (2) codec_path, (3) fs, (4) channel); (5)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 codec
: コーデックタイプは MP3 (AS_CODECTYPE_MP3
) を指定します。3 codec_path
: DSP ファイルがインストールされている場所を指定します。
microSD カードの場合は "/mnt/sd0/BIN" を、SPI-Flash の場合は "/mnt/spif/BIN" を指定します。4 fs
: サンプリングレートを指定します。
MP3 では、32kHz (AS_SAMPLINGRATE_32000
), 44.1kHz (AS_SAMPLINGRATE_44100
), 48kHz (AS_SAMPLINGRATE_48000
) をサポートしています。AS_SAMPLINGRATE_AUTO
指定するとサンプリングレートを自動で判定します。5 channel
: モノラル (AS_CHANNEL_MONO
) か ステレオ (AS_CHANNEL_STEREO
) を指定します。 -
writeFrames()
関数で MP3 ファイルの内容をデコーダーへ書き込みます。theAudio->writeFrames(id, (1) myFile); (2)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 引数に指定する myFile により、再生ファイルを変更することできます。
このサンプルでは "Sound.mp3" というファイルを使用します。
デコードが途切れないように定期的にこの関数を実行してデコーダーへストリームを供給します。 ファイルの終わりまで書き込まれたときに関数の戻り値としてAUDIOLIB_ECODE_FILEEND
が返されます。 -
startPlayer()
関数でプレイヤーを開始します。theAudio->startPlayer(id); (1)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。
writeFrames()
関数でデコーダーへ書き込みを行ってから呼び出してください。 -
stopPlayer()
関数でプレイヤーを停止します。theAudio->stopPlayer(id, (1) mode); (2)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 mode
で即座に停止するか (AS_STOPPLAYER_NORMAL
)、デコーダに供給済みのストリームが再生し終わるまで待ってから停止するか (AS_STOPPLAYER_ESEND
) を選択できます。mode
の引数無しで呼び出した場合、AS_STOPPLAYER_NORMAL
で動作します。 -
setVolume(volume)
関数でボリュームの調整を行います。theAudio->setVolume(volume); (1)
1 volume
: 音量を変更できます。(-1020 ~ 120)
指定した値の 1/10 が実際の音量[dB]になります。例えば、15 を指定したときの音量は 1.5 [dB] です。
1.2.2.5. プレイヤーバッファサイズについて
microSD カードからの読み出しに使用するバッファサイズとして、各プレイヤーごとにデフォルトで 160kByte を確保しています。 このサイズは、ハイレゾのWAV音声の読み出しが可能なサイズになっており、48kHzのMP3ファイルなどを再生する場合は setPlayerMode 関数の引数で使用するバッファサイズを削減することができます。 目安としては、192kHzのハイレゾのWAVファイルを再生する場合はデフォルトの 160kByte を、 128kbps程度のMP3ファイルを再生する場合は 24kByte ぐらいに設定することをお勧めします。
サイズに関しては、あくまで目安です。microSD カードの性能、アプリケーションの処理量などに応じて、調整してください。 バッファを小さくしすぎると、microSD カードからの読み出し時にエラーが発生します。読み出しデータのアンダーフローが発生する場合は、バッファサイズを大きくしてください。 |
1.2.2.6. I2S へ出力するには
出力デバイスをI2Sに切り替えたい場合は、 setPlayerMode での出力デバイスを AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_I2SOUTPUT に切り替えてください。 I2Sの動作モードは、Slaveモード、I2Sフォーマットモード、48000Hz、Stereo のみ対応しています。
1.2.2.7. 拡張ボードのスピーカー端子を使用する場合
オーディオ出力先として拡張ボードのヘッドホン端子を用いたラインアウトの場合、Audio 信号のドライブ能力設定として、
setPlayerMode の 引数 sp_drv
に AS_SP_DRV_MODE_LINEOUT
を指定します (デフォルト)。
拡張ボードのスピーカー端子から出力する場合は、引数 sp_drv
に AS_SP_DRV_MODE_4DRIVER
を指定してください。
スピーカー端子を使用する場合はボードの改修が必要です。詳細は以下のハードウェガイドを参照してください。
1.2.3. WAV の音楽を再生する
1.2.3.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
microSD カード
-
再生用ヘッドホン or スピーカー
このサンプルでは、microSD カードとヘッドホンを使用します。 拡張ボードのヘッドホン端子にヘッドホンもしくはアクティブスピーカーを接続してください。
1.2.3.3. 動作手順
-
WAV デコード用の DSP ファイル
WAVDEC
を microSD カードへインストールします (DSP ファイルのインストール 参照)。 -
再生したい WAV ファイルを "Sound.wav" というファイル名で microSD カードのルートディレクトリに置きます。
-
microSD カードを拡張ボードの microSD カードスロットに挿入します。
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → player_wav
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
スケッチがアップロードされ実行されると、microSD カードに置いた WAV ファイルがヘッドホンから再生されます。
ファイルを最後まで再生したら停止します。
1.2.3.4. プログラム解説
-
setRenderingClockMode()
関数でクロックモードを設定します。theAudio->setRenderingClockMode(mode); (1)
1 mode: ノーマル ( AS_CLKMODE_NORMAL
) かハイレゾ (AS_CLKMODE_HIRES
) かクロックモードを選択します。
このサンプルではAS_CLKMODE_NORMAL
を使用します。
この関数は、setPlayerMode()
を呼び出す前か、ReadyMode の状態でのみ受け付けます。
ノーマルとハイレゾとを動的に切り替える場合は、setReadyMode()
を呼び出し Ready 状態に遷移させてからAS_CLKMODE_NORMAL
orAS_CLKMODE_HIRES
を切り替えてください。 -
setPlayerMode()
関数でプレイヤーモードに設定します。theAudio->setPlayerMode(device, (1) sp_drv); (2)
1 device
: スピーカーヘッドホン (AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_SPHP
) へ出力するか、I2S (AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_I2SOUTPUT
) へ出力するか、出力先のデバイスを選択します。
このサンプルではAS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_SPHP
を使用します。
I2S を使用する場合、I2S へ出力するには を参照してください。2 sp_drv
: 出力ドライブを設定します。
このサンプルでは、AS_SP_DRV_MODE_LINEOUT
を指定します。
詳細は、拡張ボードのスピーカー端子を使用する場合 を参照してください。 -
initPlayer()
関数でプレイヤーの初期化を行います。theAudio->initPlayer(id, (1) codec, (2) codec_path, (3) fs, (4) channel); (5)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 codec
: コーデックタイプは WAV (AS_CODECTYPE_WAV
) を指定します。3 codec_path
: DSP ファイルがインストールされている場所を指定します。
microSD カードの場合は "/mnt/sd0/BIN" を、SPI-Flash の場合は "/mnt/spif/BIN" を指定します。4 fs
: サンプリングレートを指定します。5 channel
: モノラル (AS_CHANNEL_MONO
) か ステレオ (AS_CHANNEL_STEREO
) を指定します。
このサンプルでは、はじめに WAV フォーマットを解析して、サンプリングレートやチャンネル情報を取得しています。 -
writeFrames()
関数で WAV ファイルの内容をデコーダーへ書き込みます。theAudio->writeFrames(id, (1) data, (2) write_size);
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 microSD から読み出すファイルを変更することで、再生ファイルを変更することができます。
このサンプルでは "Sound.wav" というファイルから読み出したバッファを指定しています。
デコードが途切れないように定期的にこの関数を実行してデコーダーへストリームを供給します。 -
startPlayer()
関数でプレイヤーを開始します。theAudio->startPlayer(id); (1)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。
writeFrames()
関数でデコーダーへ書き込みを行ってから呼び出してください。 -
stopPlayer()
関数でプレイヤーを停止します。theAudio->stopPlayer(id, (1) mode); (2)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 mode
で即座に停止するか (AS_STOPPLAYER_NORMAL
)、デコーダに供給済みのストリームが再生し終わるまで待ってから停止するか (AS_STOPPLAYER_ESEND
) を選択できます。mode
の引数無しで呼び出した場合、AS_STOPPLAYER_NORMAL
で動作します。 -
setVolume(volume)
関数でボリュームの調整を行います。theAudio->setVolume(volume); (1)
1 volume
: 音量を変更できます。(-1020 ~ 120)
指定した値の 1/10 が実際の音量[dB]になります。例えば、15 を指定したときの音量は 1.5 [dB] です。
1.2.4. ハイレゾオーディオを再生する
1.2.4.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
microSD カード
-
再生用ヘッドホン or スピーカー
このサンプルでは、microSD カードとヘッドホンを使用します。 拡張ボードのヘッドホン端子にヘッドホンもしくはアクティブスピーカーを接続してください。
1.2.4.3. 動作手順
-
WAV デコード用の DSP ファイル
WAVDEC
を microSD カードへインストールします (DSP ファイルのインストール 参照)。 -
再生したい WAV ファイルを "HiResSound.wav" というファイル名で microSD カードのルートディレクトリに置きます。
-
microSD カードを拡張ボードの microSD カードスロットに挿入します。
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → player_hires
を選択してサンプルスケッチを起動します。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
スケッチがアップロードされ実行されると、microSD カードに置いたハイレゾ WAV ファイルがヘッドホンから再生されます。
ファイルを最後まで再生したら停止します。
1.2.4.4. プログラム解説
-
setRenderingClockMode()
関数でクロックモードを設定します。theAudio->setRenderingClockMode(mode); (1)
1 mode: ノーマル ( AS_CLKMODE_NORMAL
) かハイレゾ (AS_CLKMODE_HIRES
) かクロックモードを選択します。
このサンプルではAS_CLKMODE_HIRES
を使用します。
この関数は、setPlayerMode()
を呼び出す前、ReadyMode の状態でのみ受け付けます。
ノーマルとハイレゾとを動的に切り替える場合は、setReadyMode()
を呼び出し Ready 状態に遷移させてからAS_CLKMODE_NORMAL
orAS_CLKMODE_HIRES
を切り替えてください。 -
setPlayerMode()
関数でプレイヤーモードに設定します。theAudio->setPlayerMode(device, (1) sp_drv); (2)
1 device
: スピーカーヘッドホン (AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_SPHP
) へ出力するか、I2S (AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_I2SOUTPUT
) へ出力するか、出力先のデバイスを選択します。
このサンプルではAS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_SPHP
を使用します。
I2S を使用する場合、I2S へ出力するには を参照してください。2 sp_drv
: 出力ドライブを設定します。
このサンプルでは、AS_SP_DRV_MODE_LINEOUT
を指定します。
詳細は、拡張ボードのスピーカー端子を使用する場合 を参照してください。 -
initPlayer()
関数でプレイヤーの初期化を行います。theAudio->initPlayer(id, (1) codec, (2) codec_path, (3) fs, (4) bitlen, (5) channel); (6)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 codec
: コーデックタイプは WAV (AS_CODECTYPE_WAV
) を指定します。3 codec_path
: DSP ファイルがインストールされている場所を指定します。
microSD カードの場合は "/mnt/sd0/BIN" を、SPI-Flash の場合は "/mnt/spif/BIN" を指定します。4 fs
: サンプリングレートを指定します。
このサンプルでは 96kHz (AS_SAMPLINGRATE_96000
) を指定しています。5 bitlen
: ビット長を指定します。
このサンプルでは 24bit (AS_BITLENGTH_24
) を指定しています。6 channel
: モノラル (AS_CHANNEL_MONO
) か ステレオ (AS_CHANNEL_STEREO
) を指定します。
-
writeFrames()
関数で WAV ファイルから読み出した内容をデコーダーへ書き込みます。theAudio->writeFrames(id, (1) myFile); (2)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 引数に指定する myFile により、再生ファイルを変更することできます。
このサンプルでは "HiResSound.wav" というファイルを使用します。
デコードが途切れないように定期的にこの関数を実行してデコーダーへストリームを供給します。 ファイルの終わりまで書き込まれたときに関数の戻り値としてAUDIOLIB_ECODE_FILEEND
が返されます。 -
startPlayer()
関数でプレイヤーを開始します。theAudio->startPlayer(id); (1)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。
writeFrames()
関数でデコーダーへ書き込みを行ってから呼び出してください。 -
stopPlayer()
関数でプレイヤーを停止します。theAudio->stopPlayer(id, (1) mode); (2)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 mode
で即座に停止するか (AS_STOPPLAYER_NORMAL
)、デコーダに供給済みのストリームが再生し終わるまで待ってから停止するか (AS_STOPPLAYER_ESEND
) を選択できます。mode
の引数無しで呼び出した場合、AS_STOPPLAYER_NORMAL
で動作します。 -
setVolume(volume)
関数でボリュームの調整を行います。theAudio->setVolume(volume); (1)
1 volume
: 音量を変更できます。(-102 ~ 120 [dB])
volume には 10 倍した整数値、例えば、1.5 [dB] の場合は 15 を指定します。
1.2.5. プレイリスト再生
1.2.5.1. 概要
このサンプルは、プレイリスト (playlist) を使用して音楽を再生するためのサンプルスケッチです。
microSD カードに入れた複数の音楽ファイルを順番に再生していきます。 再生、停止、次の曲へ送る、戻す、リピート再生やランダム再生といった操作を行うことができます。
1.2.5.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
microSD カード
-
再生用ヘッドホン or スピーカー
このサンプルでは、microSD カードとヘッドホンを使用します。 拡張ボードのヘッドホン端子にヘッドホンもしくはアクティブスピーカーを接続してください。
1.2.5.3. 動作手順
プレイリスト機能を使用するためには、PC 等で事前にプレイリストファイルを作成して microSD カードにコピーしておく必要があります。 本サンプルスケッチが使用する microSD カードのディレクトリ構成を以下に示します。
microSD カードルートディレクトリ
|-- BIN/
| |-- MP3DEC
| `-- WAVDEC
|-- AUDIO/
| |-- Sound1.mp3
| |-- Sound2.mp3
| |-- :
| |-- Sound1.wav
| |-- Sound2.wav
| |-- :
`-- PLAYLIST/
`-- TRACK_DB.CSV
-
BIN/ ディレクトリに、
MP3DEC
やWAVDEC
の DSP バイナリファイルをインストールします (DSP ファイルのインストール 参照)。 -
AUDIO/ ディレクトリに、プレイリストで再生する音楽コンテンツファイルをコピーします。
-
PLAYLIST/ ディレクトリに、プレイリストファイル (
TRACK_DB.CSV
) をコピーします。
プレイリストファイルの作成方法
プレイリストファイル TRACK_DB.CSV
のフォーマットを以下に示します。
各ファイルの情報が行単位で書かれた CSV (comma-separated values) 形式のテキストファイルです。
[filename],[artist],[album],[channel number],[bit length],[sampling rate],[file format]
[filename],[artist],[album],[channel number],[bit length],[sampling rate],[file format]
[filename],[artist],[album],[channel number],[bit length],[sampling rate],[file format]
:
音楽コンテンツのファイル名、アーティスト名、アルバム名や、コーデック情報(チャンネル数、ビット長、サンプリングレートHz)を記述してください。
TRACK_DB.CSV
の例を以下に示します。
Sound1.mp3,Artist1,Album1,2,16,44100,mp3
Sound2.mp3,Artist1,Album1,2,16,44100,mp3
Sound1.wav,Artist2,Album2,2,16,48000,wav
Sound2.wav,Artist2,Album2,2,24,192000,wav
また、プレイリストファイルを作成するための簡単なスクリプトツール mkplaylist.py を提供しています。 こちら を右クリックしてファイルをダウンロードしてお使いください。 このスクリプトは ffmpeg-python を使用しているため、ffmpeg 及び ffmpeg-python をインストール済みの環境でご利用ください。
mkplaylist.py の使用方法を以下に示します。
python mkplaylist.py
usage: python mkplaylist.py dirname [dirname2] [dirname3] ...
usage: python mkplaylist.py -f filename
Generate an audio playlist file named as TRACK_DB.CSV
引数に音楽ファイルを含むディレクトリパスを指定して実行してください。 正常に実行を完了すると、TRACK_DB.CSV ファイルがカレントディレクトリに出力されます。 既に TRACK_DB.CSV ファイルが存在する場合はファイルの末尾に追加されます。
python mkplaylist.py MyMusic
|
-
microSD カードを拡張ボードの microSD カードスロットに挿入します。
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → play_playlist
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
シリアルモニタを起動すると次のようなメニューが表示されます。シリアルからのキー入力にしたがって各種の動作を行います。
=== MENU (input key ?) ============== p: play s: stop +/-: volume up/down l: list n: next b: back r: repeat on/off R: random on/off a: auto play m,h,?: menu =====================================
EEPROM ライブラリを使用して、volume 値, random / repeat / auto play 等の設定情報を不揮発メモリに保存しています。 次回起動時に、前回プリセットされた情報をもとに動作するというサンプルアプリケーションになっています。 オリジナルのミュージックプレイヤーを作成する際に参考にしてください。 |
1.2.6. MP3 デュアルデコード再生
1.2.6.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
microSD カード
-
再生用ヘッドホン or スピーカー
このサンプルでは、microSD カードとヘッドホンを使用します。 拡張ボードのヘッドホン端子にヘッドホンもしくはアクティブスピーカーを接続してください。
1.2.6.3. 動作手順
-
MP3デコード用の DSP ファイル
MP3DEC
を microSD カードへインストールします (DSP ファイルのインストール 参照)。 -
再生したい 2 つの MP3 ファイルを "Sound0.mp3", "Sound1.mp3" というファイル名で microSD カードのルートディレクトリに置きます。
-
microSD カードを拡張ボードの microSD カードスロットに挿入します。
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → dual_players
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
スケッチがアップロードされ実行されると、microSD カードに置いた 2 つの MP3 ファイルが同時にミックスされてヘッドホンから再生されます。それぞれのファイルを繰り返し再生します。
1.2.6.4. プログラム解説
-
setRenderingClockMode()
関数でクロックモードを設定します。theAudio->setRenderingClockMode(mode); (1)
1 mode: ノーマル ( AS_CLKMODE_NORMAL
) かハイレゾ (AS_CLKMODE_HIRES
) かクロックモードを選択します。
MP3 再生の場合は、AS_CLKMODE_NORMAL
を指定してください。 -
setPlayerMode()
関数でプレイヤーモードに設定します。theAudio->setPlayerMode(device, (1) sp_drv); (2)
1 device
: スピーカーヘッドホン (AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_SPHP
) へ出力するか、I2S (AS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_I2SOUTPUT
) へ出力するか、出力先のデバイスを選択します。
このサンプルではAS_SETPLAYER_OUTPUTDEVICE_SPHP
を使用します。
I2S を使用する場合、I2S へ出力するには を参照してください。2 sp_drv
: 出力ドライブを設定します。
このサンプルでは、AS_SP_DRV_MODE_LINEOUT
を指定します。
詳細は、拡張ボードのスピーカー端子を使用する場合 を参照してください。 -
プレイヤー0, 1 それぞれに対して
initPlayer()
関数でプレイヤーの初期化を行います。theAudio->initPlayer(id, (1) codec, (2) codec_path, (3) fs, (4) channel); (5)
1 id
: Player ID を選択します。
一つはAudioClass::Player0
を指定し、もう一つはAudioClass::Player1
を指定します。2 codec
: コーデックタイプは MP3 (AS_CODECTYPE_MP3
) を指定します。3 codec_path
: DSP ファイルがインストールされている場所を指定します。
microSD カードの場合は "/mnt/sd0/BIN" を、SPI-Flash の場合は "/mnt/spif/BIN" を指定します。4 fs
: サンプリングレートを指定します。
MP3 では、32kHz (AS_SAMPLINGRATE_32000
), 44.1kHz (AS_SAMPLINGRATE_44100
), 48kHz (AS_SAMPLINGRATE_48000
) をサポートしています。AS_SAMPLINGRATE_AUTO
指定するとサンプリングレートを自動で判定します。5 channel
: モノラル (AS_CHANNEL_MONO
) か ステレオ (AS_CHANNEL_STEREO
) を指定します。 -
プレイヤー0, 1 それぞれに対して
writeFrames()
関数で MP3 ファイルの内容をデコーダーへ書き込みます。theAudio->writeFrames(id, (1) myFile); (2)
1 id
: Player ID を選択します。
一つはAudioClass::Player0
を指定し、もう一つはAudioClass::Player1
を指定します。2 引数に指定する myFile により、再生ファイルを変更することできます。
このサンプルでは "Sound0.mp3", "Sound1.mp3" というファイルを使用します。
デコードが途切れないように定期的にこの関数を実行してデコーダーへストリームを供給します。 ファイルの終わりまで書き込まれたときに関数の戻り値としてAUDIOLIB_ECODE_FILEEND
が返されます。 -
プレイヤー0, 1 それぞれに対して
startPlayer()
関数でプレイヤーを開始します。theAudio->startPlayer(id); (1)
1 id
: Player ID を選択します。
一つはAudioClass::Player0
を指定し、もう一つはAudioClass::Player1
を指定します。
writeFrames()
関数でデコーダーへ書き込みを行ってから呼び出してください。 -
プレイヤー0, 1 それぞれに対して
stopPlayer()
関数でプレイヤーを停止します。theAudio->stopPlayer(id, (1) mode); (2)
1 id
: Player ID を選択します。
一つはAudioClass::Player0
を指定し、もう一つはAudioClass::Player1
を指定します。2 mode
で即座に停止するか (AS_STOPPLAYER_NORMAL
)、デコーダに供給済みのストリームが再生し終わるまで待ってから停止するか (AS_STOPPLAYER_ESEND
) を選択できます。mode
の引数無しで呼び出した場合、AS_STOPPLAYER_NORMAL
で動作します。 -
setVolume(master, player0, player1)
関数でボリュームの調整を行います。theAudio->setVolume(master, (1) player0, (2) player1); (3)
1 master
: プレイヤー0,1 の両方に対する音量を変更できます。(-1020 ~ 120)2 player0
でプレイヤー0 に対する音量を変更できます。(-1020 ~ 120)3 player1
でプレイヤー1 に対する音量を変更できます。(-1020 ~ 120)
指定した値の 1/10 が実際の音量[dB]になります。例えば、15 を指定したときの音量は 1.5 [dB] です。master
で全体の音量、player0
,player1
で個別の音量を調整することができます。
1.2.7. マイクから入力された音を聞く
1.2.7.1. 概要
マイクから入力された音をヘッドホン端子から出力します。
Audio HWがもつパス設定機能を使用して、例えば、I2Sから入力されたデジタル音声をアナログに出力したり、 マイクからの入力をI2Sに出力するなど、省電力且つ非常にレイテンシの少ない出力機構を実現することができます。
1.2.7.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
再生用ヘッドホン or スピーカー
-
録音用マイク
このサンプルでは、ヘッドホン、マイクを使用します。 拡張ボードのヘッドホン端子にヘッドホンもしくはアクティブスピーカーを接続してください。 マイクの接続については、以下のハードウェアガイドを参照してください。
本サンプルでは、DSP ファイルのインストールは特に必要ありません。
1.2.7.3. 動作手順
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → through
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
サンプルスケッチは I2S から入力された音声をヘッドホン端子に出力します。
ここではスケッチを変更して、マイクから入力された音声をヘッドホン端子へ出力するように変更します。
ファイル → 名前を付けて保存
して編集可能な場所へ保存します。 -
setThroughMode()
関数の引数input
をAudioClass::I2sIn
からAudioClass::MicIn
へ変更して保存します。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
スケッチがアップロードされ実行されると、マイクから入力された音がヘッドホンから聞こえます。
1.2.7.4. プログラム解説
-
スルーモードの設定は、
setThroughMode()
関数を使用します。theAudio->setThroughMode(input, (1) i2s_out, (2) sp_out, (3) input_gain, (4) sp_drv); (5)
1 input
で入力系統を選択します。2 i2s_out
で I2S へ出力するソースを選択します。3 sp_out
でヘッドホンスピーカーに出力するかどうかを選択します。
例えば、マイクから入力された音声を I2S へ出力したい場合は、
input
にAudioClass::MicIn
を指定、
i2s_out
にAudioClass::Mic
を指定、
sp_out
にfalse
を指定します。4 input_gain
でマイクのゲインを設定できます。
アナログマイクの場合は、0 ~ 21 [dB]、デジタルマイクの場合、-78.5 ~ 0 [dB] が設定できる範囲です。
アナログマイクの場合は、input_gain に 10倍した整数値、例えば 10 [dB] を設定するときは 100 を指定します。
デジタルマイクの場合は、input_gain に 100倍した整数値、例えば -0.05 [dB] を設定するときは 5 を指定します。5 sp_drv
については、拡張ボードのスピーカー端子を使用する場合 を参照してください。
1.2.8. MP3 形式で録音する
1.2.8.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
microSD カード
-
録音用マイク
このサンプルでは、microSD カードとマイクを使用します。 マイクの接続については、以下のハードウェアガイドを参照してください。
1.2.8.3. 動作手順
-
MP3 エンコード用の DSP ファイル
MP3ENC
を microSD カードへインストールします (DSP ファイルのインストール 参照)。 -
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → recorder
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
スケッチがアップロードされ実行されると、録音が開始され、一定時間で録音を停止します。
-
録音されたデータは "Sound.mp3" というファイル名で microSD カードに保存されています。
microSD カードを取り出して、PC 上で録音されたデータを確認してみてください。
1.2.8.4. プログラム解説
-
setRecorderMode()
関数でレコーダーモードに設定します。theAudio->setRecorderMode(input_device, (1) input_gain, (2) bufsize, (3) is_digital); (4)
1 input_device
: 入力デバイスとしてマイク (AS_SETRECDR_STS_INPUTDEVICE_MIC
) からの入力を指定します。2 input_gain
: マイクのゲインを設定できます。
アナログマイクの場合は、0 ~ 21 [dB]、デジタルマイクの場合、-78.5 ~ 0 [dB] が設定できる範囲です。
アナログマイクの場合は、input_gain に 10倍した整数値、例えば 10 [dB] を設定するときは 100 を指定します。
デジタルマイクの場合は、input_gain に 100倍した整数値、例えば -0.05 [dB] を設定するときは 5 を指定します。3 bufsize
: レコーダーのバッファサイズを指定します。
詳細は、レコーダーバッファサイズについて を参照ください。4 接続しているマイクがデジタルマイクであった場合は引数 is_digital
にtrue
を指定します。 -
initRecorder()
関数でレコーダーの初期化を行います。theAudio->initRecorder(codec, (1) codec_path, (2) fs, (3) channel); (4)
1 codec
のコーデックタイプは MP3 (AS_CODECTYPE_MP3
) を指定します。2 codec_path
で DSP ファイルがインストールされている場所を指定します。
microSD カードの場合は "/mnt/sd0/BIN" を、SPI-Flash の場合は "/mnt/spif/BIN" を指定します。3 fs
でサンプリングレートを指定します。
MP3 では、32kHz (AS_SAMPLINGRATE_32000
), 44.1kHz (AS_SAMPLINGRATE_44100
), 48kHz (AS_SAMPLINGRATE_48000
) をサポートしています。4 channel
: モノラル (AS_CHANNEL_MONO
) か ステレオ (AS_CHANNEL_STEREO
) を指定します。 -
readFrames()
関数でファイルへ記録するために MP3 エンコードされたデータを読み出します。theAudio->readFrames(myFile); (1)
1 指定する myFile により、記録するファイルを変更できます。
このサンプルでは "Sound.mp3" というファイルを使用します。
エンコードバッファが溢れないように定期的にこの関数を実行してエンコード結果を読み出します。 -
startRecorder()
関数でレコーダーを開始します。 -
stopRecorder()
関数でレコーダーを停止します。
1.2.8.5. レコーダーバッファサイズについて
microSD カードへの書き込みに使用するバッファサイズとして、デフォルトで 160kByte を確保しています。 このサイズは、ハイレゾのWAV音声の書き込みが可能なサイズになっており、48kHzのMP3ファイルなどを再生する場合はメモリを余計に消費しています。 このため、48kHzのMP3ファイルを記録する場合は setRecorderMode で、使用するバッファサイズを変更することができます。 目安としては、192kHzのハイレゾのWAVファイルを再生する場合は、デフォルトの 160kByte を、 48kHzのMP3ファイルを記録する場合は、8kByte ぐらいに設定することをお勧めします。
サイズに関しては、あくまで目安です。microSD カードの性能、アプリケーションの処理量などに応じて、調整してください。 バッファを小さくしすぎると、microSD カードへの書き込み時にエラーが発生します。オーバーフローが発生する場合は、バッファサイズを大きくしてください。 |
音声取得ができたとしても、microSD カードの書き込み性能と動作しているアプリケーションなどの要因で、すべてのデータを書き込むことができない可能性があります。 現在の拡張ボードの場合、目安として、8ch/48kHz か、2ch/192kHzが限界になります。 また、microSD カードのスピードクラスにも依存するので、できる限り転送速度の速いものをお使いください。 |
1.2.9. WAV 形式で録音する
1.2.9.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
microSD カード
-
録音用マイク
このサンプルでは、microSD カードとマイクを使用します。 マイクの接続については、以下のハードウェアガイドを参照してください。
1.2.9.3. 動作手順
-
WAV(PCM) エンコード用の DSP ファイル
SRC
を microSD カードへインストールします (DSP ファイルのインストール 参照)。 -
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → recorder_wav
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
スケッチがアップロードされ実行されると、録音が開始され、一定時間で録音を停止します。
-
録音したデータは "Sound.wav" というファイル名で microSD カードに保存されています。
microSD カードを取り出して、PC 上で録音されたデータを確認してみてください。
1.2.9.4. プログラム解説
-
setRecorderMode()
関数でレコーダーモードに設定します。theAudio->setRecorderMode(input_device, (1) input_gain, (2) bufsize, (3) is_digital); (4)
1 input_device
: 入力デバイスとしてマイク (AS_SETRECDR_STS_INPUTDEVICE_MIC
) からの入力を指定します。2 input_gain
: マイクのゲインを設定できます。
アナログマイクの場合は、0 ~ 21 [dB]、デジタルマイクの場合、-78.5 ~ 0 [dB] が設定できる範囲です。
アナログマイクの場合は、input_gain に 10倍した整数値、例えば 10 [dB] を設定するときは 100 を指定します。
デジタルマイクの場合は、input_gain に 100倍した整数値、例えば -0.05 [dB] を設定するときは 5 を指定します。3 bufsize
: レコーダーのバッファサイズを指定します。
詳細は、レコーダーバッファサイズについて を参照ください。4 接続しているマイクがデジタルマイクであった場合は引数 is_digital
にtrue
を指定します。
※ハイレゾ (192kHz) での記録を行う場合は、setRecorderMode()
関数を呼び出す前に、setRenderingClockMode()
関数でAS_CLKMODE_HIRES
を指定する必要があります。 -
initRecorder()
関数でレコーダーの初期化を行います。theAudio->initRecorder(codec, (1) codec_path, (2) fs, (3) channel); (4)
1 codec
のコーデックタイプは WAV (AS_CODECTYPE_WAV
) を指定します。2 codec_path
で DSP ファイルがインストールされている場所を指定します。
microSD カードの場合は "/mnt/sd0/BIN" を、SPI-Flash の場合は "/mnt/spif/BIN" を指定します。3 fs
でサンプリングレートを指定します。4 channel
でチャンネル数を指定します。
※ハイレゾ (192kHz, 24bit) での記録を行う場合は、fs
にAS_SAMPLINGRATE_192000
、bitlen
にAS_BITLENGTH_24
を指定します。 -
WAVファイルを記録する場合、音声記録実行前に、
writeWavHeader()
関数を呼び出してWAVヘッダを作成します。theAudio->writeWavHeader(myFile); (1)
1 記録するファイルを指定します。
このサンプルでは "Sound.wav" というファイルを使用します。 -
readFrames()
関数でファイルへ記録するために WAV(PCM) エンコードされたデータを読み出します。theAudio->readFrames(myFile); (1)
1 指定する myFile により、記録するファイルを変更できます。
このサンプルでは "Sound.wav" というファイルを使用します。
エンコードバッファが溢れないように定期的にこの関数を実行してエンコード結果を読み出します。 -
startRecorder()
関数でレコーダーを開始します。 -
stopRecorder()
関数でレコーダーを停止します。
1.2.10. PCM データを取り出す
1.2.10.1. 概要
マイクから入力された PCM データをキャプチャします。
このサンプルでは PCM データの先頭を表示しているだけですが、このサンプルを応用することで、PCM 生データの周波数解析処理や各種フィルタなどの信号処理を行うことができます。
1.2.10.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
録音用マイク
このサンプルでは、マイクを使用します。 マイクの接続については、以下のハードウェアガイドを参照してください。
本サンプルでは、DSP ファイルのインストールは特に必要ありません。
1.2.10.3. 動作手順
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → pcm_capture
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
サンプルスケッチはマイクから入力された音声を PCM データとして取り出します。
-
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
シリアルモニタを起動すると、マイクから入力された音声の PCM データが表示されます。
1.2.10.4. プログラム解説
-
initRecorder()
関数でレコーダーの初期化を行います。theAudio->initRecorder(codec, (1) codec_path, (2) fs, (3) channel); (4)
1 codec
のコーデックタイプは PCM (AS_CODECTYPE_PCM
) を指定します。2 codec_path
で DSP ファイルがインストールされている場所を指定します。
microSD カードの場合は "/mnt/sd0/BIN" を、SPI-Flash の場合は "/mnt/spif/BIN" を指定します。3 fs
でサンプリングレートを指定します。
48kHz (AS_SAMPLINGRATE_48000
) の場合、DSP ファイルのインストールは不要になります。4 channel
でチャンネル数を指定します。
このサンプルでは、AS_CHANNEL_4CH
を指定しています。 -
readFrames()
関数で PCM データを読み出します。theAudio->readFrames(p_buffer, (1) buffer_size, (2) read_size); (3)
1 p_buffer
へ PCM データを読み出します。2 読み出すサイズを指定します。 3 実際に読み出されたサイズが返ってきます。
キャプチャバッファが溢れないように定期的にこの関数を実行して PCM データを読み出します。
1.2.11. 録音と再生を繰り返す
1.2.11.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
microSD カード
-
再生用ヘッドホン or スピーカー
-
録音用マイク
このサンプルでは、microSD カードとヘッドホンを使用します。 拡張ボードのヘッドホン端子にヘッドホンもしくはアクティブスピーカーを接続してください。 マイクの接続については、以下のハードウェアガイドを参照してください。
1.2.11.3. 動作手順
-
MP3デコード用の DSP ファイル
MP3ENC
,MP3DEC
を microSD カードへインストールします (DSP ファイルのインストール 参照)。 -
microSD カードを拡張ボードの microSD カードスロットに挿入します。
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → rec_play
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
スケッチがアップロードされ実行されると、約 20 秒の周期で、マイクからの音声を記録し、録音されたデータを再生します。
録音と再生を 5 回繰り返した後に終了します。
1.3. オブジェクトインターフェース層
Spresense Audioライブラリは、
Audioライブラリの開発ガイド にあるように、レイヤ構造を持っています。
オブジェクトインターフェース層では、ハイレベルインターフェース層で実現できないような機能の組み合わせを実現できます。
以下に、このオブジェクトインターフェース層のサンプルを示します。
1.3.1. MP3 の音楽を再生する
1.3.1.1. 概要
microSD カードにある MP3 音楽ファイルを再生するサンプルです。
本サンプルはハイレベルインターフェースの MP3の音楽を再生する と機能としては同じサンプルになります。
1.3.1.2. 動作環境 及び 動作手順
スケッチは、Arduino IDE 上から ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → player_objif
を選択することで可能です。
+ 動作環境 及び 動作手順 の詳細は、MP3の音楽を再生する をご覧ください。
1.3.1.3. プログラム解説
-
createStaticPools()
共有メモリのレイアウトを設定します。initMemoryPools(); createStaticPools(no); (1)
1 no
: レイアウト番号を指定します。本サンプルでは、再生機能用レイアウト (MEM_LAYOUT_PLAYER
) を指定してください。 -
各Audioライブラリの生成と初期化します。
theMixer->begin(); (1) thePlayer->begin(); (2) thePlayer->create( (3) id, (4) attention_cb); (5) theMixer->create( (6) attention_cb); (5) thePlayer->activate( (7) id, (4) mediaplayer_done_callback); (8) theMixer->activate( (9) OutputMixer0, (10) HPOutputDevice, (11) outputmixer_done_callback); (12)
1 theMixer→begin
MixerのAudio HWブロックの初期化及び電源投入などを行います。
※以前の `theMixer→activateBaseband`です。2 thePlayer→begin
Playerの初期化を行います。
※Compatibility維持のため呼ばなくても動作します。3 thePlayer→create
Playerのソフトウェアモジュールの生成・初期化をおこないます。4 id
: PlayerのIDを指定します。Spresense では、再生は2本まで同時に行えます。MediaPlayer::Player0
かMediaPlayer::Player1
が指定できます。5 attention_cb
: 各モジュールから通知されるエラー・ワーニング用のコールバックです。エラー処理を実装してください。6 theMixer→create
Mixerのソフトウェアモジュールの生成・初期化をおこないます。7 thePlayer→activate
Playerの再生動作モードの設定を行います8 mediaplayer_done_callback
: 各モジュールから通知されるエラー・ワーニング用のコールバックです。エラー処理を実装してください。9 theMixer→activate
Mixerの発音動作モードの設定を行います10 OutputMixer0
: MixerのIDを指定します。Playerと同じIDにしてください。11 HPOutputDevice
: 出力先の設定を行います。HPOutputDevice
はアナログ出力になります。I2SOutputDevice
はI2S出力になります。12 outputmixer_done_callback
: Mixerにイベントを発行した際の結果通知用コールバックです。 -
setRenderingClockMode()
関数で発音のクロックモードを設定します。theMixer->setRenderingClkMode(mode); (1)
1 mode
: ノーマル (OUTPUTMIXER_RNDCLK_NORMAL
) かハイレゾ (OUTPUTMIXER_RNDCLK_HIRES
) かクロックモードを選択します。
MP3 再生の場合は、OUTPUTMIXER_RNDCLK_NORMAL
を指定してください。 -
Playerライブラリの初期化します。
thePlayer->initPlayer(id, (1) codec, (2) codec_path, (3) fs, (4) channel); (5)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 codec
: コーデックタイプは MP3 (AS_CODECTYPE_MP3
) を指定します。3 codec_path
: DSP ファイルがインストールされている場所を指定します。
microSD カードの場合は "/mnt/sd0/BIN" を、SPI-Flash の場合は "/mnt/spif/BIN" を指定します。4 fs
: サンプリングレートを指定します。
MP3 では、32kHz (AS_SAMPLINGRATE_32000
), 44.1kHz (AS_SAMPLINGRATE_44100
), 48kHz (AS_SAMPLINGRATE_48000
) をサポートしています。AS_SAMPLINGRATE_AUTO
指定するとサンプリングレートを自動で判定します。5 channel
: モノラル (AS_CHANNEL_MONO
) か ステレオ (AS_CHANNEL_STEREO
) を指定します。 -
writeFrames()
関数で MP3 ファイルの内容をデコーダーへ書き込みます。thePlayer->writeFrames(id, (1) myFile); (2)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 引数に指定する myFile により、再生ファイルを変更することできます。
このサンプルでは "Sound.mp3" というファイルを使用します。
デコードが途切れないように定期的にこの関数を実行してデコーダーへストリームを供給します。 ファイルの終わりまで書き込まれたときに関数の戻り値としてAUDIOLIB_ECODE_FILEEND
が返されます。 -
setVolume(volume)
関数でボリュームの調整を行います。thePlayer->setVolume(volume); (1)
1 volume
: 音量を変更できます。(-1020 ~ 120)
指定した値の 1/10 が実際の音量[dB]になります。例えば、15 を指定したときの音量は 1.5 [dB] です。 -
startPlayer()
関数でプレイヤーを開始します。thePlayer->startPlayer(id, (1) mediaplayer_decode_callback (2) );
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。
writeFrames()
関数でデコーダーへ書き込みを行ってから呼び出してください。2 mediaplayer_decode_callback
: Decodeフレーム単位で呼び出されるcallbackになります。 callback内で、Mixerへのデータ(AsPcmDataParam
)の転送をする必要があります。下記のコードを実装してください。
theMixer->sendData(OutputMixer0, outmixer_send_callback, pcm_param);
このcallbackで、Mixerへの転送前に出力すべきPCMをMixerへ送信側前に加工することが可能です。 |
-
stopPlayer()
関数でプレイヤーを停止します。thePlayer->stopPlayer(id, (1) mode); (2)
1 id
: Player ID を選択します。
このサンプルではAudioClass::Player0
を使用しています。2 mode
で即座に停止するか (AS_STOPPLAYER_NORMAL
)、デコーダに供給済みのストリームが再生し終わるまで待ってから停止するか (AS_STOPPLAYER_ESEND
) を選択できます。mode
の引数無しで呼び出した場合、AS_STOPPLAYER_NORMAL
で動作します。
1.3.1.4. プレイヤーバッファサイズについて
詳細は、MP3の音楽を再生する をご覧ください。
1.3.1.5. I2S へ出力するには
詳細は、MP3の音楽を再生する をご覧ください。
1.3.1.6. 拡張ボードのスピーカー端子を使用する場合
詳細は、MP3の音楽を再生する をご覧ください。
1.3.2. MP3 デュアルデコード再生
1.3.2.1. 概要
microSD カードにある 2 つの MP3 音楽ファイルを同時に再生するサンプルです。
本サンプルはハイレベルインターフェースの MP3デュアルデコード再生 と全く同じサンプルになります。
1.3.2.2. 動作環境 及び 動作手順
スケッチは、Arduino IDE 上から ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → dual_players_objif
を選択することで可能です。
+ 動作環境 及び 動作手順 の詳細は、MP3デュアルデコード再生 をご覧ください。
1.3.2.3. プログラム解説
デュアルデコードは、MP3の音楽を再生するを2つのplayer分起動することになります。ただし、それぞれのplayerは、playerごと独立してAudio ESデータを供給する必要があり、互いの操作による影響を避けるため、playerごとにスレッドを作成しています。
それぞれの以下の詳細は、MP3の音楽を再生するを参照してください。
-
共有メモリのレイアウトを設定します。
-
各Audioライブラリの初期化します。
-
クロックモードを設定します。
-
Playerライブラリの初期化します。
-
MP3 ファイルの内容をデコーダーへ書き込みます。
-
プレイヤーを開始します。
-
プレイヤーを停止します。
レゾリューションの異なる発音はできません。 |
-
setVolume(master, player0, player1)
関数でボリュームの調整を行います。thePlayer->setVolume(master, (1) player0, (2) player1); (3)
1 master
: プレイヤー0,1 の両方に対する音量を変更できます。(-1020 ~ 120)2 player0
でプレイヤー0 に対する音量を変更できます。(-1020 ~ 120)3 player1
でプレイヤー1 に対する音量を変更できます。(-1020 ~ 120)
指定した値の 1/10 が実際の音量[dB]になります。例えば、15 を指定したときの音量は 1.5 [dB] です。master
で全体の音量、player0
,player1
で個別の音量を調整することができます。
1.3.3. 低遅延再生する
1.3.3.1. 概要
スイッチのプッシュ音やゲーム、楽器などのように、何らかのinputに対して、高速に発音を行いたいケースに向けの、低遅延で再生のサンプルになります。 低遅延でmicroSD カードにある音声ファイル(RAWフィルのみ)を再生します。
低遅延再生をお試しいただくために、シェルで入力した文字に合わせて発音するようになっています。
また、低遅延を実現するために、音声ファイルの読み出しに時間がかかった場合、無音で補完し再生が止まらないようにしています。
1.3.3.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
microSD カード
-
再生用ヘッドホン or スピーカー
このサンプルでは、microSD カードとヘッドホンを使用します。 拡張ボードのヘッドホン端子にヘッドホンもしくはアクティブスピーカーを接続してください。
1.3.3.3. 動作手順
-
再生したい 音声PCMの RAWファイルを "sound0.raw"、"sound1.raw"、"sound2.raw" というファイル名で 3つのファイルを microSD カードのルートディレクトリに置きます。
RAWファイルとは、WAVヘッダーなどのヘッダーのないPCMファイルです。ビット長16bitの場合、16ビットごとにチャンネルデータがインターリーブされた形になります。 +16ビットの以下のみ対応です。 基本的にはSDカードからの読み出し速度が本サンプルの速度律速になりますので、現状は、以下の16ビットのみ対応としています。
やむを得ず、24ビットデータを使用したい場合、24ビットのRAWは32ビットごとにアライメントした形で下24ビットにデータを詰めて、チャンネルインタリーブした形で作成してください。 -
microSD カードを拡張ボードの microSD カードスロットに挿入します。
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → rendering_objif
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
スケッチがアップロードされ実行されると、シリアルモニタからの入力を待つ状態になります。この時に、"p\n"を入力すると"Sound0.raw"を再生、"o\n"を入力すると"Sound1.raw"を再生、"i\n"を入力すると"Sound2.raw"を再生します。"s\n"で再生を停止します。
NOTE:音声再生中に、新しい再生指示を受けると直ちに新しい再生が開始されます。
1.3.3.4. プログラム解説
SDカードの読み出し速度は、低遅延再生での速度ボトルネックになります。このため、SDカードからの読み出しをバッファリングするためにリングバッファを利用しています。 また、低遅延下での読み出し遅延に対するロバスト性を持たせるために、読み出しデータが欠落した際に無音を挿入することで、発音自体を止めないような作りになっています。
-
BridgeBuffer
クラスSDカードから読み出したRAWデータをバッファリングするためのクラスです。
writebuf(File& file, uint32_t size)
でSDカード内のfile
オブジェクトで指定したファイルからバッファへsize
分だけデータを書き込みに行きます。
readbuf(uint8_t *dst)
で、dst
が示すアドレスへ、戻り値が示すサイズ分だけデータを読み出します。
clearbuf()
で、バッファをクリアします。 -
createStaticPools()
共有メモリのレイアウトを設定します。initMemoryPools(); createStaticPools(no); (1)
1 no
: レイアウト番号を指定します。本サンプルでは、再生機能用レイアウト (MEM_LAYOUT_PLAYER
) を指定してください。 -
Mixerライブラリの生成と初期化をします。
theMixer->begin(); (1) theMixer->create( (2) attention_cb); (3) theMixer->activate( (4) OutputMixer0, (5) HPOutputDevice, (6) outputmixer_done_callback); (7)
1 theMixer→begin
MixerのAudio HWブロックの初期化及び電源投入などを行います。
※以前の `theMixer→activateBaseband`です。2 theMixer→create
Mixerのソフトウェアモジュールの生成・初期化をおこないます。3 theMixer→activate
Mixerの発音動作モードの設定を行います4 OutputMixer0
: MixerのIDを指定します。Playerと同じIDにしてください。5 HPOutputDevice
: 出力先の設定を行います。HPOutputDevice
はアナログ出力になります。I2SOutputDevice
はI2S出力になります。6 outputmixer_done_callback
: Mixerにイベントを発行した際の結果通知用コールバックです。 -
setRenderingClockMode()
関数でクロックモードを設定します。theMixer->setRenderingClkMode(mode); (1)
1 mode
: ノーマル (OUTPUTMIXER_RNDCLK_NORMAL
) かハイレゾ (OUTPUTMIXER_RNDCLK_HIRES
) かクロックモードを選択します。
低遅延再生の場合は、OUTPUTMIXER_RNDCLK_NORMAL
を指定してください。 -
setVolume(volume)
関数でボリュームの調整を行います。thePlayer->setVolume(volume); (1)
1 volume
: 音量を変更できます。(-1020 ~ 120)
指定した値の 1/10 が実際の音量[dB]になります。例えば、15 を指定したときの音量は 1.5 [dB] です。
Mixerには、開始のための特殊なイベントを持ちません。Mixerにデータ(AsPcmDataParam )を3フレーム以上送信すると開始されます。
|
Mixerには、終了のための特殊なイベントを持ちません。Mixerに送信するデータ(AsPcmDataParam )の中の bool is_end を ture にして送信するとそのフレームの発音まで行い終了します。+
終了時には該当フレームにFadeoutをかけています。
|
-
outmixer_send_callback
内の実装についてoutmixer_send_callback
は1フレームの発音が終わると呼び出されます。この中で次の発音フレームを以下のコードでMixerに供給しなければなりません。theMixer->sendData(OutputMixer0, outmixer_send_callback, pcm_param);
この際、データ(
AsPcmDataParam pcm_param
)の各パラメータにデータを代入する必要があります。static bool getFrame(AsPcmDataParam *pcm) {
本サンプルでは、上記の関数内で代入処理をしています。データ構造の詳細は、SDK開発ドキュメントのAPI仕様を参照してください。
また、本処理で、もし、データが読み出せなかった際に0で埋め発音を継続する処理が入っています。
if (!getFrame(&pcm_param)) { : ここでFifoから読み出す break; } /* Send PCM */ pcm_param.is_end = false; pcm_param.is_valid = true; if (pcm_param.size == 0) { :読み出しができない場合はサイズが0になっている pcm_param.size = READSIZE; pcm_param.sample = pcm_param.size / BYTEWIDTH / CHNUM; memset(pcm_param.mh.getPa(), 0, pcm_param.size); : 読み出せていない場合は0を埋めて出力する }
1.3.4. MP3 形式で録音する
1.3.4.1. 概要
マイクからの音声を録音し microSD カードに MP3 ファイルとして記録します。
本サンプルはハイレベルインターフェースの MP3形式で録音する と機能としては同じサンプルになります。
1.3.4.2. 動作環境 及び 動作手順
スケッチは、Arduino IDE 上から ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → recorder_objif
を選択することで可能です。
動作環境 及び 動作手順 の詳細は、MP3形式で録音する をご覧ください。
1.3.4.3. プログラム解説
-
createStaticPools()
共有メモリのレイアウトを設定します。initMemoryPools(); createStaticPools(no); (1)
1 no
: レイアウト番号を指定します。本サンプルでは、録音機能用レイアウト (MEM_LAYOUT_RECORDER
) を指定してください。 -
Recoderライブラリの生成と初期化します。
theRecorder->begin( (1) attention_cb); (2) theRecorder->activate( (3) dev, (4) done_callback); (5)
1 theRecorder→begin
Recorderのソフトウェアモジュールの生成をおこないます。2 attention_cb
: 各モジュールから通知されるエラー・ワーニング用のコールバックです。エラー処理を実装してください。3 theRecorder→activate
Recorderの記録動作モードの設定をおこないます。4 dev
: 入力デバイスを設定します。マイクデバイスのみ対応です。AS_SETRECDR_STS_INPUTDEVICE_MIC
を設定してください。5 done_callback
: Recorderにイベントを発行した際の結果通知用コールバックです。 -
setCapturingClkMode()
関数で録音のクロックモードを設定します。theRecorder->setCapturingClkMode(mode); (1)
1 mode
: ノーマル (MEDIARECORDER_CAPCLK_NORMAL
) かハイレゾ (MEDIARECORDER_CAPCLK_HIRES
) かクロックモードを選択します。
MP3 記録の場合は、MEDIARECORDER_CAPCLK_NORMAL
を指定してください。 -
initRecorder()
関数でレコーダーの初期化を行います。theRecorder->init(codec, (1) channel, (2) fs, (3) bits, (4) bitrate, (5) path); (6)
1 codec
のコーデックタイプは MP3 (AS_CODECTYPE_MP3
) を指定します。2 channel
: チャンネル数を指定します。1 / 2 が指定できます。3 fs
: サンプリングレートを指定します。
MP3 では、48kHz (48000
) をサポートしています。4 bits
: 音声データのビット長を指定します。MP3では、16
を指定してください。5 bitrare
: 圧縮によって生成されるESデータのビットレートを指定します。ここでは、96000
にしています。6 path
で DSP ファイルがインストールされている場所を指定します。
microSD カードの場合は "/mnt/sd0/BIN" を、SPI-Flash の場合は "/mnt/spif/BIN" を指定します。 -
readFrames()
関数でファイルへ記録するために MP3 エンコードされたデータを読み出します。theRecorder->readFrames(ptr, (1) buffer_size, (2) size); (3)
1 ptr : 生成された音声ストリームを書き出すためのバッファの先頭アドレスを指定します。 2 buffer_size : 生成された音声ストリームを書き出すためのバッファのサイズを指定します。 3 size : 実際に書き出されデータのサイズが格納されます。
sizeが0の場合は、書き出されるべきデータがありません。 -
start()
関数でレコーダーを開始します。theRecorder->start();
-
stop()
関数でレコーダーを停止します。theRecorder->stop();
1.3.4.4. レコーダーバッファサイズについて
MP3形式で録音する を参照してください。
1.3.5. WAV 形式で録音する
1.3.5.1. 概要
マイクからの音声を録音し microSD カードに WAV ファイルとして記録します。
本サンプルはハイレベルインターフェースの WAV_形式で録音する と機能としては同じサンプルになります。
1.3.5.2. 動作環境 及び 動作手順
スケッチは、Arduino IDE 上から ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → recorder_wav_objif
を選択することで可能です。
+ 動作環境 及び 動作手順 の詳細は、WAV_形式で録音する をご覧ください。
1.3.5.3. プログラム解説
-
createStaticPools()
共有メモリのレイアウトを設定します。initMemoryPools(); createStaticPools(no); (1)
1 no
: レイアウト番号を指定します。本サンプルでは、録音機能用レイアウト (MEM_LAYOUT_RECORDER
) を指定してください。 -
Recoderライブラリの生成と初期化します。
theRecorder->begin( (1) attention_cb); (2) theRecorder->activate( (3) dev, (4) done_callback); (5)
1 theRecorder→begin
Recorderのソフトウェアモジュールの生成をおこないます。2 attention_cb
: 各モジュールから通知されるエラー・ワーニング用のコールバックです。エラー処理を実装してください。3 theRecorder→activate
Recorderの記録動作モードの設定をおこないます。4 dev
: 入力デバイスを設定します。マイクデバイスのみ対応です。AS_SETRECDR_STS_INPUTDEVICE_MIC
を設定してください。5 done_callback
: Recorderにイベントを発行した際の結果通知用コールバックです。 -
setCapturingClkMode()
関数で録音のクロックモードを設定します。theRecorder->setCapturingClkMode(mode); (1)
1 mode
: ノーマル (MEDIARECORDER_CAPCLK_NORMAL
) かハイレゾ (MEDIARECORDER_CAPCLK_HIRES
) かクロックモードを選択します。
48kHzか16kHzでの記録の場合MEDIARECORDER_CAPCLK_NORMAL
を指定、192kHz記録の場合MEDIARECORDER_CAPCLK_HIRES
を指定してください。 -
initRecorder()
関数でレコーダーの初期化を行います。theRecorder->init(codec, (1) channel, (2) fs, (3) bits, (4) bitrate, (5) path); (6)
1 codec
のコーデックタイプは WAV (AS_CODECTYPE_WAV
) を指定します。2 channel
: チャンネル数を指定します。1 / 2 / 4 / 8 が指定できます。3 fs
: サンプリングレートを指定します。
MP3 では、16kHz (16000
), 48kHz (48000
),192kHz (192000
) をサポートしています。4 bits
: 音声データのビット長を指定します。16
か、24
を指定してください。5 bitrare
: WAVの場合非圧縮(PCM)のみ対応なのでビットレートはDon’t careです。6 path
で DSP ファイルがインストールされている場所を指定します。
microSD カードの場合は "/mnt/sd0/BIN" を、SPI-Flash の場合は "/mnt/spif/BIN" を指定します。 -
readFrames()
関数でファイルへ記録するために PCMデータを読み出します。theRecorder->readFrames(ptr, (1) buffer_size, (2) size); (3)
1 ptr : PCMデータを書き出すためのバッファの先頭アドレスを指定します。 2 buffer_size : 生成された音声データを書き出すためのバッファのサイズを指定します。 3 size : 実際に書き出されデータのサイズが格納されます。
sizeが0の場合は、書き出されるべきデータがありません。 -
start()
関数でレコーダーを開始します。theRecorder->start();
-
stop()
関数でレコーダーを停止します。theRecorder->stop();
1.3.5.4. レコーダーバッファサイズについて
WAV_形式で録音する を参照してください。
1.3.6. PCM データを取り出す
1.3.6.1. 概要
マイクから入力された PCM データをキャプチャします。
このサンプルでは PCM データの先頭を表示しているだけですが、このサンプルを応用することで、PCM 生データの周波数解析処理や各種フィルタなどの信号処理を行うことができます。
本サンプルはハイレベルインターフェースの PCMデータを取り出す と機能としては同じサンプルになります。
1.3.6.2. 動作環境 及び 動作手順
スケッチは、Arduino IDE 上から ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Audio → application → pcm_capture_objif
を選択することで可能です。
+ 動作環境 及び 動作手順 の詳細は、PCMデータを取り出す をご覧ください。
1.3.6.3. プログラム解説
-
createStaticPools()
共有メモリのレイアウトを設定します。initMemoryPools(); createStaticPools(no); (1)
1 no
: レイアウト番号を指定します。本サンプルでは、録音機能用レイアウト (MEM_LAYOUT_RECORDER
) を指定してください。 -
Recoderライブラリの生成と初期化します。
theRecorder->begin( (1) attention_cb); (2) theRecorder->activate( (3) dev, (4) done_callback); (5)
1 theRecorder→begin
Recorderのソフトウェアモジュールの生成をおこないます。2 attention_cb
: 各モジュールから通知されるエラー・ワーニング用のコールバックです。エラー処理を実装してください。3 theRecorder→activate
Recorderの記録動作モードの設定をおこないます。4 dev
: 入力デバイスを設定します。マイクデバイスのみ対応です。AS_SETRECDR_STS_INPUTDEVICE_MIC
を設定してください。5 done_callback
: Recorderにイベントを発行した際の結果通知用コールバックです。 -
setCapturingClkMode()
関数で録音のクロックモードを設定します。theRecorder->setCapturingClkMode(mode); (1)
1 mode
: ノーマル (MEDIARECORDER_CAPCLK_NORMAL
) かハイレゾ (MEDIARECORDER_CAPCLK_HIRES
) かクロックモードを選択します。
48kHzか16kHzでの記録の場合MEDIARECORDER_CAPCLK_NORMAL
を指定、192kHz記録の場合MEDIARECORDER_CAPCLK_HIRES
を指定してください。 -
initRecorder()
関数でレコーダーの初期化を行います。theRecorder->init(codec, (1) channel, (2) fs, (3) bits, (4) bitrate, (5) path); (6)
1 codec
のコーデックタイプは WAV (AS_CODECTYPE_PCM
) を指定します。2 channel
: チャンネル数を指定します。1 / 2 / 4 / 8 が指定できます。3 fs
: サンプリングレートを指定します。
PCMキャプチャでは、48kHz (48000
),192kHz (192000
) をサポートしています。4 bits
: 音声データのビット長を指定します。16
か、24
を指定してください。5 bitrare
: PCMの場合非圧縮なのでビットレートはDon’t careです。6 path
: DSP を使用しないので、Don’t careです。 -
readFrames()
関数でファイルへ記録するために PCMデータを読み出します。theRecorder->readFrames(ptr, (1) buffer_size, (2) size); (3)
1 ptr : PCMデータを書き出すためのバッファの先頭アドレスを指定します。 2 buffer_size : 生成された音声データを書き出すためのバッファのサイズを指定します。 3 size : 実際に書き出されデータのサイズが格納されます。
sizeが0の場合は、書き出されるべきデータがありません。 -
start()
関数でレコーダーを開始します。theRecorder->start();
-
stop()
関数でレコーダーを停止します。theRecorder->stop();
1.3.6.4. バッファサイズについて
PCMデータを取り出す をご覧ください。
2. GPS チュートリアル
このチュートリアルではサンプルスケッチをベースに Spresense GPS 機能を使った簡単なアプリケーションや、 サンプルをカスタマイズして機能を追加・拡張する方法について解説します。
-
GNSS ライブラリの基本的な使い方について
-
GPS トラッカーについて
-
NMEA 出力方法について
-
QZSS 災害危機管理サービスについて
-
RTC 時刻を設定する
-
GPS 1PPS 出力を行う
2.1. GPS サンプルスケッチ
2.1.2. 動作環境
本スケッチの動作に必要な環境を以下に示します。
メインボードに GPS チップアンテナが搭載されており、メインボードだけで GPS 機能を動かすことができます。
-
Spresense メインボード
2.1.3. 動作手順
Arduino IDE メニューから File → Examples → GNSS → gnss (ファイル → スケッチ例 → GNSS → gnss)
スケッチを開きます。


このスケッチを Spresense ボードに書き込みます。

シリアルモニタを開くと、測位情報が表示されます。測位中は LED0 が 1 秒間隔で点滅します。

-
時刻は初期時刻 1980/01/06 00:00:00 からカウントアップします。
衛星から正確な時刻が取得されたら現在の UTC 時刻表示に切り替わります。 -
numSat: 見つかった衛星数を表します
-
非測位状態のとき "No-Fix, No Position" と表示されます。
測位ができたら "Fix" と Lat=緯度、Lon=経度を表示します。
また、位置情報が取得できたら LED1 が点灯します。

1 分おきに衛星の詳細情報を表示します。
-
Type: 衛星種類、Id: 衛星番号、Elv: 仰角、Azm: 方位角、CN0: 信号強度を表します。
2.1.4. プログラム解説
-
setup() 関数で GNSS ライブラリの初期設定を行います。
enum ParamSat { eSatGps, /**< GPS World wide coverage */ eSatGlonass, /**< GLONASS World wide coverage */ eSatGpsSbas, /**< GPS+SBAS North America */ eSatGpsGlonass, /**< GPS+Glonass World wide coverage */ eSatGpsBeidou, /**< GPS+BeiDou World wide coverage */ eSatGpsGalileo, /**< GPS+Galileo World wide coverage */ eSatGpsQz1c, /**< GPS+QZSS_L1CA East Asia & Oceania */ eSatGpsGlonassQz1c, /**< GPS+Glonass+QZSS_L1CA East Asia & Oceania */ eSatGpsBeidouQz1c, /**< GPS+BeiDou+QZSS_L1CA East Asia & Oceania */ eSatGpsGalileoQz1c, /**< GPS+Galileo+QZSS_L1CA East Asia & Oceania */ eSatGpsQz1cQz1S, /**< GPS+QZSS_L1CA+QZSS_L1S Japan */ }; /* Set this parameter depending on your current region. */ static enum ParamSat satType = eSatGps; (3) void setup() { : /* Activate GNSS device */ result = Gnss.begin(); (1) Gnss.select(XXX); (2) /* Start positioning */ result = Gnss.start(COLD_START); (4) : }
1 Gnss.begin() 関数で初期化を行います。この関数を呼び出すと GNSS 専用ファームウェアをロードします。 正しく動作しない場合は、Spresense ブートローダーのインストール を参考に常に最新版のブートローダーをインストールしてください。 2 Gnss.select() 関数で使用する衛星を選択します。 3 衛星の選択で複数の衛星を組み合わせて使用することができます。
例えば、QZSS みちびきを使用する場合、satType
をeSatGpsQz1cQz1S
へ変更してください。
GPS, QZSS に加えて、{Glonass, BeiDou, Galileo} の 3 種類からいずれか 1 つを選択して追加することができます。4 Gnss.start() 関数で測位を開始します。ここではコールドスタートを行います。 -
loop() 関数で GNSS 測位結果を周期的に取得します。
void loop() { : /* Check update. */ if (Gnss.waitUpdate(-1)) (1) { /* Get NaviData. */ SpNavData NavData; Gnss.getNavData(&NavData); (2)
1 Gnss.waitUpdate() 関数でGNSS からの受信を待ちます。 2 Gnss.getNavData() 関数で測位結果を取得します。ここで得られた NavData
をもとにprint_pos()
関数やprint_condition()
関数で測位情報を出力します。 詳細は、SpNavData を参照してください。 -
機能の使用例として、本サンプルでは 5 分周期で GNSS 測位を停止/再開するという動作を行います。
if (LoopCount >= RESTART_CYCLE) { /* Restart GNSS. */ if (Gnss.stop() != 0) (1) { Serial.println("Gnss stop error!!"); error_flag = 1; } else if (Gnss.end() != 0) (2) { Serial.println("Gnss end error!!"); error_flag = 1; } else { Serial.println("Gnss stop OK."); } if (Gnss.begin() != 0) (3) { Serial.println("Gnss begin error!!"); error_flag = 1; } else if (Gnss.start(HOT_START) != 0) (4) { Serial.println("Gnss start error!!"); error_flag = 1; } else { Serial.println("Gnss restart OK."); }
1 Gnss.stop() 関数で測位を停止します。 2 Gnss.end() 関数で終了処理を行います。この関数を呼び出すと GNSS 専用ファームウェアをアンロードします。 3 Gnss.begin() 関数で再び初期化を行います。 4 Gnss.start() 関数に HOT_START を指定します。電源を落とさずにホットスタートを行うことで、直前までの測位で取得された時刻情報、位置情報や衛星起動情報を利用して即座に位置情報を取得することができます。
2.2. GPS トラッカーを使ってみよう
2.2.1. 概要
GNSS ライブラリの Examples にある GPS トラッカーのサンプルスケッチ gnss_tracker を動かしてみます。
このスケッチは、いわゆる GPS データロガーと呼ばれるもので、
定期的に GPS から取得した位置情報を microSD カードに記録していきます。
microSD カードに保存されたファイルを後から取り出し、パソコン等の専用ツールを使うことによって、
移動の軌跡を地図上に重ねて閲覧表示することができます。
2.2.3. 動作手順
Spresense のメインボードと拡張ボードを接続し、拡張ボードに microSD カードを挿入してください。
Arduino IDE メニューから File → Examples → GNSS → gnss_tracker (ファイル → スケッチ例 → GNSS → gnss_tracker)
スケッチを開きます。


このスケッチを Spresense ボードに書き込みます。

シリアルモニタを開くと、はじめにアプリケーションの設定情報を出力した後に、測位結果の出力を開始します。

2.2.4. 動作仕様
電源が供給されるとまず初めに microSD カード内の tracker.ini
ファイルに書かれた設定を読み込みます。
このファイルに書かれた設定にしたがってアプリケーションの初期設定をした後に、GPS 測位動作を開始します。
動作中は、メインボード上の LED によってアプリケーションの動作状態を表します。
-
LED 仕様
アプリケーションの動作が開始するときに 4 つの全ての LED が一回だけ点滅します。
測位停止中は 全ての LED が消灯します。個別の LED に関する動作仕様は以下の通りです。LED 説明 LED0
測位動作中に点灯/消灯を繰り返します
LED1
現在の位置情報が取得(FIX)できたら点灯します
LED2
ファイルアクセス中に点灯します
LED3
microSD カードにアクセスできないなど、何かしらのエラーが発生したときに点灯します
-
microSD カード内のファイル構成
microSD カード内のファイル構成を以下に示します。ファイルが存在しない場合は、プログラム内でファイルを新規に作成するので、事前にファイルを用意しておく必要はありません。
ファイル名 説明 tracker.ini
アプリケーションの設定情報が書かれたテキストファイルです。各設定値については後述します。このファイルが存在しないときは、デフォルトの設定値をもつファイルが新規に作成されます。
index.ini
インデックス番号が書かれたテキストファイルです。この番号は GPS データ出力先のファイル名を表します。例えば “00000018” と書かれている場合は、ファイル名 “00000018.txt” に GPS データを出力します。繰り返し動作させたときに既存のファイルを上書きしないように、この数字は 1 ずつインクリメントされていきます。ファイルが存在しない場合は、“00000001” と書かれた新規ファイルが作成されます。
00000001.txt
00000002.txt
:GPS データが書き込まれるテキストファイルです。このファイルにはNMEA 0183 フォーマットの GPGGA センテンスが格納されます。 ユーザはこのファイルをパソコン等に取り込んで GPS トラッキングデータを生成します。
-
tracker.ini 設定情報
ここで定義される設定パラメータを変更することでアプリケーションの動作を切り替えることができます。デフォルトのままでも動作するため、まず動かしてみるという場合はここを読み飛ばして頂いて構いません。
変数 説明 設定例 SatelliteSystem
(GPS/GLONASS/SBAS/QZSS_L1CA/QZSS_L1S)
衛星システム(の組み合わせ)を下記から選択します。
GPS+GLONASS+QZSS_L1CA
GPS+BEIDOU+QZSS_L1CA
GPS+GALILEO+QZSS_L1CA
GPS+QZSS_L1CA+QZSS_L1S
GPS+QZSS_L1CA
GPS+GLONASS
GPS+BEIDOU
GPS+GALILEO
GLONASS
GPS+SBAS
GPSSatelliteSystem=GPS+GLONASS+QZSS_L1CA
NmeaOutUart
(TRUE/FALSE)
NMEA 出力をシリアルモニタに表示するかどうかを選択します。NmeaOutUart=TRUE
NmeaOutFile
(TRUE/FALSE)
NMEA 出力をファイルに保存するかどうかを選択します。ここは TRUE を指定してください。NmeaOutFile=TRUE
BinaryOut
(TRUE/FALSE)
GNSSバイナリデータを保存するかどうかを選択します。通常、FALSE のままで構いません。BinaryOut=FALSE
IntervalSec
(1-300)
測位間隔[秒]を設定します。IntervalSec=1
ActiveSec
(60-300)
測位の有効期間[秒]を設定します。ActiveSec秒間だけ測位した後に、SleepSec秒間は測位を停止する、という動作を周期的に繰り返します。ActiveSec=60
SleepSec
(0-240)
測位を停止する期間[秒]を設定します。ActiveSec秒間だけ測位した後に、SleepSec秒間は測位を停止する、という動作を周期的に繰り返します。Sleep 期間を設けず、常時測位し続ける場合は 0 を指定してください。SleepSec=240
UartDebugMessage
(NONE/ERROR/WARNING/INFO)
シリアルモニタへ出力するデバッグレベルを設定します。UartDebugMessage=NONE
2.2.5. GPS ロガーデータの確認手順
GPS ロガーデータを確認する方法は様々ありますが、ここでは NMEA を KML 形式へ変換して、Google Earth を使って地図上に表示します。
-
Google Earth のインストール
Google Earthのダウンロードページから Google Earth プロをダウンロードしてインストールしてください。
-
NMEA から KML/KMZ へ変換する
microSD カード上に保存された 00000001.txt ~ 99999999.txt ファイルの中身は、NMEA フォーマット (GPGGA センテンスのみ) で書かれています。これを Google Earth で扱うことができる KML/KMZ 形式へ変換します。変換元のデータが複数のテキストファイルに分かれている場合は、ファイルを結合して一つのファイルにしてください。
-
“ファイルを選択” に入力ファイルを指定して “送信” ボタンを押す
-
KML に変換されたファイルをダウンロードすることができます
他にも https://www.gpsvisualizer.com サイトでも Google Earth やその他のファイルフォーマットへ変換することができます。また、Webサイト上で変換するのではなく、NMEA to KMZ Utility など、PC 上で動作する変換ツールも世の中に各種あります。
-
KML ファイルを Google Earth で開く
移動した軌跡が地図上にマッピングされ表示されます。
ここではサンプルコードをそのまま動作させる方法について説明しました。
以降の章で GPS トラッカーをカスタマイズして使用する応用編について解説していく予定です。
2.3. GPS トラッカーをメインボードで動かす
2.3.1. 概要
前章では、GPS トラッカーのサンプルスケッチ gnss_tracker.ino をそのまま動かしてみました。このサンプルは GPS ロガーデータを microSD カードに保存していましたが、これをメインボード上の Flash メモリに保存するように変更します。メインボードのみを使ってより小型で省電力な GPS トラッカーに改造してみます。
2.3.3. 変更手順
gnss_tracker.ino のスケッチを開きます。


Arduino IDE メニューから File → Save as… (ファイル → 名前を付けて保存)
を選択して、スケッチを任意のフォルダに保存します。サンプルスケッチがコピーされて編集が可能になります。

gnss_file.cpp を開いて、以下の変更を行います。
-
#include <Flash.h> 行の追加
-
SDClass theSD; の削除
-
“theSD” → “Flash” へ一括置換
-
Flash を使用するように変更します。Flash ライブラリは SD と同一のインターフェース構成になっているのでオブジェクト名を変更するだけで使用可能です。
-
参考までに変更例を以下に示します。
-
2.3.5. GPS ロガーデータの確認手順
Flash メモリに保存された結果を取り出す方法はいくつかあります。(ここで紹介する方法以外にも Add-on ボードなどを利用してネットワークを介してファイルを転送する方法もあります)
-
ファイルダンプする方法
GPS ロガーデータはテキストファイルとして Flash 内に保存されています。中身をシリアルターミナルにダンプし、その表示結果をファイルとして保存します。 とても原始的な方法ですが、手っ取り早く簡単に行うことができます。
Arduino IDE のシリアルモニタにはシリアル表示結果をファイルに保存する機能が無いため、TeraTerm や minicom といった別のターミナルを使用することを推奨します。 -
nuttx_shell スケッチをダウンロードしてください。
スケッチを書き込んで実行すると、シリアルターミナルに NuttShell nsh> プロンプトが表示されます。
-
ls
コマンドで Flash 内のファイルリストを確認します。nsh> ls -l /mnt/spif
-
対象となるログファイルを
cat
コマンドで表示します。
コマンド実行前にログ結果をファイルに保存するように設定しておいてください。nsh> cat /mnt/spif/00000003.txt
GPS ロガーデータを取り出すことができました。
Flash 内のファイルが不要になればrm
コマンドで削除することができます。nsh> rm /mnt/spif/00000003.txt
-
-
Flash → microSD カードにコピーして取り出す方法
拡張ボードをもっている場合は、拡張ボードを使って Flash から microSD へコピーしてファイル取り出す方法もあります。
-
ここでも nuttx_shell スケッチを使用します。
スケッチを書き込んで実行すると、シリアルターミナルに NuttShell nsh> プロンプトが表示されます。
-
ls
コマンドで Flash 内のファイルリストを確認します。nsh> ls -l /mnt/spif
-
対象となるログファイルを
cp
コマンドで microSD へコピーします。nsh> cp /mnt/spif/00000003.txt /mnt/sd0
microSD を介して GPS ロガーデータを取り出すことができました。
Flash 内のファイルが不要になればrm
コマンドで削除することができます。nsh> rm /mnt/spif/00000003.txt
-
-
Zmodem ファイル転送を使用する方法
Spresense SDK 環境を使って Zmodem 転送機能によりファイルを取り出す方法もあります。
詳細は Zmodem を使ったファイル転送 を参照してください。
取り出した GPS ロガーデータをもとに地図上にマップする方法は こちら を参照してください。
2.4. GPS トラッカーを省電力化する
2.4.1. 概要
GPS トラッカーに対して LowPower ライブラリを組み合わせることによって省電力化を行います。 Spresense は通常動作時でも低電力であることが特徴ですが、LowPower ライブラリを使用することによって、 さらに大幅に消費電力を削減することができます。 バッテリー/電池を長持ちさせるために、本チュートリアルにしたがってソースコードを変更してみてください。
ここでは LowPower ライブラリの以下の機能を使用します。 LowPower ライブラリの詳細については、 LowPower ライブラリ を参照してください。
-
クロックモードを変更する
-
スリープモードを使用する
2.4.2. クロックモードを変更する
通常、156MHz で動作しているシステム全体のクロックを 32MHz へ落とすことで電力を削減します。 GNSS 測位機能は、32MHz のクロック動作モードに落としても動作します。 GPS トラッカーを以下のように変更してください。
#include <LowPower.h> (1)
void setup()
{
:
LowPower.begin(); (2)
LowPower.clockMode(CLOCK_MODE_32MHz); (3)
:
}
1 | LowPower ライブラリを include します。 |
2 | setup() 関数内で LowPower.begin() 関数を呼び出します。 |
3 | クロックモードを 32MHz に設定します。 |
変更は LowPower.clockMode(CLOCK_MODE_32MHz) の呼び出しを追加するだけでクロックモードが切り替わります。
2.4.3. スリープモードを使用する
測位機能を間欠的に動作させる場合、非測位期間中にシステムをスリープ状態に落として待機電力を削減します。 スリープ状態に入る前に最終測位位置や衛星軌道情報をフラッシュメモリに保存しておくことで、 スリープから起床後はホットスタートにより直ちに測位動作を継続することができます。
スリープモードを使用するためにソースコードを次のように変更します。
#include <LowPower.h> (1)
#include <Flash.h> (2)
1 | LowPower ライブラリを include します。 |
2 | Flash ライブラリを include します。 |
void setup()
{
LowPower.begin(); (1)
bootcause_e bc = LowPower.bootCause(); (2)
if ((bc == POR_SUPPLY) || (bc == POR_NORMAL)) {
/* Remove backup file if power-on-reset */
Flash.remove("gnss_backup.bin"); (3)
}
1 | setup() 関数内で LowPower.begin() 関数を呼び出します。 |
2 | システムが起動した要因を取得します。電源投入時やリセットスイッチ押下など Power-On-Reset による起動なのか、 スリープ状態から起床したのかを判別することができます。 |
3 | 初回起動時など起動要因が Power-On-Reset の場合は Flash 上のバックアップファイルを削除します。 Deep Sleep から起床したときは Flash 上のバックアップファイルを使用してホットスタート測位を行います |
static void SleepIn(void)
{
/* Turn off the LED. */
APP_PRINT("Sleep ");
ledOff(PIN_LED0);
/* Save backup data to flash */
Gnss.saveEphemeris(); (1)
Gnss.stop();
Gnss.end();
1 | SleepIn() 関数内で Gnss を終了する前にバックアップデータを Flash に保存します。 |
void loop() {
:
/* Check state. */
if (State == eStateSleep)
{
/* Deep sleep */
Serial.print("Go to Deep sleep...");
LowPower.deepSleep(Parameter.SleepSec); (1)
1 | loop() 関数で Sleep する際に LowPower.deepSleep() 関数を呼び出します。 Parameter.SleepSec 後に自動的に Deep Sleep から起床します。 Deep Sleep から起床したときは、リセットを押下したときと同様のシーケンスで、setup() から動作を開始します。 |
2.5. NMEA センテンスを出力する
2.5.2. サンプルコード
NMEA データを出力するためのサンプルスケッチを以下に示します。
#include <GNSS.h>
#include <GNSSPositionData.h>
#include <gpsutils/cxd56_gnss_nmea.h>
SpGnss Gnss;
char PositionData[sizeof(GnssPositionData)];
/* output NMEA */
static char nmea_buf[NMEA_SENTENCE_MAX_LEN];
static char *reqbuf(uint16_t size)
{
if (size > sizeof(nmea_buf)) {
return NULL;
}
return nmea_buf;
}
static void freebuf(char *buf)
{
return;
}
static int outbin(char *buf, uint32_t len)
{
return len;
}
static int outnmea(char *buf)
{
return printf("%s", buf);
}
void setup()
{
/* Initialize Serial */
Serial.begin(115200);
/* Initialize GNSS */
if (Gnss.begin()) {
Serial.println("begin error!");
}
/* select satellite system */
Gnss.select(GPS);
Gnss.select(GLONASS);
Gnss.select(QZ_L1CA);
//Gnss.select(QZ_L1S);
//Gnss.select(SBAS);
/* set interval */
Gnss.setInterval(1);
if (Gnss.start(COLD_START)) {
Serial.println("start error!");
}
/* use NMEA library */
NMEA_InitMask();
//NMEA_SetMask(0x5); // only GGA+GSA (1)
//NMEA_SetMask(0x4000); // only QZQSM
NMEA_OUTPUT_CB funcs;
funcs.bufReq = reqbuf;
funcs.out = outnmea;
funcs.outBin = outbin;
funcs.bufFree = freebuf;
NMEA_RegistOutputFunc(&funcs);
}
void loop()
{
/* Check update. */
if (Gnss.waitUpdate(1000)) {
/* Output NMEA */
Gnss.getPositionData(PositionData);
NMEA_Output(&(((GnssPositionData*)PositionData)->Data));
}
}
1 | NMEA_SetMask() 関数で出力する NMEA センテンスを選択できます。 例えば、GGA, GSA のみ出力する場合は 0x5 を指定し、QZQSM のみ出力する場合は 0x4000 を指定します。 NMEA マスク値の詳細については後述します。 |
このサンプルスケッチを動作させるとシリアルモニタに NMEA データが出力されます。

2.5.3. NMEA マスク値について
NMEA 0183 (ver 4.00) 規格で定義されている NMEA センテンスのうち、 出力する NMEA センテンスをビットマスク値を NMEA_SetMask() 関数の引数に指定します。 初期状態では NMEA マスクには 0xef が設定されています。
NMEA | Bit | Description |
---|---|---|
$xxGGA |
0 |
時刻、緯度経度、標高、測位状態、DGPS基地局番号などの基本情報 |
$xxGLL |
1 |
時刻、緯度経度、測位状態などGGAの簡易版 |
$xxGSA |
2 |
衛星毎の使用不使用、DOP値 |
$xxGSV |
3 |
可視衛星の衛星番号、仰角、方位角、信号強度 |
$xxGNS |
4 |
時刻、緯度経度、測位状態 |
$xxRMC |
5 |
時刻、緯度経度、速度、時期偏差 |
$xxVTG |
6 |
移動速度に関する詳細情報 |
$xxZDA |
7 |
年月日を含む時刻情報 |
$QZQSM |
14 |
災害危機管理通報サービスメッセージ(QZSS独自センテンス) |
xx は、以下を表します。
-
GP:GPS衛星で測位している場合
-
GL:GLONASS衛星で測位している場合
-
GZ:QZS衛星で測位している場合
-
BD:BeiDou衛星で測位している場合
-
GA:Galileo衛星で測位している場合
-
GN:複数の衛星システムを利用して測位している場合
2.5.4. NMEA モニタ
NMEA データを利用した様々なツールが利用できます。
ここでは NMEA Monitor for windows を使用して NMEA データをデコードした結果をリアルタイムに表示してみます。
シリアルモニタ出力の COM ポートを選択して起動します。

以下に示すように、緯度経度情報の他にも高度や天空図など多くの情報を確認することができます。

2.6. QZSS 災危通報を出力する
2.6.1. 概要
QZSS 災危通報 (QZQSM) の NMEA センテンスを出力します。
災害・危機管理通報サービスの仕様書はこちらのサイトに公開されています。
-
パフォーマンススタンダード(PS-QZSS)及びユーザインタフェース仕様書(IS-QZSS)
災害・危機管理通報サービス参照
2.6.2. サンプルコード
QZQSM センテンスを出力するためのサンプルスケッチを以下に示します。
#include <GNSS.h>
#include <GNSSPositionData.h>
#include <gpsutils/cxd56_gnss_nmea.h>
SpGnss Gnss;
char PositionData[sizeof(GnssPositionData)];
/* output NMEA */
static char nmea_buf[NMEA_SENTENCE_MAX_LEN];
static char *reqbuf(uint16_t size)
{
if (size > sizeof(nmea_buf)) {
return NULL;
}
return nmea_buf;
}
static void freebuf(char *buf)
{
return;
}
static int outbin(char *buf, uint32_t len)
{
return len;
}
static int outnmea(char *buf)
{
return printf("%s", buf);
}
void setup()
{
/* Initialize Serial */
Serial.begin(115200);
/* Initialize GNSS */
if (Gnss.begin()) {
Serial.println("begin error!");
}
/* select satellite system */
Gnss.select(GPS);
//Gnss.select(GLONASS);
Gnss.select(QZ_L1CA);
Gnss.select(QZ_L1S);
//Gnss.select(SBAS);
/* set interval */
Gnss.setInterval(1);
if (Gnss.start(COLD_START)) {
Serial.println("start error!");
}
/* use NMEA library */
NMEA_InitMask();
NMEA_SetMask(0x4000); // only QZQSM
NMEA_OUTPUT_CB funcs;
funcs.bufReq = reqbuf;
funcs.out = outnmea;
funcs.outBin = outbin;
funcs.bufFree = freebuf;
NMEA_RegistOutputFunc(&funcs);
}
void loop()
{
/* Check update. */
if (Gnss.waitUpdate(1000)) {
/* Output NMEA */
Gnss.getPositionData(PositionData);
NMEA_Output(&(((GnssPositionData*)PositionData)->Data));
/* Output QZQSM */
void *handle;
if (handle = Gnss.getDCReport()) {
NMEA_DcReport_Output(handle);
}
}
}
このサンプルスケッチを動作させるとシリアルモニタに QZQSM センテンスが出力されます。

2.7. GPS 時計を動かす
2.7.1. 概要
RTC ライブラリの Examples にあるサンプルスケッチ rtc_gnss.ino を動かします。
本サンプルでは、GNSS から得られた時刻情報を Spresense 内蔵の RTC (リアルタイムクロック) に設定します。
2.7.2. 動作環境
本スケッチの動作に必要な環境を以下に示します。
メインボードに GPS チップアンテナが搭載されており、メインボードだけで GPS 機能を動かすことができます。
-
Spresense メインボード
2.7.3. 動作手順
Arduino IDE メニューから File → Examples → RTC → rtc_gnss (ファイル → スケッチ例 → RTC → rtc_gnss)
スケッチを開きます。


このスケッチを Spresense ボードに書き込みます。

シリアルモニタを開くと、時刻情報を出力します。

2.7.4. プログラム解説
#include <RTC.h>
#include <GNSS.h>
SpGnss Gnss;
#define MY_TIMEZONE_IN_SECONDS (9 * 60 * 60) // JST (1)
1 | サンプルスケッチ上で時差を定義することで UTC 時刻からローカル時刻へ変換してシリアルに出力します。 RTC ライブラリの詳細は、RTC ライブラリ を参照してください。 |
2.8. GPS 1PPS 出力を行う
2.8.1. 概要
GNSS ライブラリの Examples にあるサンプルスケッチ gnss.ino をベースに 1PPS 信号の出力を行います。 1PPS とは衛星から取得される時刻をもとに正確な1秒周期の信号を出力します。
2.8.2. 動作環境
本スケッチの動作に必要な環境を以下に示します。
メインボードに GPS チップアンテナが搭載されています。1PPS 信号は、拡張ボードの D02 ピンから出力します。
-
Spresense メインボード
-
Spresense 拡張ボード
2.8.3. 動作手順
動作手順は、GPS サンプルスケッチ を参照してください。
3. Camera チュートリアル
3.1. Camera のサンプルを試してみる
3.1.1. 概要
Spresense カメラで撮影した JPEG 画像を microSD カードに保存します。
タイムラプスカメラのように約 1 秒おきにシャッターを切り、JPEG 画像 100 枚分の写真を撮影します。
3.1.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
Spresense カメラボード
-
microSD カード
SpresenseメインボードとSpresenseカメラボードの接続方法と準備 を参考に、Spresense メインボードとカメラボードを接続してください。
カメラ機能は拡張ボード無しでも動作しますが、このスケッチではカメラで撮った写真を microSD カードに保存するために拡張ボードを使用しています。
3.1.3. 動作手順
-
microSD カードを拡張ボードの microSD カードスロットに挿入します。
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Camera → camera
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
書き込みが完了すると、プログラムが動作して写真を撮りはじめます。
シリアルモニタを開くと、プレビュー画像のログ情報や、静止画撮影したときのログが表示されます。 -
microSD カードに "PICT000.JPG" ~ "PICT099.JPG" ファイルとして保存されています。
microSD カードから JPEG 画像を取り出して確認してみてください。
3.1.4. プログラム解説
詳しい解説は、開発ガイド サンプルコードによる解説 に載っています。
3.2. Camera プレビュー画像を LCD に表示する
3.2.1. 概要
さきほどの camera サンプルスケッチを変更して、プレビュー画像を LCD に表示します。
プレビュー画像のサイズは QVGA (320 x 240) です。
LCD は ILI9341 搭載 2.2 インチ液晶モジュールを使用します。
3.2.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
Spresense カメラボード
-
microSD カード
-
LCD ボード (ILI9341 搭載 2.2 インチ液晶モジュール)
3.2.2.1. LCD と拡張ボードの接続
ILI9341 搭載 2.2 インチ液晶モジュールとの接続例を以下に示します。

ILI9341 | CXD5602 pin name | Arduino compatible pin name |
---|---|---|
VCC |
3.3V |
3.3V / IOREF / AREF |
GND |
GND |
GND |
CS |
SPI4_CS_X |
D10 |
RESET |
GPIO |
D8 |
DC/RS |
GPIO |
D9 |
SDI/MOSI |
SPI4_MOSI |
D11 |
SCK |
SPI4_SCK |
D13 |
LED |
3.3V |
3.3V / IOREF / AREF |
SDO/MISO |
SPI4_MISO |
D12 |
-
Spresense 拡張ボード を参考に、拡張ボードの JP1 ジャンパにて入出力端子基準電圧は 3.3V に設定してください。
-
ILI9341 の
VCC
端子に 3.3V を供給します。Spresense の 3.3V, IOREF, AREF のいずれかに接続します。
このサンプルでは ILI9341 のLED
端子にも 3.3V を常時供給しています。 -
ILI9341 との通信は、SPI (SPI4) を使用します。
-
RESET
とDC/RS
ピンは GPIO として D8, D9 を使用します。
参考) LCDSP001 基板 も同じピンアサインになっているため、このチュートリアルのコードをそのまま使用することができます。
3.2.2.2. Adafruit ILI9341 ライブラリのインストール方法
Adafruit ILI9341 の Arduino ライブラリをインストール方法について示します。
-
こちらから 2 つのライブラリの zip ファイルをダウンロードします。
-
Arduino IDE から
スケッチ → ライブラリをインクルード → .ZIP形式のライブラリをインストール…
を選択します。 -
ダウンロードした zip ファイルを指定してインストールします。
-
インストールに成功すると、以下のメッセージが表示されます。
(Adafruit-GFX-Library と Adafruit_ILI9341 をそれぞれをインストールしてください)
3.2.3. 動作手順
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Camera → camera
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
サンプルスケッチを編集するので、
ファイル → 名前を付けて保存
を選び任意の名前で保存します。 -
スケッチに次のコードを追加します。
-
Adafruit_ILI9341 オブジェクトの定義をスケッチの先頭に追加します。
#include <SPI.h> #include <Adafruit_GFX.h> #include <Adafruit_ILI9341.h> #define TFT_CS -1 (1) #define TFT_RST 8 (2) #define TFT_DC 9 (3) Adafruit_ILI9341 tft = Adafruit_ILI9341(&SPI, TFT_DC, TFT_CS, TFT_RST); (4)
1 SPI の CS はハードウェアによる自動制御を使用するので -1 を指定します 2 RST ピンに 8 を指定します 3 DC ピンに 9 を指定します 4 tft オブジェクトを生成します。 -
setup() 関数の中で、tft の初期化を行います。
void setup(void) { : tft.begin(40000000); (1) tft.setRotation(3); (2) :
1 SPI の通信レートに 40 MHz を指定して tft を初期化します。 2 LCD 表示を 270 度回転します。 -
CamCB() 関数の中で、プレビュー画像を LCD に描画します。
void CamCB(CamImage img) { /* Check the img instance is available or not. */ if (img.isAvailable()) { /* If you want RGB565 data, convert image data format to RGB565 */ img.convertPixFormat(CAM_IMAGE_PIX_FMT_RGB565); tft.drawRGBBitmap(0, 0, (uint16_t *)img.getImgBuff(), 320, 240); (1) } }
1 drawRGBBitmap() 関数を使用して、座標 (0, 0) から QVGA サイズ の RGB565 イメージを描画します。
-
-
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。 -
スケッチがアップロードされ実行されると、写真撮影行うと同時に、LCD にプレビュー画像が表示されます。
3.2.4. プログラム解説
こちらも詳しい解説は、開発ガイド サンプルコードによる解説 を参照してください。
4. Sensing チュートリアル
4.1. Step Counter を使ってみよう
4.1.1. Step Counter サンプルスケッチを動かす
Step Counter サンプルスケッチを動作させるために事前に準備が必要なものを以下に示します。
-
センサーボード SPRESENSE用3軸加速度・3軸ジャイロ・気圧・温度センサ アドオンボード BMP280 BMI160搭載
-
-
BMI160-Arduino のライブラリのインストール方法について
-
上記サイトより「Clone or download」→「Download ZIP」を選択し ZIP ファイルを保存します。
-
Arduino IDE のメニューから
スケッチ → ライブラリをインクルード → .ZIP形式のライブラリをインストール…
を選択し、保存しておいた ZIP ファイルを選択します。 -
Arduino IDE に「ライブラリが追加されました」と表示されればインストール成功です。
-
-
-
ソニー製行動認識アルゴリズムStep Counter (AESM)
Step Counter サンプルスケッチでは、BMI160 ライブラリを使用した物理センサクライアントと、AESM を使用した論理センサクライアントが連携して動作します。BMI160 から得られた加速度データを入力し、論理センサクライアントにて機械学習を用いた行動認識を行い、その認識結果を出力します。
AESM は、Arduino IDE メニューの ツール > ブートローダを書き込む 操作によりインストールされます。
詳細は、Spresense ブートローダーのインストール を参照してください。
|
Arduino IDE 上から ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 Sensing → application → step_counter
を選択してスケッチを起動します。


スケッチをコンパイルしてSpresenseボードに書き込みを行ってください。
シリアルモニタを開くと、歩数計及びその他の情報がリアルタイムに表示されます。

- tempo
-
1秒当たりの歩数 [Hz]
- stride
-
歩幅 [cm]
固定値を使用しています。 - speed
-
動作速度 [m/s]
- distance
-
動作距離 [m]
今後、GPS 測位結果をフュージョンして距離を算出するオプションを追加する予定です。
現在リリースしているソフトウエアでは GPS 結果は使用されていません。 - step
-
歩数
- move-type
-
行動認識結果 (stopping: 止まっている、walking: 歩いている、running: 走っている)
Spresense 基板を身に着けて歩いてみてください。
4.1.2. Step Counter の物理センサを変更してみる
ここでは Step Counter のサンプルスケッチで使用する物理センサを別のセンサへ変更してみます。
-
ローム社製センサーボード SPRESENSE-SENSOR-EVK-701
-
ローム社製ライブラリ KX122/KX126 Arduinoライブラリ
-
KX122/KX126 Arduinoライブラリのインストール方法について
-
上記サイトより「Clone or download」→「Download ZIP」を選択し ZIP ファイルを保存します。
-
ダウンロードした ZIP ファイルを任意のフォルダに展開しておきます。
-
Arduino IDE のメニューから
スケッチ → ライブラリをインクルード → .ZIP形式のライブラリをインストール…
を選択し、展開しておいたフォルダからKX122
もしくはKX126
フォルダを選択します。 -
Arduino IDE に「ライブラリが追加されました」と表示されればインストール成功です。
-
-
step_counter.ino サンプルスケッチの変更箇所について説明します。
以下の例は、KX122 用の変更になります。KX126 をお使いの場合は、KX126 へ置き換えてください。
-
include ファイルの変更
#include <BMI160Gen.h>
を KX122 を include するように変更します。
#include <Wire.h> #include <KX122.h> KX122 kx122(KX122_DEVICE_ADDRESS_1F);
-
setup() 関数の変更
BMI160 の初期化について、
/* Initialize device. */ BMI160.begin(BMI160GenClass::I2C_MODE, i2c_addr); /* Set device setting */ BMI160.setAccelerometerRange(accel_range); BMI160.setAccelerometerRate(accel_rate);
KX122 の初期化へ変更します。KX122 ライブラリの
accel_rate
はデフォルトで 50Hz に設定されています。Wire.begin(); kx122.init();
-
loop() 関数の変更
加速度データ取得について、
float x; float y; float z; /* Read raw accelerometer measurements from BMI160 */ BMI160.readAccelerometerScaled(x, y, z); AccelSensor.write_data(x, y, z);
KX122 からのデータ取得へ変更します。
float acc[3]; /* Read raw accelerometer measurements from KX122 */ kx122.get_val(acc); AccelSensor.write_data(acc[0], acc[1], acc[2]);
上記の変更を行った後にスケッチをコンパイルして実行すると、KX122 を使った Step Counter が動作します。
4.1.3. Step Counterの独自論理センサを作ってみる
現在提供しているソニー製アルゴリズムのStep Counter(AESM) を使わずに、独自のStep Counterアルゴリズムを実装したい場合は、以下のように論理センサクライアントを作成します。
センサクライアントを継承した論理センサクラスを作成してください。
例えば、MyCounterClass
をMyCounter.hに実装します。ヘッダファイルは必要に応じインクルードしてください。例えば、SensorClient.hは必要ですが、sensing/logical_sensor/step_counter.hはStepCounterの定義を使用したい場合のみ必要です。
また、例として、一般的に使われているライブラリの格納場所を下図に示します。

これはWindows環境の例です。Arduino
ディレクトリは、Ubuntu環境であれば ~/Arduino
、macOS環境であれば ~/Documents/Arduino
となります。
class MyCounterClass : public SensorClient
この MyCounterClass
の
bool begin(int id,
uint32_t subscriptions,
int rate,
int sample_watermark_num,
int size_per_sample));
int publish(FAR void* data,
uint32_t size_per_sample,
uint32_t freq,
uint32_t sample_watermark_num,
uint32_t timestamp);
int subscribe(sensor_command_data_mh_t& data);
をMyCounter.cppに実装(オーバーライド)します。
-
begin()
の実装 :MyCounterの初期設定を行います。publishされた加速度センサのデータを受け取るためのcallback関数の登録が必要です。callback関数からはMyCounterの
subscribe()
をコールし加速度センサのデータを渡します。実装例/* Callback function to receive accel sensor data. */ unsigned char mycounter_cb(sensor_command_data_mh_t &data) { /* MyCounter subscribes to the received accel. */ return MyCounter.subscribe(data); } /* Initial setting of MyCounterClass. */ bool MyCounterClass::begin(int id, uint32_t subscriptions, int rate, int sample_watermark_num, int size_per_sample) { /* Call super class begin() method. */ return SensorClient::begin(id, subscriptions, rate, sample_watermark_num, size_per_sample, mycounter_cb); /* <-- Register callback function. */ }
-
subscribe()
の実装 :加速度センサのデータをSubscribeし、独自のアルゴリズムで処理を行うことで、独自のStep Counterを作成することができます。
今回、ライブラリが提供する
AccelSensorClass
を使う場合、publishされてくるデータは50Hzのデータが50サンプルまとまったもので、下記実装例中のst_accel_axis
のように並んでいるx,y,z軸の加速度(単位は[G])データの配列になります。 このデータを取り出すために、ベースクラス(SensorClient
) のsubscribe()
を呼んでください。サンプリングレートとサンプル数は、step_counter.ino
スケッチ内でそれぞれaccel_rate
,accel_sample_num
で定義されています。
その後、取り出したデータに対して独自の処理を施し、その結果をpublishすることになりますが、この例ですとSensorResultStepCounter
型で結果をpublishすることになります。個々のパラメータについては こちらを参照してください。独自のパラメータにてpublishをしたい場合にはこの限りではありませんのでこちらを参照してください。実装例/* Subscribe the accel sensor data which is published from AccelSenseorClass. */ int MyCounterClass::subscribe(sensor_command_data_mh_t& data) { struct st_accel_axis { float x; float y; float z; } *accel_axis; /* Get accel sensor data via subscribe() of super class. */ accel_axis = static_cast<accel_axis*>(SensorClient::subscribe(data)); uint32_t timestamp = data.time; /* In this sample, output parameter structure is SensorResultStepCounter. */ SensorResultStepCounter output; /* 独自のアルゴリズムを実装。 outputに値を入れる。 */ /* Publish processed data to subscriber. */ publish(&output, sizeof(SensorResultStepCounter), 1, /* 1Hz */ 1, /* 1sample */ timestamp); }
subscribeされたデータは、 sensor_command_data_mh_t
になっています。このデータ構造は こちら を参照してください。 -
publish()
の実装 :publish()
では、MyCounterで算出された値を発行することになります。 その読み出しアプリケーションクライアントのサンプルとしてStepCounterReader
が提供されており、それをそのまま使用する場合はpublishするデータ構造は、SensorResultStepCounter
で送る必要があります。
またその場合、パラメータのうち、処理結果を示すexec_result
にSensorOK
をセットしないと処理結果がアプリケーションまで応答されませんので注意してください。StepCounterReader
を使用しない場合はその限りではありません。上記のように
SensorResultStepCounter
の型で渡される場合は、publish()
は、ベースクラス(SensorClient
)をそのまま使用して問題ありません。
SensorResultStepCounter
型は、以下になります。
/*--------------------------------------------------------------------------*/
/**
* @struct StepCounterStepInfo
* @brief the structure of STEP_COUNTER results.
*/
typedef struct {
float tempo; /**< Indicates tempo of walking / jogging calculated
* from the input acceleration data.
* The unit is [Hz].
*/
float stride; /**< Indicates stride calculated
* from input acceleration data.
* The unit is [cm].
*/
float speed; /**< Indicates speed of walking / jogging calculated
* from the input acceleration data.
* The unit is [m/s].
*/
float distance; /**< Indicates cumulative travel distance calculated
* from the input acceleration data.
* The unit is [m].
*/
uint32_t step; /**< Indicates the number of steps calculated
* from the input acceleration data.
* The unit is [step].
*/
StepCounterMovementType movement_type; /**<
* Indicates the walking type calculated
* from the input acceleration data.
*/
uint64_t time_stamp; /**< Indicates latest timestamp of the
* acceleration sensor data used.
*/
} StepCounterStepInfo;
/*--------------------------------------------------------------------------*/
/**
* @struct SensorResultStepCounter
* @brief the structure of sensor result on step counter commands.
*/
typedef struct
{
SensorExecResult exec_result; /**< Execute resule. */
union
{
StepCounterStepInfo steps; /**< Step count. */
SensorAssertionInfo assert_info; /**< Assert information. */
};
} SensorResultStepCounter;
4.1.4. 自分の論理センサに合わせてデータを変えてみる
当然、独自の論理センサに合わせて、結果となるセンサデータの方を変えたいこともあるかもしません。その場合は、 MyCounterで、publishする際の、データ型を変更し、
int MyCounterClass::subscribe(sensor_command_data_mh_t& data)
{
..(省略)..
MyStepCounterResult output;
publish(&output,
sizeof(MyStepCounterResult),
1, /* 1Hz */
1, /* 1sample */
timestamp);
}
読み出す側のApplication( StepCountReaderClass
)で、
subscribe()
{
MyStepCounterResult* steps = reinterpret_cast<MyStepCounterResult*>(ApplicationSensorClass.subscribe(data));
}
と変換してください。
4.2. 新しいセンサクライアントを作ってみる
4.2.1. 物理センサクライアントを作ってみる
prebuildされた Spresense SDK の中には、代表的なSensorのIDが割り当てられています。しかし、この定義されたSensorIDに該当しないような物理センサを作成したいというケースが、実際は大半になるかと思います。
ここでは、このように該当していない物理センサを使用するために、物理センサクライアントの実装例を示します。
今回は、BoschのセンサBME680を用いたガスセンサの物理センサクライアントを作成します。
2020年4月以降のArduino向けライブラリには、センシング用アルゴリズムライブラリがとりこまれています。 |
2020年4月現在、ArduinoIDEの最新バージョン(1.8.12)では、buildができなくなっています。ご注意ください。 https://github.com/arduino/arduino-builder/issues/353 |
SpresenseのCoreは、ARM Coretex-M4F ですので、"cortex-m4 -mfpu=fpv4-sp-d16 -mfloat-abi=hard" のライブラリを使用します。 |
-
BME680 Arduinoライブラリのインストール方法について
-
上記サイトより「Clone or download」→「Download ZIP」を選択し ZIP ファイルを保存します。
-
Arduino IDE のメニューから
スケッチ → ライブラリをインクルード → .ZIP形式のライブラリをインストール…
を選択し、保存しておいた ZIP ファイルを選択します。 -
Arduino IDE に「ライブラリが追加されました」と表示されればインストール成功です。
-
このセンサは、3秒または5分に1回、温度・湿度・気圧・ガスなどの環境センシングが可能です。
ガスセンサの物理センサクライアントを作成することで、センサフュージョン・エッジAIが可能になります。そのため、ガスセンサ用の物理センサクライアントを作成します。
enum
{
SEN_selfID = SensorClientID00, /* 0 */
SEN_accelID = SensorClientID01, /* 1 */
SEN_accel1ID = SensorClientID02, /* 2 */
SEN_magID = SensorClientID03, /* 3 */
SEN_pressureID = SensorClientID04, /* 4 */
SEN_lightID = SensorClientID05, /* 5 */
SEN_pulseID = SensorClientID06, /* 6 */
SEN_tempID = SensorClientID07, /* 7 */
SEN_gyroID = SensorClientID08, /* 8 */
SEN_gnssID = SensorClientID09, /* 9 */
SEN_stepcounterID = SensorClientID10, /* 10 */
SEN_tramID = SensorClientID11, /* 11 */
SEN_gestureID = SensorClientID12, /* 12 */
SEN_compassID = SensorClientID13, /* 13 */
SEN_barometerID = SensorClientID14, /* 14 */
SEN_tramliteID = SensorClientID15, /* 15 */
SEN_vadID = SensorClientID16, /* 16 */
SEN_wuwsrID = SensorClientID17, /* 17 */
SEN_adcID = SensorClientID18, /* 18 */
SEN_reserve19ID = SensorClientID19, /* 19 */
SEN_app0ID = SensorClientID20, /* 20 */
SEN_app1ID = SensorClientID21, /* 21 */
SEN_app2ID = SensorClientID22, /* 22 */
SEN_app3ID = SensorClientID23, /* 23 */
SEN_ID_MAX = NumOfGeneralSensorClientID,
};
予約されているSensorIDの中で使用しないもの、例えば以下のIDを使います。
SEN_pulseID = SensorClientID06, /* 6 */
次のようにSensorIDを定義して使います。
#define SensorClientID06 GasSensorID
次に、ガスセンサークライアントを作成します。
SensorClientクラスをベースクラスにして、以下のようにGasセンサのクラスを GasSensor.h
などに定義します。
-
Header例(GasSenser.h)
class GasSensorClass : public SensorClient
{
public:
bool begin(int id,
int rate,
int sample_watermark_num,
int size_per_sample = sizeof(struct bsec_virtual_sensor_t));
/**
* @brief 1 Sample data write.
*/
int write_data(float temp, float humi, float pres, float gas);
private:
bool begin(int id,
uint32_t subscriptions = 0,
int rate = 0,
int size_per_sample = 0);
struct gas_sensor_s
{
float temp;
float humi;
float pres;
float gas;
};
int m_cnt; /* private counter */
unsigned long m_previous_time;
MemMgrLite::MemHandle m_mh;
};
論理センサに publish
したいデータを
struct gas_sensor_s
{
float temp;
float humi;
float pres;
float gas;
};
のように定義し、こちらを送るような実装を行います。
int write_data(float temp, float humi, float pres, float gas);
write
の関数で、必要なデータの書き込みインタフェースを用意します。
今回のセンサは3秒に1回のセンシングなので、毎回センシングデータを publish
する例にしています。
また、サンプリングレートに相当する rate
はセンシングのInterval間隔を入れています。
実際にセンシングしたいデータは適宜変更してください。 サンプリングも同様に適宜変更してください。 |
内部の処理は、 GasSensor.cpp
などに、
-
実装例(GasSenser.cpp)
#include <GasSensor.h>
#include "Arduino.h"
#define GAS_INTERVAL_THRESHOLD 10000 /* [10s] */
Includeと、センシングしているデータが不連続であると判断するデータの間隔 GAS_INTERVAL_THRESHOLD
を定義します。
bool GasSensorClass::begin(int id,
uint32_t subscriptions,
int rate, /* Interval time */
int sample_watermark_num,
int size_per_sample)
{
m_cnt = 0;
m_previous_time = millis();
if (ERR_OK != m_mh.allocSeg(
SENSOR_DATA_BUF_POOL,
size_per_sample * sample_watermark_num))
{
/* Fatal error occured. */
printf("Fail to allocate segment of memory handle.\n");
return false;
}
return true;
}
bool GasSensorClass::begin(int id,
int rate,
int size_per_sample)
{
return begin(id, 0, rate, 1, size_per_sample);
}
begin
を定義します。このセンサの場合、3秒単位か5分単位のセンシング間隔ですので、 rate
は間隔をmsで設定するように実装してみています。
size_per_sample
は、取りたいデータにより決まります。
int write_data(float temp, float humi, float pres, float gas);
{
/* Check reading cycle */
long now = millis();
int read_duration = m_rate * 1000; /* 3s */
int diff = now - m_previous_time;
if (diff <= read_duration)
{
/* Do not get data. Because the interval of the cycle is short.
* Return as a normal end
*/
return SENSORCLIENT_ECODE_OK;
}
if (diff >= GAS_INTERVAL_THRESHOLD)
{
/* Input interval exceeded threshold. Clear the buffer. */
m_previous_time = now;
printf("Input interval exceeded threshold!\n");
}
else
{
/* Update previous time */
m_previous_time += read_duration;
}
/* Read raw accelerometer measurements from BME680 */
FAR struct gas_sensor_s *p_src =
reinterpret_cast<struct gas_sensor_s *>(m_mh.getPa());
p_src.temp = temp;
p_src.humi = humi;
p_src.pres = pres;
p_src.gas = gas;
/* Check if the sample for one process has accumulated */
publish(m_mh,
sizeof(struct gas_sensor_s),
m_rate,
m_sample_watermark_num,
now);
/* Create new memory buffer. */
if (ERR_OK != m_mh.allocSeg(
SENSOR_DATA_BUF_POOL,
sizeof(struct gas_sensor_s))
{
/* Fatal error occured. */
printf("Fail to allocate segment of memory handle.\n");
assert(0);
}
}
return SENSORCLIENT_ECODE_OK;
}
GasSensorClass GasSensor;
write_data
を定義します。今回は、温度、湿度、気圧、ガスの4つの値を取ります。
前回データを取得した時刻に対して、 read_duration
以下の場合は、センシングしないで抜けます。 read_duration
を超えている場合は、データを取得します。 GAS_INTERVAL_THRESHOLD
以上離れてしまった場合は異常があったとしてエラー処理をします。
取得した各データは、
FAR struct gas_sensor_s *p_src =
reinterpret_cast<struct gas_sensor_s *>(m_mh.getPa());
で取得した共有メモリエリアに、
p_src.temp = temp;
p_src.humi = humi;
p_src.pres = pres;
p_src.gas = gas;
このように gas_sensor_s
型で書き込みます。
書き込んだら、
publish(m_mh,
sizeof(struct gas_sensor_s),
m_rate,
m_sample_watermark_num,
now);
で、publishします。 pulishしたら、新しい共有メモリを以下で確保します。
if (ERR_OK != m_mh.allocSeg(
SENSOR_DATA_BUF_POOL,
sizeof(struct gas_sensor_s))
{
/* Fatal error occured. */
printf("Fail to allocate segment of memory handle.\n");
assert(0);
}
}
以上にのように物理センサクライアントを作成したら、実際にアプリケーションからセンシングしたデータを書き込むスケッチを作成します。
BSEC/examples/basic
の basic.ino
を参考に作成してください。
まず、こちらのIncludeを追加してください。
#include <MemoryUtil.h>
#include <SensorManager.h>
#include <GasSensor.h>
setup() 関数の中に
#define SensorClientID06 GasSensorID
void setup(void)
{
GasSensor.begin(GasSensorID,3,sizeof(struct gas_sensor_s));
を追記します。
loop()関数内のprintしている個所に、 write_data
を記載することで、
void loop(void)
{
(略)
output += ", " + String(iaqSensor.breathVocEquivalent);
output += ", " + String(iaqSensor.rawTemperature);
output += ", " + String(iaqSensor.rawHumidity);
output += ", " + String(iaqSensor.gasResistance);
Serial.println(output);
);
GasSensor.write_data(iaqSensor.temperature,iaqSensor.humidity,iaqSensor.pressure,iaqSensor.staticIaq);
Sensor Manager にpublishされます。
5. LTE チュートリアル
LTE チュートリアルでは、各種サンプルスケッチの動かし方について解説しています。
5.1. モデムの情報を取得する
5.1.2. 動作環境
-
Spresense メインボード
-
Spresense LTE拡張ボード
接続方法は、SpresenseメインボードとSpresense LTE拡張ボードの接続方法を参照してください。
5.1.3. 動作手順
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 LTE → LteTestModem
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
ツール → シリアルポート で Spresense の COM ポートを選択して、書き込みを実行します。
-
コンパイル&書き込み(Upload)の実行が終わったら、シリアルモニタを起動します。
-
ボーレート 115200 bps を選択すると、下図に示すようにメッセージが表示されます。
5.1.4. プログラム解説
ステップとして、「初期設定」、「setup()」、「loop()」の3つが動作しています。 これら3つの動作について詳しく解説します。
5.1.4.1. 初期設定
-
本スケッチで使用するライブラリのヘッダファイルをインクルードします。
// libraries #include <LTE.h> (1)
1 モデムの情報を取得するために、LTEライブラリを使用するため、ヘッダファイル <LTE.h> をインクルードします。 -
使用するクラスのインスタンスを初期化します。
// initialize the library instance LTEModem modem; (1)
1 LTEModemクラスのインスタンスを初期化します。 -
使用する変数を初期化します。
// IMEI variable String IMEI = ""; (1) String VERSION = "";
1 モデムのIMEI番号とファームウェアバージョンを格納する変数を定義します。
5.1.4.2. setup()
-
setup()関数ではSerialとモデムのセットアップを行います。
void setup() { // initialize serial communications and wait for port to open: Serial.begin(115200); (1) while (!Serial) { ; /* wait for serial port to connect. Needed for native USB port only */ } // start modem test (reset and check response) Serial.println("Starting modem test..."); if (LTE_IDLE == modem.begin()) { (2) Serial.println("modem.begin() succeeded."); } else { Serial.println("ERROR, no modem answer."); } }
1 メッセージ表示用にSerialのセットアップを行います。 2 LTEModemのbegin()メソッドを呼び出します。
begin()メソッドを呼び出すことでモデムの電源をONにします。正常にモデムの電源がONになった際、begin()メソッドはLTE_IDLEを返します。
5.1.4.3. loop()
-
loop()関数ではモデムのIMEI番号とファームウェアバージョンを取得し、シリアルモニタに表示します。
void loop() { // IMEI of the modem IMEI = modem.getIMEI(); (1) Serial.println("IMEI: " + IMEI); //Firmware version of the modem. VERSION = modem.getFirmwareVersion(); (2) Serial.println("VERSION: " + VERSION); sleep(1); }
1 LTEModemのgetIMEI()メソッドでモデムのIMEI番号を取得します。 2 LTEModemのgetFirmwareVersion()メソッドでモデムのファームウェアバージョンを取得します。
5.2. ネットワークの情報を取得する
5.2.1. 概要
LTEネットワークから情報を取得するサンプルスケッチです。
本スケッチでは、LTEネットワークにモデムを登録してから、LTEネットワークから以下の情報を取得します。
-
IPアドレス
-
受信強度
-
ネットワークキャリア名
5.2.2. 動作環境
-
Spresense メインボード
-
Spresense LTE拡張ボード
-
SIM カード
接続方法は、SpresenseメインボードとSpresense LTE拡張ボードの接続方法を参照してください。
本スケッチではネットワークに接続するため、SIM カードが必要です。
LTE-M 動作確認SIM Listをご確認ください。
5.2.3. 動作手順
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 LTE → LteScanNetworks
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
LTEネットワークにモデムを登録する際に必要なAPNパラメータを定義します。
ご使用のSIMに合わせて、値を修正する必要があります。#define LTE_APN "apn" // replace your APN (1) #define LTE_USER_NAME "user" // replace with your username (2) #define LTE_PASSWORD "password" // replace with your password (3)
1 ご使用のSIMに合わせた アクセスポイント名 を記述してください。 2 ご使用のSIMに合わせた ユーザ名 を記述してください。 3 ご使用のSIMに合わせた パスワード を記述してください。 -
ツール → シリアルポート で Spresense の COM ポートを選択して、書き込みを実行します。
-
コンパイル&書き込み(Upload)の実行が終わったら、シリアルモニタを起動します。
-
ボーレート 115200 bps を選択すると、下図に示すようにメッセージが表示されます。
動作環境によっては通信状態が不安定になり、正しく動作しないことがあります。 |
5.2.4. プログラム解説
ステップとして、「初期設定」、「setup()」、「loop()」の3つが動作しています。 これら3つの動作について詳しく解説します。
5.2.4.1. 初期設定
-
本スケッチで使用するライブラリのヘッダファイルをインクルードします。
// libraries #include <LTE.h> (1)
1 LTEネットワークにモデムを登録するために、LTEライブラリを使用するため、ヘッダファイル <LTE.h> をインクルードします。 -
LTEネットワークにモデムを登録する際に必要なAPNパラメータを定義します。
ご使用のSIMに合わせて、値を修正する必要があります。// APN data #define LTE_APN "apn" // replace your APN (1) #define LTE_USER_NAME "user" // replace with your username (2) #define LTE_PASSWORD "password" // replace with your password (3)
1 ご使用のSIMに合わせた アクセスポイント名 を記述してください。 2 ご使用のSIMに合わせた ユーザ名 を記述してください。 3 ご使用のSIMに合わせた パスワード を記述してください。 -
使用するクラスのインスタンスを初期化します。
// initialize the library instance LTE lteAccess; (1) LTEScanner scannerNetworks; (2)
1 LTEクラスのインスタンスを初期化します。 2 LTEScannerクラスのインスタンスを初期化します。
5.2.4.2. setup()
-
setup()関数ではSerialとモデムのセットアップを行います。
void setup() { // initialize serial communications and wait for port to open: Serial.begin(115200); (1) while (!Serial) { ; // wait for serial port to connect. Needed for Leonardo only } Serial.println("LTE networks scanner"); while (true) { if (lteAccess.begin() == LTE_SEARCHING) { (2) if (lteAccess.attach(LTE_APN, LTE_USER_NAME, LTE_PASSWORD) == LTE_READY) { (3) Serial.println("attach succeeded."); break; } Serial.println("An error occurred, shutdown and try again."); lteAccess.shutdown(); (4) sleep(1); } } }
1 メッセージ表示用にSerialのセットアップを行います。 2 LTEのbegin()メソッドを呼び出します。 begin()メソッドを呼び出すことでモデムの電源をONにし、ネットワークをサーチします。
正常にネットワークサーチが開始された際、begin()メソッドはLTE_SEARCHINGを返します。3 LTEのattach()メソッドを呼び出します。
attach()メソッドを呼び出すことで、LTEネットワークにモデムを登録します。
正常にLTEネットワークにモデムが登録された際、attach()メソッドはLTE_READYを返します。4 メソッドが期待の戻り値を返さない場合、LTEのshutdown()メソッドを呼び出します。
shutdown()メソッドを呼び出すことで、モデムの電源をOFFにします。
5.2.4.3. loop()
-
loop()関数ではIPアドレスと接続したLTEネットワークキャリア名、LTEネットワークの受信強度を取得し、シリアルモニタに表示します。
void loop() { // Assigned IP address IPAddress address = lteAccess.getIPAddress(); (1) Serial.print("IP address: "); Serial.println(address); // currently connected carrier Serial.print("Current carrier: "); Serial.println(scannerNetworks.getCurrentCarrier()); (2) // return signal strength Serial.print("Signal Strength: "); Serial.print(scannerNetworks.getSignalStrength()); (3) Serial.println(" [dBm]"); sleep(1); }
1 LTEのgetIPAddress()メソッドでLTEネットワークが割り当てたIPアドレスを取得します。 2 LTEScannerのgetCurrentCarrier()メソッドで接続したLTEネットワークキャリア名を取得します。 3 LTEScannerのgetSignalStrength()メソッドでLTEネットワークの受信強度を取得します。
5.3. HTTP GETメソッドをサーバに送信してデータを取得する
5.3.1. 概要
HTTP GETメソッドをLTEネットワークを介してサーバに送信し、データを取得するサンプルスケッチです。 本スケッチでは、LTEネットワークにモデムを登録し、サーバに対してHTTP GETメソッドを送信し、結果を取得します。
5.3.2. 動作環境
-
Spresense メインボード
-
Spresense LTE拡張ボード
-
SIM カード
接続方法は、SpresenseメインボードとSpresense LTE拡張ボードの接続方法を参照してください。
本スケッチではネットワークに接続するため、SIM カードが必要です。
LTE-M 動作確認SIM Listをご確認ください。
5.3.3. 動作手順
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 LTE → LteWebClient
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
LTEネットワークにモデムを登録する際に必要なAPNパラメータを定義します。
ご使用のSIMに合わせて、値を修正する必要があります。#define LTE_APN "apn" // replace your APN (1) #define LTE_USER_NAME "user" // replace with your username (2) #define LTE_PASSWORD "password" // replace with your password (3)
1 ご使用のSIMに合わせた アクセスポイント名 を記述してください。 2 ご使用のSIMに合わせた ユーザ名 を記述してください。 3 ご使用のSIMに合わせた パスワード を記述してください。 -
ツール → シリアルポート で Spresense の COM ポートを選択して、書き込みを実行します。
-
コンパイル&書き込み(Upload)の実行が終わったら、シリアルモニタを起動します。
-
ボーレート 115200 bps を選択すると、下図に示すようにメッセージが表示されます。
動作環境によっては通信状態が不安定になり、正しく動作しないことがあります。 |
5.3.4. プログラム解説
ステップとして、「初期設定」、「setup()」、「loop()」の3つが動作しています。 これら3つの動作について詳しく解説します。
5.3.4.1. 初期設定
-
本サンプルで使用するライブラリのヘッダファイルをインクルードします。
// libraries #include <LTE.h> (1)
1 LTEネットワークにモデムを登録するために、LTEライブラリを使用するため、ヘッダファイル <LTE.h> をインクルードします -
LTEネットワークにモデムを登録する際に必要なAPNパラメータを定義します。
ご使用のSIMに合わせて、値を修正する必要があります。// APN data #define LTE_APN "apn" // replace your APN (1) #define LTE_USER_NAME "user" // replace with your username (2) #define LTE_PASSWORD "password" // replace with your password (3)
1 ご使用のSIMに合わせた アクセスポイント名 を記述してください。 2 ご使用のSIMに合わせた ユーザ名 を記述してください。 3 ご使用のSIMに合わせた パスワード を記述してください。 -
使用するクラスのインスタンスを初期化します。
// initialize the library instance LTE lteAccess; (1) LTEClient client; (2)
1 LTEクラスのインスタンスを初期化します。 2 LTEClientクラスのインスタンスを初期化します。 -
接続先のサーバのパラメータを定義します。
// URL, path & port (for example: arduino.cc) char server[] = "arduino.cc"; (1) char path[] = "/asciilogo.txt"; (2) int port = 80; // port 80 is the default for HTTP (3)
1 接続先サーバ の URL 2 HTTP GET先 の サーバパス 3 接続先サーバ の ポート番号
5.3.4.2. setup()
-
setup()関数ではSerialとモデムのセットアップを行います。
void setup() { // initialize serial communications and wait for port to open: Serial.begin(115200); (1) while (!Serial) { ; // wait for serial port to connect. Needed for native USB port only } Serial.println("Starting web client."); // If your SIM has PIN, pass it as a parameter of begin() in quotes while (true) { if (lteAccess.begin() == LTE_SEARCHING) { (2) if (lteAccess.attach(LTE_APN, LTE_USER_NAME, LTE_PASSWORD) == LTE_READY) { (3) Serial.println("attach succeeded."); break; } Serial.println("An error occurred, shutdown and try again."); lteAccess.shutdown(); (4) sleep(1); } } // if you get a connection, report back via serial: if (client.connect(server, port)) { (5) Serial.println("connected"); // Make a HTTP request: client.print("GET "); (6) client.print(path); client.println(" HTTP/1.1"); client.print("Host: "); client.println(server); client.println("Connection: close"); client.println(); } else { // if you didn't get a connection to the server: Serial.println("connection failed"); } }
1 メッセージ表示用にSerialのセットアップを行います。 2 LTEのbegin()メソッドを呼び出します。 begin()メソッドを呼び出すことでモデムの電源をONにし、ネットワークをサーチします。
正常にネットワークサーチが開始された際、begin()メソッドはLTE_SEARCHINGを返します。3 LTEのattach()メソッドを呼び出します。
attach()メソッドを呼び出すことで、LTEネットワークにモデムを登録します。
正常にLTEネットワークにモデムが登録された際、attach()メソッドはLTE_READYを返します。4 メソッドが期待の戻り値を返さない場合、LTEのshutdown()メソッドを呼び出します。
shutdown()メソッドを呼び出すことで、モデムの電源をOFFにします。5 LTEClientのconnect()メソッドを呼び出します。
connect()メソッドを呼び出すことで、引数で指定したホスト名とポートに接続します。
サーバへの接続が成功した際、connect()メソッドは1を返します。6 LTEClientのprint()メソッド、println()メソッドを使用して接続したサーバに対してHTTPリクエストを送信します。
5.3.4.3. loop()
-
loop()関数ではHTTPレスポンスを受信し、応答メッセージをシリアルに表示します。
void loop() { // if there are incoming bytes available // from the server, read them and print them: if (int len = client.available()) { (1) char buff[len + 1]; buff[len] = '\0'; client.read(buff, len); (2) Serial.print(buff); } // if the server's disconnected, stop the client: if (!client.available() && !client.connected()) { (3) Serial.println(); Serial.println("disconnecting."); client.stop(); (4) // do nothing forevermore: for (;;) sleep(1); } }
1 LTEClientのavailable()メソッドを使用して、読み出し可能なバイト数を取得します。 2 LTEClientのread()メソッドを使用して、接続したサーバから受信したデータをバッファに読み出し、シリアルに出力します。 3 LTEClientのconnected()メソッドを使用して、クライアントがサーバに接続しているかどうかを取得します。 4 LTEClientのstop()メソッドを使用して、サーバーから切断します。
5.4. TLSプロトコルを使用したHTTP Clientの動作を確認する
5.4.1. 概要
TLSプロトコルを使用したHTTP Clientのサンプルスケッチです。
本スケッチの内容は、LTEネットワークにモデムを登録してから、TLSプロトコルを使用してサーバに接続し、Arduino HTTP Clientライブラリが提供するget()メソッド・post()メソッドの動作を確認します。
5.4.2. 動作環境
-
Spresense メインボード
-
Spresense LTE拡張ボード
-
SIM カード
-
microSD カード
接続方法は、SpresenseメインボードとSpresense LTE拡張ボードの接続方法を参照してください。
本スケッチではネットワークに接続するため、SIM カードが必要です。
LTE-M 動作確認SIM Listをご確認ください。
5.4.3. 動作手順
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 LTE → LteHttpSecureClient
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE 上から
ツール → ライブラリを管理…
を選択します。
検索欄にArduinoHttpClient
と入力し、結果にあるArduinoHttpClient by Arduino
をインストールします。 -
LTEネットワークにモデムを登録する際に必要なAPNパラメータを定義します。
ご使用のSIMに合わせて、値を修正する必要があります。#define LTE_APN "apn" // replace your APN (1) #define LTE_USER_NAME "user" // replace with your username (2) #define LTE_PASSWORD "password" // replace with your password (3)
1 ご使用のSIMに合わせた アクセスポイント名 を記述してください。 2 ご使用のSIMに合わせた ユーザ名 を記述してください。 3 ご使用のSIMに合わせた パスワード を記述してください。 -
TLSプロトコルに必要なルート証明書をエクスポートします。
手順はルート証明書のエクスポート手順を参考にしてください。 -
microSDカードのディレクトリ構成とファイルの保存先を以下のようにしてください 。
microSD: └CERTS/ └httpbin-org.pem
-
サンプルスケッチの
ROOTCA_FILE
をmicroSDカードに保存したファイル名に修正する必要があります。#define ROOTCA_FILE "CERTS/httpbin-org.pem" // Define the path to a file containing CA // certificates that are trusted.
microSDカードに保存した ルート証明書 の ファイル名 を記述します。
-
ツール → シリアルポート で Spresense の COM ポートを選択して、書き込みを実行します。
-
コンパイル&書き込み(Upload)の実行が終わったら、シリアルモニタを起動します。
-
ボーレート 115200 bps を選択すると、下図に示すようにメッセージが表示されます。
動作環境によっては通信状態が不安定になり、正しく動作しないことがあります。 |
5.4.4. プログラム解説
ステップとして、「初期設定」、「setup()」、「loop()」の3つが動作しています。 これら3つの動作について詳しく解説します。
5.4.4.1. 初期設定
-
本スケッチで使用するライブラリのヘッダファイルをインクルードします。
// libraries #include <ArduinoHttpClient.h> (1) #include <RTC.h> (2) #include <SDHCI.h> (3) #include <LTE.h> (4)
1 HTTP GETメソッド・POSTメソッドの送信にArduino HTTP Client ライブラリを使用するため、ヘッダファイル <ArduinoHttpClient.h> をインクルードします。 2 SPRESENSEの時刻を設定するために、RTC ライブラリを使用するため、ヘッダファイル <RTC.h> をインクルードします。 3 TLSプロトコルに必要な証明書・秘密鍵を参照するために、SD ライブラリを使用するため、ヘッダファイル <SDHCI.h> をインクルードします。 4 LTEネットワークにモデムを登録するために、LTEライブラリを使用するため、ヘッダファイル <LTE.h> をインクルードします。 -
LTEネットワークにモデムを登録する際に必要なAPNパラメータを定義します。
ご使用のSIMに合わせて、値を修正する必要があります。// APN data #define LTE_APN "apn" // replace your APN (1) #define LTE_USER_NAME "user" // replace with your username (2) #define LTE_PASSWORD "password" // replace with your password (3)
1 ご使用のSIMに合わせた アクセスポイント名 を記述してください。 2 ご使用のSIMに合わせた ユーザ名 を記述してください。 3 ご使用のSIMに合わせた パスワード を記述してください。 -
接続先のサーバのパラメータを定義します。
// URL, path & port (for example: httpbin.org) char server[] = "httpbin.org"; (1) char getPath[] = "/get"; (2) char postPath[] = "/post"; (3) int port = 443; // port 443 is the default for HTTPS (4)
1 接続先サーバ の URL 2 HTTP GET先 の サーバパス 3 HTTP POST先 の サーバパス 4 接続先サーバ の ポート番号 -
TLSプロトコルに必要なルート証明書・クライアント証明書・秘密鍵のパラメータを定義します。
microSDカードに保存したファイル名に修正する必要があります。#define ROOTCA_FILE "path/to/cafile" // Define the path to a file containing CA (1) // certificates that are trusted. #define CERT_FILE "path/to/certfile" // Define the path to a file containing certificate (2) // for this client, if required by the server. #define KEY_FILE "path/to/keyfile" // Define the path to a file containing private key (3) // for this client, if required by the server.
1 microSDカードに保存した ルート証明書 の ファイル名 を記述してください。 2 microSDカードに保存した クライアント証明書 の ファイル名 を記述してください。 3 microSDカードに保存した 秘密鍵 の ファイル名 を記述してください。 -
使用するクラスのインスタンスを初期化します。
// initialize the library instance LTE lteAccess; LTETLSClient tlsClient; HttpClient client = HttpClient(tlsClient, server, port); (1) SDClass theSD;
1 HttpClientのインスタンスを初期化する際に、LTETLSClientのインスタンスを指定します。
5.4.4.2. setup()
setup()関数の解説をします。
-
メッセージ表示用にSerialのセットアップを行います。
// initialize serial communications and wait for port to open: Serial.begin(115200); while (!Serial) { ; // wait for serial port to connect. Needed for native USB port only } Serial.println("Starting secure HTTP client.");
-
theSD.begin()メソッドでmicroSDカードをマウントします。
/* Initialize SD */ while (!theSD.begin()) { ; /* wait until SD card is mounted. */ }
-
LTEネットワークにモデムを登録します。
// If your SIM has PIN, pass it as a parameter of begin() in quotes while (true) { if (lteAccess.begin() == LTE_SEARCHING) { (1) if (lteAccess.attach(LTE_APN, LTE_USER_NAME, LTE_PASSWORD) == LTE_READY) { (2) Serial.println("attach succeeded."); break; } Serial.println("An error occurred, shutdown and try again."); lteAccess.shutdown(); (3) sleep(1); } }
1 lteAccess.begin()メソッドを使用して、LTEネットワークの探索を開始します。LTEネットワークの探索を開始するまで lteAccess.begin()メソッドを繰り返します。 2 lteAccess.attach()メソッドを使用して、LTEネットワークにモデムを登録します。LTEネットワークにモデムが登録されるとループ処理を抜けます。 3 LTEネットワークにモデムが登録できなかった場合、lteAccess.shutdown()メソッドを使用して、モデムの電源をOFFにし、 1秒ほどsleep()関数で待ってから、LTEネットワークの探索処理から再開します。 ご使用のSIMにPINロックをかけている場合、begin()メソッドにPINロック解除コードを指定してください。
-
SPRESENSEに時刻を設定し、設定した時刻をシリアルに出力します。
void printClock(RtcTime &rtc) (1) { printf("%04d/%02d/%02d %02d:%02d:%02d\n", rtc.year(), rtc.month(), rtc.day(), rtc.hour(), rtc.minute(), rtc.second()); } void setup() { : // Set local time (not UTC) obtained from the network to RTC. RTC.begin(); unsigned long currentTime; while(0 == (currentTime = lteAccess.getTime())) { (2) sleep(1); } RtcTime rtc(currentTime); (3) printClock(rtc); (4) RTC.setTime(rtc); (5) }
1 引数で与えられた時刻をシリアルに出力するprintClock()関数を定義します。 2 lteAccess.getTime()メソッドを使用して現地時刻(紀元からの秒数)を取得します。 3 RtcTimeのインスタンスを現地時刻で生成します。 4 printClock()関数を使用し、シリアルに現地時刻を出力します。 5 RTC.setTime()メソッドを使用して、SPRESENSEに現地時刻を設定します。
5.4.4.3. loop()
loop関数の解説をします。
-
microSDカードに保存した証明書・秘密鍵をモデムに設定する。
// Set certifications via a file on the SD card before connecting to the server File rootCertsFile = theSD.open(ROOTCA_FILE, FILE_READ); (1) tlsClient.setCACert(rootCertsFile, rootCertsFile.available()); (2) rootCertsFile.close(); // Remove these commented out if client authentication is required. //File certsFile = theSD.open(CERT_FILE, FILE_READ); //tlsClient.setCertificate(certsFile, certsFile.available()); (3) //certsFile.close(); //File priKeyFile = theSD.open(KEY_FILE, FILE_READ); //tlsClient.setPrivateKey(priKeyFile, priKeyFile.available()); (4) //priKeyFile.close();
1 theSD.open()メソッドを使用して、ルート証明書のFileインスタンスを生成します。 2 tlsClient.setCACert()メソッドに、ルート証明書のFileインスタンスを指定して、モデムにルート証明書を設定します。 3 クライアント証明書が必要な場合、ルート証明書と同様にFileインスタンスを生成して、 tlsClient.setCertificate()メソッドを使用して、モデムにクライアント証明書を設定します。 4 秘密鍵が必要な場合、ルート証明書と同様にFileインスタンスを生成して、 tlsClient.setPrivateKey()メソッドを使用して、モデムに秘密鍵を設定します。 -
HTTP GETメソッドの動作を確認する。
// HTTP GET method Serial.println("making GET request"); client.get(getPath); (1) // read the status code and body of the response int statusCode = client.responseStatusCode(); (2) String response = client.responseBody(); (3) Serial.print("Status code: "); Serial.println(statusCode); (4) Serial.print("Response: "); Serial.println(response); (5) Serial.println("Wait five seconds"); sleep(5);
1 client.get()メソッドを使用して、サーバにTLSプロトコルで接続し、HTTP GETメソッドを送信します。 2 client.responseStatusCode()メソッドを使用して、サーバから応答メッセージを受信し、受信したステータスコードを取得します。 3 client.responseBody()メソッドを使用して、サーバからの応答メッセージのbody部を取得します。 4 取得したステータスコードをシリアルに出力します。 5 取得したメッセージのbody部をシリアルに出力します。 -
HTTP POSTメソッドの動作を確認する。
// HTTP POST method Serial.println("making POST request"); String contentType = "application/x-www-form-urlencoded"; (1) String postData = "name=Alice&age=12"; (2) client.post(postPath, contentType, postData); (3) // read the status code and body of the response statusCode = client.responseStatusCode(); (4) response = client.responseBody(); (5) Serial.print("Status code: "); Serial.println(statusCode); (6) Serial.print("Response: "); Serial.println(response); (7) // do nothing forevermore: for (;;) sleep(1);
1 POSTするメッセージのContent-Typeを指定します。 2 POSTするメッセージのbody部を記述します。 3 client.post()メソッドを使用して、サーバにTLSプロトコルで接続し、HTTP POSTメソッドを送信します。 4 client.responseStatusCode()メソッドを使用して、サーバから応答メッセージを受信し、受信したステータスコードを取得します。 5 client.responseBody()メソッドを使用して、サーバからの応答メッセージのbody部を取得します。 6 取得したステータスコードをシリアルに出力します。 7 取得したメッセージのbody部をシリアルに出力します。
5.5. UDPプロトコルを使用したNTP Clientの動作を確認する
5.5.1. 概要
UDPプロトコルを使用したNTP Clientのサンプルスケッチです。
本スケッチの内容は、LTEネットワークにモデムを登録してから、UDPプロトコルを使用してNTPサーバに接続し、Arduino NTP Clientライブラリが提供するupdate()メソッドの動作を確認します。
5.5.2. 動作環境
-
Spresense メインボード
-
Spresense LTE拡張ボード
-
SIM カード
接続方法は、SpresenseメインボードとSpresense LTE拡張ボードの接続方法を参照してください。
本スケッチではネットワークに接続するため、SIM カードが必要です。
LTE-M 動作確認SIM Listをご確認ください。
5.5.3. 動作手順
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 LTE → LteNtpClient
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE 上から
ツール → ライブラリを管理…
を選択します。
検索欄にNTPClient
と入力し、結果にあるNTPClient by Fabrice Weinberg
をインストールします。 -
LTEネットワークにモデムを登録する際に必要なAPNパラメータを定義します。
ご使用のSIMに合わせて、値を修正する必要があります。#define LTE_APN "apn" // replace your APN (1) #define LTE_USER_NAME "user" // replace with your username (2) #define LTE_PASSWORD "password" // replace with your password (3)
1 ご使用のSIMに合わせた アクセスポイント名 を記述してください。 2 ご使用のSIMに合わせた ユーザ名 を記述してください。 3 ご使用のSIMに合わせた パスワード を記述してください。 -
ツール → シリアルポート で Spresense の COM ポートを選択して、書き込みを実行します。
-
コンパイル&書き込み(Upload)の実行が終わったら、シリアルモニタを起動します。
-
ボーレート 115200 bps を選択すると、下図に示すようにメッセージが表示されます。
動作環境によっては通信状態が不安定になり、正しく動作しないことがあります。 |
5.5.4. プログラム解説
ステップとして、「初期設定」、「setup()」、「loop()」の3つが動作しています。 これら3つの動作について詳しく解説します。
5.5.4.1. 初期設定
-
本スケッチで使用するライブラリのヘッダファイルをインクルードします。
// libraries #include <NTPClient.h> (1) #include <LTE.h> (2)
1 NTPサーバとの同期にArduino NTP Clientライブラリを使用するため、ヘッダファイル <NTPClient.h> をインクルードします。 2 LTEネットワークにモデムを登録するために、LTEライブラリを使用するため、ヘッダファイル <LTE.h> をインクルードします。 -
LTEネットワークにモデムを登録する際に必要なAPNパラメータを定義します。
ご使用のSIMに合わせて、値を修正する必要があります。// APN data #define LTE_APN "apn" // replace your APN (1) #define LTE_USER_NAME "user" // replace with your username (2) #define LTE_PASSWORD "password" // replace with your password (3)
1 ご使用のSIMに合わせた アクセスポイント名 を記述してください。 2 ご使用のSIMに合わせた ユーザ名 を記述してください。 3 ご使用のSIMに合わせた パスワード を記述してください。 -
NTPサーバ名、時刻オフセット、時刻の同期間隔を定義します。
#define NTP_SERVER_NAME "ntp.nict.jp" (1) #define TIME_OFFSET (9 * 60 * 60) // time offset in seconds(This example is JST) (2) #define UPDATE_INTERVAL 60000 // update interval in milliseconds (3)
1 同期するNTPサーバ の ホスト名 2 時刻オフセット値 3 NTPサーバ との 時刻同期間隔 -
使用するクラスのインスタンスを初期化します。
// initialize the library instance LTE lteAccess; (1) LTEUDP ntpUDP; (2) // You can specify the time server pool and the offset (in seconds, can be // changed later with setTimeOffset() ). Additionaly you can specify the // update interval (in milliseconds, can be changed using setUpdateInterval() ). NTPClient timeClient(ntpUDP, NTP_SERVER_NAME, TIME_OFFSET, UPDATE_INTERVAL); (3)
1 LTEクラスのインスタンスを初期化します。 2 LTEUDPクラスのインスタンスを初期化します。 3 NTPClientクラスのインスタンスを初期化します。
5.5.4.2. setup()
-
setup()関数ではSerialとモデムのセットアップを行い、UDPクライアントを起動します。
void setup() { // initialize serial communications and wait for port to open: Serial.begin(115200); (1) while (!Serial) { ; // wait for serial port to connect. Needed for native USB port only } Serial.println("Starting NTP client."); // If your SIM has PIN, pass it as a parameter of begin() in quotes while (true) { if (lteAccess.begin() == LTE_SEARCHING) { (2) if (lteAccess.attach(LTE_APN, LTE_USER_NAME, LTE_PASSWORD) == LTE_READY) { (3) Serial.println("attach succeeded."); break; } Serial.println("An error occurred, shutdown and try again."); lteAccess.shutdown(); (4) sleep(1); } } timeClient.begin(); (5) }
1 メッセージ表示用にSerialのセットアップを行います。 2 LTEのbegin()メソッドを呼び出します。 begin()メソッドを呼び出すことでモデムの電源をONにし、ネットワークをサーチします。
正常にネットワークサーチが開始された際、begin()メソッドはLTE_SEARCHINGを返します。3 LTEのattach()メソッドを呼び出します。
attach()メソッドを呼び出すことで、LTEネットワークにモデムを登録します。
正常にLTEネットワークにモデムが登録された際、attach()メソッドはLTE_READYを返します。4 メソッドが期待の戻り値を返さない場合、LTEのshutdown()メソッドを呼び出します。
shutdown()メソッドを呼び出すことで、モデムの電源をOFFにします。5 NTPClientのbegin()メソッドを使用して、NTPサーバにUDPプロトコルで接続します。
5.6. AWSサーバにGNSS位置情報をPublishする
5.6.1. 概要
GNSS ライブラリ を使用し、取得した位置情報をMQTTプロトコルを使用してMQTTブローカにPublishするサンプルスケッチです。
本スケッチの内容は、LTEネットワークにモデムを登録してから、Arduino MQTT Clientライブラリを使用してMQTTブローカに接続します。GNSSライブラリを使用して測位を開始し、位置情報と時刻を含んだメッセージをArduino MQTT Clientライブラリを使用してMQTTブローカにPublishします。
5.6.2. 動作環境
-
Spresense メインボード
-
Spresense LTE拡張ボード
-
SIM カード
-
microSD カード
接続方法は、SpresenseメインボードとSpresense LTE拡張ボードの接続方法を参照してください。
本スケッチではネットワークに接続するため、SIM カードが必要です。
LTE-M 動作確認SIM Listをご確認ください。
5.6.3. 動作手順
-
AWS IoTを導入するため、 AWS アカウントの作成 をします。
作成手順については AWS アカウント作成の流れ を参考にしてください。 -
AWS IoT の使用を開始します。
開始手順については AWS IoT の使用開始 を参考にしてください。 -
証明書をPCにダウンロードします。
Registry でデバイスを登録する の手順で発行した証明書をダウンロードします。ダウンロードするファイルは以下の3つです。-
ルート証明書:Amazon_Root_CA_1.pem
-
クライアント証明書:c3c4ff2375.cert.pem
-
秘密鍵:c3c4ff2375.private.key
ファイル名は上記リンク先に表示されている例で記載しています。環境によって異なるため適宜読み替えてください。
-
-
PCにダウンロードした証明書をmicroSDカードに保存します。
microSDカードにCERTSというディレクトリを作成して上記3ファイルを格納します。 -
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 LTE → LteGnssTracker
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE 上から
ツール → ライブラリを管理…
を選択します。
検索欄にArduinoMqttClient
と入力し、結果にあるArduinoMqttClient by Arduino
をインストールします。 -
LTEネットワークにモデムを登録する際に必要なAPNパラメータを定義します。
ご使用のSIMに合わせて、値を修正する必要があります。// APN data #define LTE_APN "apn" // replace your APN (1) #define LTE_USER_NAME "user" // replace with your username (2) #define LTE_PASSWORD "password" // replace with your password (3)
1 ご使用のSIMに合わせた アクセスポイント名 を記述してください。 2 ご使用のSIMに合わせた ユーザ名 を記述してください。 3 ご使用のSIMに合わせた パスワード を記述してください。 -
MQTTブローカの接続に必要な設定パラメータを記述します。
MQTTブローカ名の確認方法を以下に示します。
-
AWS IoT コンソールを開きます。
-
[Manage (管理)]、[Things (モノ)] の順に選択します。事前に作成した IoT のモノを選択し、[Interact (操作)] を選択します。モノ の詳細ページの [HTTPS] セクションにエンドポイントが表示されます。
// MQTT broker #define BROKER_NAME "your-MQTT-broker" // replace with your broker (1) #define BROKER_PORT 8883 // port 8883 is the default for MQTT over TLS. (2)
1 [HTTPS] セクション表示されたエンドポイントを記述してください。 2 接続先の ポート を指定します。デフォルトは 8883 です。この手順ではデフォルトから変更する必要はありません。
-
-
TLSプロトコルに必要なルート証明書・クライアント証明書・秘密鍵のパラメータを記述します。
microSDカードに保存したファイル名に修正します。#define ROOTCA_FILE "CERTS/Amazon_Root_CA_1.pem" // Define the path to a file containing CA (1) // certificates that are trusted. #define CERT_FILE "CERTS/c3c4ff2375.cert.pem" // Define the path to a file containing certificate (2) // for this client, if required by the server. #define KEY_FILE "CERTS/c3c4ff2375.private.key" // Define the path to a file containing private key (3) // for this client, if required by the server.
1 microSDカードに保存した ルート証明書 の ファイル名 を記述します。 2 microSDカードに保存した クライアント証明書 の ファイル名 を記述します。 3 microSDカードに保存した 秘密鍵 の ファイル名 を記述します。 ファイル名は例です。ご自身でダウンロードしたファイル名に書き換えてください。
-
サンプルアプリケーションがPublishする トピック を記述します。
AWS IoT MQTT クライアントでデバイスの MQTT メッセージを確認するでサブスクライブしたとトピックを記述します。// MQTT topic #define MQTT_TOPIC "spresense/gnss_tracker" // replace with your topic
-
ツール → シリアルポート で Spresense の COM ポートを選択して、書き込みを実行します。
-
コンパイル&書き込み(Upload)の実行が終わったら、シリアルモニタを起動します。
-
ボーレート 115200 bps を選択します。
正常にLTEネットワークにモデムが登録され、MQTTブローカーに接続が完了するとYou’re connected to the MQTT broker!
と表示されます。
その後、測位が完了するとPosition is fixed.
と表示されます。
測位完了から1秒おきに合計60回、測位データをPublishします。成功した場合は下図に示すようにメッセージが表示されます。動作環境によっては通信状態が不安定になり、正しく動作しないことがあります。
詳細はFAQを確認してください。 -
AWS IoT コンソールでメッセージがPublishされたか確認します。
-
AWS IoT コンソールでサブスクライブしたメッセージをCSVファイルでエクスポートします。
-
ダウンロードしたCSVファイルを加工しGPSロガーデータを作成します。パソコン等の専用ツールを使って、 移動の軌跡を地図上に重ねて閲覧表示するためです。
-
ダウンロードしたCSVからpayload部分 (
$GPGGA,
から,*xx
まで ) のみを抽出します。 抽出した際のイメージを以下に示します。この文字列が合計60行続きます。$GPGGA,053156.05,3525.6925,N,13922.2242,E,1,08,1.1,47.8,M,,M,,*44
-
GPSロガーデータを確認します。
GPS ロガーデータの確認手順 を参照してください。
-
5.6.4. プログラム解説
ステップとして、「初期設定」、「setup()」、「loop()」の3つが動作しています。 これら3つの動作について詳しく解説します。
5.6.4.1. 初期設定
-
本スケッチで使用するライブラリのヘッダファイルをインクルードします。
// APN data #include <RTC.h> (1) #include <SDHCI.h> (2) #include <GNSS.h> (3) #include <LTE.h> (4) #include <ArduinoMqttClient.h> (5)
1 SPRESENSEの時刻を設定するために、RTC ライブラリを使用するため、ヘッダファイル <RTC.h> をインクルードします。 2 TLSプロトコルに必要な証明書・秘密鍵を参照するために、SD ライブラリを使用するため、ヘッダファイル <SDHCI.h> をインクルードします。 3 GNSSライブラリを使用して測位するために <GNSS.h>をインクルードします。 4 LTEネットワークにモデムを登録するために、LTEライブラリを使用するため、ヘッダファイル <LTE.h> をインクルードします。 5 MQTTでメッセージをPublishするために Arduino MQTT Clientライブラリ を使用するため、ヘッダファイル <ArduinoMqttClient.h> をインクルードします。 -
LTEネットワークにモデムを登録する際に必要なAPNパラメータを定義します。
ご使用のSIMに合わせて、値を修正する必要があります。// APN data #define LTE_APN "apn" // replace your APN (1) #define LTE_USER_NAME "user" // replace with your username (2) #define LTE_PASSWORD "password" // replace with your password (3)
1 ご使用のSIMに合わせた アクセスポイント名 を記述してください。 2 ご使用のSIMに合わせた ユーザ名 を記述してください。 3 ご使用のSIMに合わせた パスワード を記述してください。 -
MQTTブローカの接続に必要な設定パラメータを定義します。
// MQTT broker #define BROKER_NAME "your-MQTT-broker" // replace with your broker (1) #define BROKER_PORT 8883 // port 8883 is the default for MQTT over TLS. (2)
1 MQTTブローカ名 を記述してください。 2 接続先の ポート を指定します。TLSプロトコルを使ったMQTTのデフォルトは 8883 です。 -
TLSプロトコルに必要なルート証明書・クライアント証明書・秘密鍵の保存場所を定義します。
#define ROOTCA_FILE "path/to/cafile" // Define the path to a file containing CA (1) // certificates that are trusted. #define CERT_FILE "path/to/certfile" // Define the path to a file containing certificate (2) // for this client, if required by the server. #define KEY_FILE "path/to/keyfile" // Define the path to a file containing private key (3) // for this client, if required by the server.
1 ルート証明書 の ファイル名 を記述してください。 2 クライアント証明書 の ファイル名 を記述してください。 3 秘密鍵 の ファイル名 を記述してください。 例えばCERTSディレクトリを作成して
cafile
という名前で保存した場合はCERTS/cafile
と記述します。必ずしもmicroSDカードに保存する必要はありません。SPI-Flashに保存したファイルを指定することも可能です。
その場合は <Flash.h> をインクルードしてオブジェクト名をtheSD
からFlash
に変更してください。
theSD.beginでマウントが完了するのを待つ処理を削除してください。 -
サンプルアプリケーションがPublishする トピック を記述します。
// MQTT topic #define MQTT_TOPIC "spresense/gnss_tracker" // replace with your topic
-
MQTTブローカにPublishするメッセージの間隔と回数を定義します。
// MQTT publish interval settings #define PUBLISH_INTERVAL_SEC 1 // MQTT publish interval in sec (1) #define MAX_NUMBER_OF_PUBLISH 60 // Maximum number of publish (2)
1 MQTTブローカにメッセージをPublishする間隔(秒)を記述してください。 2 MQTTブローカにメッセージをPublishする回数を記述してください。この回数に達するとPublishを終了する動作となります。 -
使用するクラスのインスタンスを初期化します。
// initialize the library instance LTE lteAccess; LTETLSClient client; (1) MqttClient mqttClient(client); (2) SDClass theSD; SpGnss Gnss;
1 LTETLSClientのインスタンスを初期化します。 2 MqttClientのインスタンスを初期化する際に、LTETLSClientのインスタンスを指定します。 LTETLSClientクラスからLTEClientクラスに変更することでプレーンなMQTTで動作させることが可能です。
プレーンなMQTTの接続先ポート番号は1883
です。また証明書の設定処理が不要となります。
5.6.4.2. setup()
setup()関数の解説をします。
-
メッセージ表示用にSerialのセットアップを行います。
// Open serial communications and wait for port to open Serial.begin(115200); while (!Serial) { ; // wait for serial port to connect. Needed for native USB port only } Serial.println("Starting GNSS tracker via LTE.");
-
microSD カードがマウントされるまで待ちます。
/* Initialize SD */ while (!theSD.begin()) { ; /* wait until SD card is mounted. */ }
-
LTEネットワークにモデムの登録処理を開始します。
// If your SIM has PIN, pass it as a parameter of begin() in quotes while (true) { if (lteAccess.begin() == LTE_SEARCHING) { (1) if (lteAccess.attach(LTE_APN, LTE_USER_NAME, LTE_PASSWORD, LTE_NET_AUTHTYPE_CHAP, LTE_NET_IPTYPE_V4V6, false) == LTE_CONNECTING) { (2) Serial.println("Attempting to connect to network."); break; } Serial.println("An error occurred, shutdown and try again."); lteAccess.shutdown(); (3) sleep(1); } }
1 lteAccess.begin()メソッドを使用して、LTEネットワークの探索を開始します。LTEネットワークの探索を開始するまでlteAccess.begin()メソッドを繰り返します。 2 lteAccess.attach()メソッドを使用して、LTEネットワークにモデムを登録します。第6引数の synchronous
をfalse
に設定して、登録処理を非同期で実行します。これはモデムが登録される間に並行してGNSSの初期化処理を実行するためです。正しくモデムの登録が開始されるとループ処理を抜けます。3 LTEネットワークに登録開始できなかった場合、lteAccess.shutdown()メソッドを使用して、モデムの電源をOFFにし、1秒ほどsleep()関数で待ってから、LTEネットワークの探索処理から再開します。 ご使用のSIMにPINロックをかけている場合、begin()メソッドにPINロック解除コードを指定してください。
-
GNSSの初期化処理を実行します。
int result; /* Activate GNSS device */ result = Gnss.begin(); assert(result == 0); /* Start positioning */ result = Gnss.start(); assert(result == 0); Serial.println("Gnss setup OK");
-
LTEネットワークにモデムが登録されるまで待ちます。
while(LTE_READY != lteAccess.getStatus()) { (1) sleep(1); } Serial.println("attach succeeded.");
1 lteAccess.getStatus()メソッドを使用して、モデムの状態を取得します。モデムの状態が LTE_READY
に遷移したらループを抜けます。 -
SPRESENSEに時刻を設定し、設定した時刻をシリアルに出力します。
void printClock(RtcTime &rtc) (1) { printf("%04d/%02d/%02d %02d:%02d:%02d\n", rtc.year(), rtc.month(), rtc.day(), rtc.hour(), rtc.minute(), rtc.second()); } void setup() { : // Set local time (not UTC) obtained from the network to RTC. RTC.begin(); unsigned long currentTime; while(0 == (currentTime = lteAccess.getTime())) { (2) sleep(1); } RtcTime rtc(currentTime); (3) printClock(rtc); (4) RTC.setTime(rtc); (5) : }
1 引数で与えられた時刻をシリアルに出力するprintClock()関数を定義します。 2 lteAccess.getTime()メソッドを使用して現地時刻(紀元からの秒数)を取得します。 3 RtcTimeのインスタンスを現地時刻で生成します。 4 printClock()関数を使用し、シリアルに現地時刻を出力します。 5 RTC.setTime()メソッドを使用して、SPRESENSEに現地時刻を設定します。 -
microSD カードに保存したルート証明書・クライアント証明書・秘密鍵を読み込み、MQTTブローカに接続します。
// Set certifications via a file on the SD card before connecting to the MQTT broker File rootCertsFile = theSD.open(ROOTCA_FILE, FILE_READ); (1) client.setCACert(rootCertsFile, rootCertsFile.available()); (2) rootCertsFile.close(); File certsFile = theSD.open(CERT_FILE, FILE_READ); (3) client.setCertificate(certsFile, certsFile.available()); (4) certsFile.close(); File priKeyFile = theSD.open(KEY_FILE, FILE_READ); (5) client.setPrivateKey(priKeyFile, priKeyFile.available()); (6) priKeyFile.close(); Serial.print("Attempting to connect to the MQTT broker: "); Serial.println(broker); if (!mqttClient.connect(broker, port)) { (7) Serial.print("MQTT connection failed! Error code = "); Serial.println(mqttClient.connectError()); // do nothing forevermore: for (;;) sleep(1); } Serial.println("You're connected to the MQTT broker!");
1 theSD.open()メソッドを使用して、ルート証明書のFileインスタンスを生成します。 2 client.setCACert()メソッドに、ルート証明書のFileインスタンスを指定して、モデムにルート証明書を設定します。 3 theSD.open()メソッドを使用して、クライアント証明書のFileインスタンスを生成します。 4 client.setCertificate()メソッドに、クライアント証明書のFileインスタンスを指定して、モデムにクライアント証明書を設定します。 5 theSD.open()メソッドを使用して、秘密鍵のFileインスタンスを生成します。 6 client.setPrivateKey()メソッドに、秘密鍵のFileインスタンスを指定して、モデムに秘密鍵を設定します。 7 mqttClient.connect()メソッドを使用して、MQTTブローカーに接続します。
5.6.4.3. loop()
loop関数の解説をします。
-
GNSSからの受信を待ち測位結果を取得します。
void loop() { /* Check update. */ if (Gnss.waitUpdate(-1)) { (1) /* Get navData. */ SpNavData navData; Gnss.getNavData(&navData); (2)
1 Gnss.waitUpdate() 関数でGNSS からの受信を待ちます。 2 Gnss.getNavData() 関数で測位結果を取得します。 -
測位しているかどうか判定します。測位していた場合、MQTTブローカーにPublishします。
bool posFix = ((navData.posDataExist) && (navData.posFixMode != 0)); (1) if (posFix) { Serial.println("Position is fixed."); String nmeaString = getNmeaGga(&navData); (2) if (strlen(nmeaString.c_str()) != 0) { unsigned long currentTime = lteAccess.getTime(); if (currentTime >= lastPubSec + PUBLISH_INTERVAL_SEC) { (3) // Publish to broker Serial.print("Sending message to topic: "); Serial.println(topic); Serial.print("Publish: "); Serial.println(nmeaString); // send message, the Print interface can be used to set the message contents mqttClient.beginMessage(topic); (4) mqttClient.print(nmeaString); (5) mqttClient.endMessage(); (6) lastPubSec = currentTime; numOfPubs++; } } } else { Serial.println("Position is not fixed."); }
1 Gnss.getNavData() 関数で得られた navData
をもとに測位しているかどうか判定します。2 getNmeaGga() 関数を使用してNMEA 0183 フォーマットの GPGGA センテンスを取得します。 3 lteAccess.getTime() 関数を使用して現在の時刻を取得します。取得した時刻が前回Publishした時刻+Publish間隔よりも進んでいた場合にPublishする処理を実行します。 4 mqttClient.beginMessage() 関数を使用して対象のトピック名に対してのMQTTメッセージを構します。 5 mqttClient.print() 関数を使用してGPGGA センテンスをMQTTメッセージに設定します。 6 mqttClient.endMessage() 関数を使用して構築したMQTTメッセージをMQTTブローカーにPublishします。
5.7. ルート証明書のエクスポート手順
Firefoxを利用したルート証明書のエクスポート手順を記載します。
お使いのブラウザによって手順が異なるため、参考にしてください。
ここでは httpbin.org
のルート証明書をエクスポートします。
-
httpbin.org に移動し、
サイト認証ボタン (錠前) → 安全な接続
を選択します。 -
詳細を表示
を選択します。 -
ページ情報
からセキュリティ
タブへ移動し証明書を表示
を選択します。 -
Amazon Root CA 1
タブへ移動しPEM(cert)
を選択し証明書をエクスポートします。
6. AI チュートリアル
6.1. 手書き文字認識
Arduino IDE の ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 DNNRT → number_recognition
に
簡単な数字認識のサンプルスケッチが提供されています。
詳しくは、開発ガイドの DNNRTライブラリ を参照してください。 Neural Network Console を使って学習モデルを作成する方法や、 それを組み込んで実際に Spresense ボード上で認識器として動かす手順について書かれています。
また、その他のサンプルについてもこのチュートリアルに随時追加される予定です。
7. Arduino マルチコア環境
Arduino IDE を使ったマルチコアプログラミング開発環境について説明します。
Arduino マルチコア環境では、MultiCore MP
ライブラリを使用します。
アプリケーション CPU には、全部で 6 個のコアがあり、1 個の MainCore
と 5 個の SubCore
で構成されています。
通常のシングルコアアプリケーションでは、ユーザーは MainCore
のみを使ってプログラミングします。
一方、ここで説明するマルチコア環境を用いることで、ユーザーは SubCore
を含むすべてのコアに対して
任意のアプリケーションプログラムを書いて実行させることができるようになります。
- MainCore
-
MainCore は電源投入時に必ず起動されます。
- SubCore(s)
-
SubCore は MainCore からの制御によって起動されます。全部で 5 個の SubCore があります。
本チュートリアルでは、MultiCore MP
ライブラリに付属の 2 種類の Example を動かします。
- マルチコア Boot サンプル
-
4 個の SubCore を起動し、マルチコアを使って L チカを行います。
このサンプルを動作させることで、SubCore を起動するための手順を理解することができます。 - マルチコア MessageHello サンプル
-
MainCore と SubCore 間でメッセージのやり取りを行います。
このサンプルを動作させることで、MainCore と SubCore との通信方法について理解することができます。
7.1. マルチコア Boot サンプルを動かしてみる
主な手順としては、
-
Arduino IDE を使用してスケッチを開く
-
コアを選択する
-
コンパイル&アップロードする
これを動作させたいコアの数だけ繰り返します。
以下の手順にしたがって実行してみてください。
-
デスクトップから Arduino IDE を起動します
(デスクトップにアイコンが無い場合はスタートメニュー等から起動してください)マルチコアプログラミングで、複数の Arduino IDE ウィンドウを起動する際に注意事項があります。
Arduino IDE のメニューからFile → New
(ファイル → 新規作成
) でウィンドウを新規作成した場合、例えば、一つのウィンドウでCore
選択のメニューを切り替えると、その設定が連動して全てのウィンドウに反映されてしまいます。これを回避する方法として、 Core
ごとに複数の Arduino IDE ウィンドウを開くときは、毎回デスクトップ上のアイコンから Arduino IDE を起動してください。そうすることで、Core
選択などのメニュー設定が連動することなくウィンドウごとに独立して設定できるようになります。 -
MainCore プログラミング
-
Arduino IDE メニューから
File → Examples → Examples for Spresense → MultiCore MP → Boot → Main
(ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 → MultiCore MP → Boot → Main
) スケッチを開きます -
Main.ino スケッチの解説
MP.begin(subid)
により、引数 subid で指定した SubCore を起動します。
ここでは、SubCore1 ~ SubCore4 の計 4 個の SubCore を起動しています。 -
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → MainCore
(ツール → Core → MainCore
) を選択します下のステータスバーで
MainCore
が選択されていることを確認できますArduino IDE 1.8.9 以降のバージョンではメニューを切り替えたときに
ステータスバーが正しく表示されなくなるという不具合があります -
Upload ボタンを押して、Compile & Upload を行います
複数ウィンドウから複数コアのプログラムを同時に Upload することはできません。
Upload 動作が同時に実行されないようにコアごとに順番に行ってください。 -
Compile 結果のログに使用メモリサイズが表示されます
MainCore は常に 768 KByte のメモリを使用します。
正常に Upload が完了すれば、MainCore プログラミングは完了です
-
試しに SubCore プログラムがまだ存在しない状態でシリアルモニタを起動してみます。
SubCore が存在しないので、MP.begin(1~4)
の呼び出しがエラーで返ってきていることが分かります。シリアルモニタを開いている状態だと、他のウィンドウからの Upload が正しく行えないことがあります。
この確認を終えたら、シリアルモニタを閉じてください。
-
-
続いて SubCore のプログラミングを行います。
-
SubCore プログラミング
-
Arduino IDE メニューから
File → Examples → Examples for Spresense → MultiCore MP → Boot → Sub1
(ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 → MultiCore MP → Boot → Sub1
) スケッチを開きます -
Sub1.ino スケッチの解説
setup() で
MP.begin()
を呼び出して、MainCore に起動完了を通知します。
loop() ではMPLog()
によるログ表示と LED0 の点滅制御を行っています。 -
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → SubCore 1
(ツール → Core → SubCore 1
) を選択します下のステータスバーで
SubCore 1
が選択されていることを確認できますArduino IDE 1.8.9 以降のバージョンではメニューを切り替えたときに
ステータスバーが正しく表示されなくなるという不具合があります -
Upload ボタンを押して、Compile & Upload を行います
複数ウィンドウから複数コアのプログラムを同時に Upload することはできません。
Upload 動作が同時に実行されないようにコアごとに順番に行ってください。 -
Compile 結果のログに使用メモリサイズが表示されます
ここで使用する SubCore サンプルスケッチは 128 KByte のメモリを使用することが分かります。
このサイズは、ユーザープログラムに依存して増減します。正常に Upload が完了すれば、SubCore 1 のプログラミングは終了です
-
-
SubCore 2, 3, 4 についても同様の手順で、Compile & Upload を行ってください
-
Sub2 スケッチを開き、SubCore 2 を選択して、Compile & Upload
-
Sub3 スケッチを開き、SubCore 3 を選択して、Compile & Upload
-
Sub4 スケッチを開き、SubCore 4 を選択して、Compile & Upload
-
-
動作確認
-
Spresense メイン基板上の 4 個の緑 LED が点滅します
-
シリアルモニタを開くと、各コアからのログ出力が表示されます
-
-
まとめ
-
簡単なサンプルスケッチを使って SubCore の起動方法について解説しました。
既存のスケッチをマルチコア環境に移植するときはMP.begin()
の呼び出しを追加してください。 -
Arduino IDE の Compile & Upload 方法など、基本的な使い方はマルチコア環境でも特に変わりはありません。 主な差分は、
Tools → Core
(ツール → Core
) でコア選択のメニューが追加されていることです。
-
7.2. マルチコア MessageHello サンプルを動かしてみる
主な手順は、マルチコア Boot サンプルと同じです。
このサンプルでは、MainCore と SubCore(s) で共通のスケッチを使用します。
-
Arduino IDE を使用してスケッチを開く(一度だけ)
-
コアを選択する
-
コンパイル&アップロードする
これを動作させたいコアの数だけ繰り返します。 このサンプルでは、全て (計 5 個) の SubCore を動かします。
以下の手順にしたがって実行してみてください。
-
デスクトップから Arduino IDE を起動します
(デスクトップにアイコンが無い場合はスタートメニューから起動してください)マルチコアプログラミングで、複数の Arduino IDE ウィンドウを起動する際に注意事項があります。
Arduino IDE のメニューからFile → New
(ファイル → 新規作成
) でウィンドウを新規作成した場合、例えば、一つのウィンドウでCore
選択のメニューを切り替えると、その設定が連動して全てのウィンドウに反映されてしまいます。これを回避する方法として、 Core
ごとに複数の Arduino IDE ウィンドウを開くときは、毎回デスクトップ上のアイコンから Arduino IDE を起動してください。そうすることで、Core
選択などのメニュー設定が連動することなくウィンドウごとに独立して設定できるようになります。 -
MainCore プログラミング
-
Arduino IDE メニューから
File → Examples → MultiCore MP → Messsage → MessageHello
(ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 → MultiCore MP → Message → MessageHello
) スケッチを開きます -
MessageHello.ino スケッチの解説
スケッチ内で
#ifdef SUBCORE
~#else
~#endif
を使って、MainCore, SubCore の実装を切り替えています。-
MainCore ソースコードについて
setup() で
MP.begin(subid)
により、5 つの SubCore を起動しています。
setup() の最後にMP.RecvTimeout(MP_RECV_POLLING)
により受信をポーリングモードに設定しています。
このモードにするとMP.Recv()
を呼び出したときに受信待ちに入らずポーリング動作を行います。
loop() では、MP.Recv()
で各 SubCore から packet のアドレスを受信し、packet 内の message を printf() 出力しています。 -
SubCore のソースコードについて
setup() で
MP.begin()
を呼び出して、MainCore に起動完了を通知します。
loop() では、packet に "Hello" message を格納し、そのアドレスをMP.Send()
で MainCore へ送信しています。
-
-
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → MainCore
(ツール → Core → MainCore
) を選択します下のステータスバーで
MainCore
が選択されていることを確認できますArduino IDE 1.8.9 以降のバージョンではメニューを切り替えたときに
ステータスバーが正しく表示されなくなるという不具合があります -
Upload ボタンを押して、Compile & Upload を行います
複数ウィンドウから複数コアのプログラムを同時に Upload することはできません。
Upload 動作が同時に実行されないようにコアごとに順番に行ってください。 -
Compile 結果のログに使用メモリサイズが表示されます
MainCore は常に 768 KByte のメモリを使用します
正常に Upload が完了していれば、MainCore プログラミングは終了です。
-
続いて SubCore のプログラミングを行います
-
SubCore プログラミング
-
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → SubCore 1
(ツール → Core → SubCore 1
) を選択します下のステータスバーで
SubCore 1
が選択されていることを確認できますArduino IDE 1.8.9 以降のバージョンではメニューを切り替えたときに
ステータスバーが正しく表示されなくなるという不具合があります -
Upload ボタンを押して、Compile & Upload を行います
複数ウィンドウから複数コアのプログラムを同時に Upload することはできません。
Upload は同時に実行されないようにコアごとに順番に行ってください。 -
Compile 結果のログに使用メモリサイズが表示されます
ここで使用する SubCore サンプルスケッチは 128 KByte のメモリを使用することが分かります。
このサイズは、ユーザープログラムに依存して増減します。正常に Upload が完了していれば、SubCore 1 のプログラミングは終了です
-
-
SubCore 2, 3, 4, 5 についても同様の手順で、Compile & Upload を行ってください
-
SubCore 2 を選択して、Compile & Upload
-
SubCore 3 を選択して、Compile & Upload
-
SubCore 4 を選択して、Compile & Upload
-
SubCore 5 を選択して、Compile & Upload
-
-
動作確認
-
シリアルモニタを開いてください
-
各 SubCore が送信したメッセージを MainCore が受信し、シリアルモニタ上に表示されます
-
-
まとめ
-
サンプルスケッチを使って SubCore との通信方法について解説しました。
-
コア間でメモリが共有されているので、アドレスを渡してメッセージ通信を行うことができます。
-
コアごとにスケッチを分けずに共通のスケッチを使用したマルチコアプログラミングも可能です。
-
7.3. 特記事項
-
MultiCore MP
ライブラリについて、詳しくは 開発ガイド を参照してください。 -
Spresense 基板上に既にアップロード済みの SubCore バイナリがあり、それらを一括して消去したい場合は、Spresense ブートローダーのインストール を行ってください。ローダのインストール時に、一旦、すべての SubCore バイナリを削除してからローダのインストールが始まります。
なお、MainCore から
MP.begin()
を呼び出さない限り、勝手に SubCore が動作することはありません。 そのため、古い SubCore がアップロードされたまま残っていても特に問題はありません。 -
マルチコアプログラミングで、
Core
ごとに複数の Arduino IDE ウィンドウを開くときは、毎回デスクトップ上のアイコンから Arduino IDE を起動してください。そうすることで、Core
選択などのメニュー設定がウィンドウごとに独立して設定できるようになります。 -
Arduino IDE での複数起動や Core を切り替える操作が煩雑ですが、arduino-builder や arduino-cli といったコマンドラインツールを使用することも可能です。また、Upload についても、直接 flash_writer ツールを使用すれば、各コアのバイナリを一回のコマンドで一括してロードすることも可能です。コマンドラインを用いた方法について後日ドキュメントに掲載する予定です。
8. SignalProcessing チュートリアル
SignalProcessing ライブラリには、FFT/IIRのフィルタがあり、それらに対して、以下のサンプルスケッチが用意されています。
本ドキュメントでは、これらのサンプルスケッチの動かし方について解説しています。
8.1. PeakDetector
8.1.1. 概要
このサンプルスケッチはマイクで入力されている音声データをFFTライブラリでリアルタイム周波数解析を行うことで、リアルタイムにピーク周波数を検出します。 Audio 機能に関しては、 Audio ライブラリ をご参照ください。
また、本サンプルは、信号処理ライブラリをSubCoreにオフロードして処理を行っております。同時に MultiCore MP ライブラリ もご参照ください。
8.1.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
録音用マイク
マイクの接続については、以下のハードウェアガイドを参照してください。
提供しているサンプルでは4チャンネルのマルチチャンネルでの動作になっています。 マイク数は必要にあわせて接続し、アプリケーション内で調整してください。 |
8.1.3. 動作手順
主な動作手順の流れは以下になります。
-
信号処理を行うSubCoreをコンパイル&アップロード
-
音声取得&アプリケーション処理を行うMainCoreをコンパイル&アップロード
-
アプリケーションの実行
MainCoreのコンパイル&アップロードから実施すると、起動後、SubCoreへの呼び出しを実行しエラーになります。 |
SubCoreへのコンパイル&アップロードをすでに実行していた場合、MainCore起動後は、既にアップロードされているSubCoreのプログラムが起動されます。 |
8.1.3.1. SubCoreのコンパイル&アップロード
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 SignalProcessing → PeakDetector → SubFFT
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → SubCore1
(ツール → Core → SubCore1
) を選択します。本サンプルでは、オフロードしている SubCore
はSubCore1
を使用しています。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。SubCore
のプログラムは、 起動後、MainCore
からの指示を待つ状態になります。
これで、SubCore側の準備はOKです。
8.1.3.2. MainCoreのコンパイル&アップロード
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 SignalProcessing → PeakDetector → MainAudio
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → MainCore
(ツール → Core → MainCore
) を選択します -
マイコンボードへの書き込みを行います。
SubCore のアップロードでシリアルポートを選択している場合は、再度の選択は不要です。
|
これで、MainCore側の準備もOKです。
8.1.4. プログラム解説
-
入力音声のチャンネル数は、
MainAudio.ino
の中の
/* Select mic channel number */
//const int mic_channel_num = 1;
//const int mic_channel_num = 2;
const int mic_channel_num = 4;
で指定します。
このサンプルでは、 SubCore
側にある
#define MAX_CHANNEL_NUM 4
は、MainAudio.ino
の mic_channel_num
と同じ値にする必要があります。
本サンプルスケッチでの SubCore のコードは、引数なしの FFT.begin(); を呼んでおり、最大チャンネル数 = 実行チャンネル数になっています。最大チャンネル数 ≠ 実行チャンネル数の場合は、 FFT.begin(WindowHamming, 実行チャンネル数, (FFTLEN/2)); を呼んで、実行チャンネル数を指定してください。
|
-
FFTのTap数は、
SubFFT.ino
の中の
/* Select FFT length */
//#define FFT_LEN 32
//#define FFT_LEN 64
//#define FFT_LEN 128
//#define FFT_LEN 256
//#define FFT_LEN 512
#define FFT_LEN 1024
//#define FFT_LEN 2048
//#define FFT_LEN 4096
で指定します。
-
現状の窓関数とFFTのオーバーラップサンプル数は、デフォルトになっており、
ハミング窓
で、Tap数/2ずつ窓をずらす仕様になっています。
こちらを変更したい場合は、SubFFT.ino
の中の
FFT.begin();
を
FFT.begin(使いたい窓関数, 実行チャンネル数, オーバーラップしたいサンプル数);
で変更してください。
8.2. SoundDetector
8.2.1. 概要
このサンプルスケッチはマイクで入力されている音声データをFFTライブラリでリアルタイム周波数解析を行い、指定した周波数範囲内に一定以上の音圧のある音声が入力されたかどうかを検出します。Audio 機能に関しては、 Audio ライブラリ をご参照ください。
また、本サンプルは、信号処理ライブラリをSubCoreにオフロードして処理を行っております。同時に MultiCore MP ライブラリ もご参照ください。
8.2.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
録音用マイク
マイクの接続については、以下のハードウェアガイドを参照してください。
提供しているサンプルでは4チャンネルのマルチチャンネルでの動作になっています。 マイク数は必要にあわせて接続し、アプリケーション内で調整してください。 |
8.2.3. 動作手順
主な動作手順の流れは以下になります。
-
信号処理を行うSubCoreをコンパイル&アップロード
-
音声取得&アプリケーション処理を行うMainCoreをコンパイル&アップロード
-
アプリケーションの実行
MainCoreのコンパイル&アップロードから実施すると、起動後、SubCoreへの呼び出しを実行しエラーになります。 |
SubCoreへのコンパイル&アップロードをすでに実行していた場合、MainCore起動後は、既にアップロードされているSubCoreのプログラムが起動されます。 |
8.2.3.1. SubCoreのコンパイル&アップロード
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 SignalProcessing → SoundDetector → SubFFT
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → SubCore1
(ツール → Core → SubCore1
) を選択します本サンプルでは、オフロードしている SubCore
はSubCore1
を使用しています。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。SubCore
のプログラムは、 起動後、MainCore
からの指示を待つ状態になります。
これで、SubCore側の準備はOKです。
8.2.3.2. MainCoreのコンパイル&アップロード
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 SignalProcessing → SoundDetector → MainAudio
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → MainCore
(ツール → Core → MainCore
) を選択します -
マイコンボードへの書き込みを行います。
SubCore のアップロードでシリアルポートを選択している場合は、再度の選択は不要です。
|
これで、MainCore側の準備もOKです。
8.2.4. プログラム解説
-
入力音声のチャンネル数は、
MainAudio.ino
の中の
/* Select mic channel number */
//const int mic_channel_num = 1;
//const int mic_channel_num = 2;
const int mic_channel_num = 4;
で指定します。
このサンプルでは、 SubCore
側にある
#define MAX_CHANNEL_NUM 4
は、MainAudio.ino
の mic_channel_num
と同じ値にする必要があります。
本サンプルスケッチでの SubCore のコードは、引数なしの FFT.begin(); を呼んでおり、最大チャンネル数 = 実行チャンネル数になっています。最大チャンネル数 ≠ 実行チャンネル数の場合は、 FFT.begin(WindowHamming, 実行チャンネル数, (FFTLEN/2)); を呼んで、実行チャンネル数を指定してください。
|
-
FFTのTap数は、
SubFFT.ino
の中の
/* Select FFT length */
//#define FFT_LEN 32
//#define FFT_LEN 64
//#define FFT_LEN 128
//#define FFT_LEN 256
//#define FFT_LEN 512
#define FFT_LEN 1024
//#define FFT_LEN 2048
//#define FFT_LEN 4096
で指定します。
-
現状の窓関数とFFTのオーバーラップサンプル数は、デフォルトになっており、
ハミング窓
で、Tap数/2ずつ窓をずらす仕様になっています。
こちらを変更したい場合は、SubFFT.ino
の中の
FFT.begin();
を
FFT.begin(使いたい窓関数, 実行チャンネル数, オーバーラップしたいサンプル数);
で変更してください。
-
検出器の設定は、以下のようになっています。
#define POWER_THRESHOLD 30 // Power
#define LENGTH_THRESHOLD 30 // 20ms
#define INTERVAL_THRESHOLD 100 // 100ms
#define BOTTOM_SAMPLING_RATE 1000 // 1kHz
#define TOP_SAMPLING_RATE 1500 // 1.5kHz
-
検出周波数範囲の下限は、
BOTTOM_SAMPLING_RATE
で指定します。Hz値を設定してください。 -
検出周波数範囲の上限は、
TOP_SAMPLING_RATE
で指定します。Hz値を設定してください。 -
音声検出のパワーの閾値は、
POWER_THRESHOLD
で指定します。 -
LENGTH_THRESHOLD
時間以上、該当周波数範囲での音声が入力され続けると、 音声が検出されたと判断します。 -
検出された後、
INTERVAL_THRESHOLD
以内に再検出された場合、前回の検出音声の一部であると判断されます。また、INTERVAL_THRESHOLD
以上離れて検出された場合は、別な音声が検出されたとして、再度通知をMainCore
に上げます。
8.3. VoiceChanger
8.3.1. 概要
このサンプルスケッチはマイクで入力されている音声データを、FFT/iFFTを行い音程を変更し音声データを再生成します。生成したデータに位相情報の欠落などにより付加されている高周波ノイズをカットするためにLPフィルタを掛けて出力します。Audio 機能に関しては、 Audio ライブラリ をご参照ください。
また、本サンプルは、信号処理ライブラリをSubCoreにオフロードして処理を行っております。同時に MultiCore MP ライブラリ もご参照ください。
本サンプルは、あくまで単純なFFT/iFFTの実行サンプルとしてご提供しています。そのため、ピッチシフタとしての音声品質に関しては言及しておりません。ご了承ください。 |
8.3.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
再生用ヘッドホン or スピーカー
-
録音用マイク
このサンプルでは、ヘッドホン、マイクを使用します。
拡張ボードのヘッドホン端子にヘッドホンもしくはアクティブスピーカーを接続してください。
マイクの接続については、以下のハードウェアガイドを参照してください。
提供しているサンプルは、モノラルマイクになっています。マイク数は必要にあわせて接続し、アプリケーション内で調整してください。 |
音声出力は、ステレオまでしかできません。入力を3チャンネル以上にした場合、出力までにDownMix等の処理を行い、2チャンネルデータへ変換して出力してください。 |
8.3.3. 動作手順
主な動作手順の流れは以下になります。
-
信号処理を行うSubCoreをコンパイル&アップロード
-
音声取得&アプリケーション処理を行うMainCoreをコンパイル&アップロード
-
アプリケーションの実行
MainCoreのコンパイル&アップロードから実施すると、起動後、SubCoreへの呼び出しを実行しエラーになります。 |
SubCoreへのコンパイル&アップロードをすでに実行していた場合、MainCore起動後は、既にアップロードされているSubCoreのプログラムが起動されます。 |
8.3.3.1. SubCoreのコンパイル&アップロード
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 SignalProcessing → VoiceChanger → SubFFT
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → SubCore1
(ツール → Core → SubCore1
) を選択します本サンプルでは、オフロードしている SubCore
はSubCore1
を使用しています。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。SubCore
のプログラムは、 起動後、MainCore
からの指示を待つ状態になります。
これで、SubCore側の準備はOKです。
8.3.3.2. MainCoreのコンパイル&アップロード
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 SignalProcessing → VoiceChanger → MainAudio
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → MainCore
(ツール → Core → MainCore
) を選択します -
マイコンボードへの書き込みを行います。
SubCore のアップロードでシリアルポートを選択している場合は、再度の選択は不要です。
|
これで、MainCore側の準備もOKです。
8.3.4. プログラム解説
-
入力音声のチャンネル数は、
MainAudio.ino
の中の
/* Select mic channel number */
const int mic_channel_num = 1;
//const int mic_channel_num = 2;
で指定します。
このサンプルでは、SubCore
側にある
#define MAX_CHANNEL_NUM 1
は、MainAudio.ino
の mic_channel_num
と同じ値にする必要があります。本サンプルでは、モノラルチャンネルしか実行できない様になっています。
-
FFTのTap数は、
SubFFT.ino
の中の
/* Select FFT length */
//#define FFT_LEN 32
//#define FFT_LEN 64
//#define FFT_LEN 128
//#define FFT_LEN 256
//#define FFT_LEN 512
#define FFT_LEN 1024
//#define FFT_LEN 2048
//#define FFT_LEN 4096
で指定します。
-
本サンプルは、単純にFFT/iFFTで音声を再生成しますので、
矩形窓
で、オーバーラップなしになっています。
FFT.begin(WindowRectangle,MAX_CHANNEL_NUM,0);
アルゴリズム等変更の場合は、合わせて変更してください。
-
音程のシフト量は、
MainAudio.ino
の中の
static int pitch_shift = 10;
で指定しています。
FFTの分解能に合わせて、正負方向にシフトできます。
このパラメータは、信号処理動作中でも変更が可能です。
SpresenseのAudio処理内部は、HW制約上入出力はすべて48kHzサンプリングか、192kHzサンプリングで行われます。 16kHzなどのサンプリングレートで内部処理を実行しようとした場合、SWでのリサンプリングが2度必要になり、 多くのプロセッサパワーとメモリを必要とします。今回のVoiceChangerの場合、メモリが不足するため16KHzでの処理は行えません。 ご注意ください。 |
8.4. HighPassSound / LowPassSound
8.4.1. 概要
このサンプルスケッチはマイクで入力されている音声データに対して、IIRによるHPF(ハイパスフィルタ)やLPF(ローパスフィルタ)をかけて出力します。Audio 機能に関しては、 Audio ライブラリ をご参照ください。
また、本サンプルは、信号処理ライブラリをSubCoreにオフロードして処理を行っております。同時に MultiCore MP ライブラリ もご参照ください。
8.4.2. 動作環境
-
Spresense メイン&拡張ボード
-
再生用ヘッドホン or スピーカー
-
録音用マイク
このサンプルでは、ヘッドホン、マイクを使用します。
拡張ボードのヘッドホン端子にヘッドホンもしくはアクティブスピーカーを接続してください。
マイクの接続については、以下のハードウェアガイドを参照してください。
提供しているサンプルは、モノラルマイクになっています。マイク数は必要にあわせて接続し、アプリケーション内で調整してください。 |
音声出力は、ステレオまでしかできません。入力を3チャンネル以上にした場合、出力までにDownMix等の処理を行い、2チャンネルデータへ変換して出力してください。 |
8.4.3. 動作手順
主な動作手順の流れは以下になります。
-
信号処理を行うSubCoreをコンパイル&アップロード
-
音声取得&アプリケーション処理を行うMainCoreをコンパイル&アップロード
-
アプリケーションの実行
MainCoreのコンパイル&アップロードから実施すると、起動後、SubCoreへの呼び出しを実行しエラーになります。 |
SubCoreへのコンパイル&アップロードをすでに実行していた場合、MainCore起動後は、既にアップロードされているSubCoreのプログラムが起動されます。 |
8.4.3.1. SubCoreのコンパイル&アップロード
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 SignalProcessing → HighPassSound / LowPassSound → SubIIR
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → SubCore1
(ツール → Core → SubCore1
) を選択します本サンプルでは、オフロードしている SubCore
はSubCore1
を使用しています。 -
ツール → シリアルポート
で Spresense の COM ポートを選択して、マイコンボードへの書き込みを行います。SubCore
のプログラムは、 起動後、MainCore
からの指示を待つ状態になります。
これで、SubCore側の準備はOKです。
8.4.3.2. MainCoreのコンパイル&アップロード
-
Arduino IDE 上から
ファイル → スケッチ例 → Spresense用のスケッチ例 SignalProcessing → HighPassSound / LowPassSound → MainAudio
を選択してサンプルスケッチを開きます。 -
Arduino IDE メニューから
Tools → Core → MainCore
(ツール → Core → MainCore
) を選択します -
マイコンボードへの書き込みを行います。
SubCore のアップロードでシリアルポートを選択している場合は、再度の選択は不要です。
|
これで、MainCore側の準備もOKです。
8.4.4. プログラム解説
-
入力音声のチャンネル数は、
MainAudio.ino
の中の
/* Select mic channel number */
const int mic_channel_num = 1;
//const int mic_channel_num = 2;
で指定します。
また、
このサンプルでは、SubCore
側にある
#define MAX_CHANNEL_NUM 1
は、MainAudio.ino
の mic_channel_num
と同じ値にする必要があります。本サンプルでは、モノラルチャンネルしか実行できない様になっています。
-
カットオフ周波数とQ値は、
SubCore
側の
HPF.begin(TYPE_HPF,g_channel,1000,sqrt(0.5));
または、
LPF.begin(TYPE_LPF,g_channel,1000,sqrt(0.5));
で設定しています。
こちらは、カットオフ周波数を1kHz、Q値を1/√2に設定しています。
SpresenseのAudio処理内部は、HW制約上入出力はすべて48kHzサンプリングか、192kHzサンプリングで行われます。 16kHzなどのサンプリングレートで内部処理を実行しようとした場合、SWでのリサンプリングが2度必要になり、 多くのプロセッサパワーとメモリを必要とします。今回のIIRフィルタを用いた処理の場合、メモリが不足するため16KHzでの処理は行えません。 ご注意ください。 |