IoTセンサーの種類を徹底解説!特徴や活用事例とともに確認しよう

IoTセンサーには、さまざまな種類があります。IOTセンサーを効率的に活用するには、目的に応じた使い分けが必要です。IoTセンサーをうまく取り入れられれば、さまざまなデータを収集して便利に活用できます。
この記事では、IoTセンサーの種類と具体的な活用例について解説します。IoTセンサーの導入のためにぜひ参考にしてください。
目次
IoTセンサーとは?
IoTセンサーとは、対象からデータを集め、扱いやすい形式に変換するための装置です。変換された情報は人間が活用するだけでなく、別の機械を通して処理する方法もあります。IoTセンサーを設置すればたくさんのデータを集められるため、さまざまな状況について客観的に把握できます。状態をリアルタイムで監視でき、幅広い活用が可能です。
IoTセンサーの種類とそれぞれの特徴
IoTセンサーにはさまざまな種類があります。ここでは種類ごとにどのような特徴があるか解説します。
温度・湿度センサー
温度センサーは、設置しているものや空間の温度を計測できます。温度センサーはさらに分類が可能であり、測温抵抗体、圧力温度計、バイメタルなど多種多様です。
一方、湿度センサーは、空気中に含まれる水蒸気の割合を計測できます。抵抗式と容量式がありますが、両方とも乾湿材料を用いて湿度を測る仕組みです。冷蔵庫やエアコンをはじめとし、空気清浄機にも活用されています。また、工場や大型施設にも取り入れられています。
ガス・CO2センサー
ガスセンサーは可燃性のガスに反応します。たとえば、作業中にガスを検知して作業員に警告して危険を知らせたり、天然ガス輸送設備におけるガス漏れを検出したりできます。
CO2センサーでは、空気中に発生しているCO2濃度の測定が可能です。たとえば、空調管理のシステムに搭載すれば、最適なタイミングで換気できます。
光センサー
光センサーは光に反応できます。物質に光を照射すると発生する光電効果を検知する仕組みです。また、検知するのは人の目に映る可視光だけではありません。紫外線や赤外線など光の種類別に検知できる光センサーも存在します。
自動ドアのセンサーなどをはじめとし、多くの人にとって身近なところで光センサーは活用されています。
加速度センサー
加速度センサーには静電容量式をはじめとするさまざまな種類があります。加速度とは一定時間あたりの速度のことです。
加速度センサーの活用で、加速度を瞬時に計測できます。また、動きによる物体の向きの把握、振動や傾きなどの把握も可能です。スマートフォンの傾きに応じて画面が切り替わる機能にも、加速度センサーが活用されています。
ジャイロセンサー
ジャイロセンサーは角度を測るためのセンサーです。加速度センサーは傾きを検出できるものの、回転までは把握できません。
しかし、ジャイロセンサーなら、対象物が回転しているかどうか判断できます。ジャイロセンサーの活用例としては、デジタルカメラやスマートフォンのカメラなどの手ブレ防止機能があります。
振動センサー
振動センサーは、揺れの具合を検出できるセンサーで、振動ピックアップとも呼ばれています。単に振動の発生に反応するだけでなく、対象とする物体の位置の変化に加え、速度や加速度も測定できます。
距離センサー
距離センサーは距離を計測できるセンサーです。距離の計測方法は、主に光学、電波、超音波の3種類です。距離を測定したい対象に光学、電波、超音波のいずれかを照射し、反射の具合を確認して距離を計算します。対象物の性質などを考慮して距離センサーの計測方法を選択すれば、より正確に距離を測りやすくなります。
圧力センサー
圧力センサーは、圧力がどの程度かかっているか計測するセンサーです。液体や気体に対してかかっている圧力を測ります。シリコンチップの隔膜の変形の具合を検出して電気信号に変換するといった原理で圧力を計測します。
圧力センサーは空圧計や水圧計だけでなく、エアコン、洗濯機、給湯器、食洗機などにも利用されています。
指紋センサー
指紋センサーは、人の手の指紋を検知するセンサーです。指紋センサーには、表皮の下の静脈を読み取るタイプと、肌の表面の指紋の模様を読み取るタイプがあります。本人確認のためにも使用されています。
照度センサー
照度センサーは、光がどの程度の明るさになっているか検知するためのセンサーです。照度センサーを用いれば、状況にあわせて光の明るさ変化させられます。
たとえば、スマートフォンを暗いところで使用すると画面は明るくなり、反対に明るいところで使用すると画面が暗くなりますが、この機能は照度センサーによるものです。
近接センサー
近接センサーは、近くにあるものを検知するセンサーです。検出対象に直接触れていなくても対象を検知することを目的としています。たとえば、人が操作する機器に搭載すれば、近づきすぎている場合に検知して警告できます。
イメージセンサー
イメージセンサーは、光を電気信号に変換し画像や動画としてデータを得られます。主に、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどに使用されているセンサーです。また、イメージセンサーを取り入れることで、状態の変化の検出も可能です。たとえば、人の目では発見しにくい小さなゴミや汚れもみつけられます。
音センサー
音センサーは音により発生する振動を検知できるセンサーであり、マイクロホンともよばれています。また、音の発生だけでなく、大きさや高さなども細かく判別できます。音センサーは音声認識技術と組みあわせるとより便利です。音声認識技術は声を文字に変換できるため、音センサーとともに活用すれば音声操作や音声入力を実現できます。
IoTとセンサーで実現できることの具体例
IoTセンサーを活用すれば、さまざまなところで便利に活用できます。ここでは、IoTでどのようなことを実現できるかについて具体例を紹介します。
機械の稼働の監視
工場にIoTセンサーを設置すれば、表示灯やカメラなどを組みあわせて稼働状況をリアルタイムで監視できます。広い工場でも全体の様子をリアルタイムで確認できるため、便利です。また、IoTセンサーをネットワークに接続すれば、スマートフォンやタブレットなど持ち運びできるデバイスからでも簡単に確認できます。
装置の故障の予知
IoTセンサーで状況を把握しておくと、ポンプなどの装置が故障する可能性についても高い精度で予知できます。装置が故障する原因は、主に振動や温度などです。そのため、装置に振動センサーや温度センサーなど搭載しておけば、故障につながりそうな場合に自動で警告できます。早めに対処できるため、スムーズな稼動につなげられます。
行動認識による効率化や安全性の向上
IoTセンサーは行動認識も可能です。たとえば、IoTセンサーとカメラを組みあわせて行動を監視すれば、無駄な動きが発生していないかチェックできます。加速度センサーやジャイロセンサーを使って動きを分析すると、より効率的な動きも明らかになります。
また、人の体の心拍や発汗をセンサーで検知し、危険な状態になっているときに即座に警告を出すことも可能です。
農業の効率化や省人化
IoTセンサーにより環境を把握しそれをコントロールすることで、農作物の育成に対する知識を蓄積し、育成の向上に有効に利用することが可能になります。これにより農業の新たな担い手を増やしていくと共に、このデータをもとに農園を管理する機器を自動制御したり、農作物の品質を管理したりすることで人手減らすことなど、高齢化、継承者不足などに大きな効果を期待できます。
感染症対策としての監視
近年、COVID19も含め、様々な感染症が蔓延しています。これらは飛沫感染などにより感染します。この感染を予防するため室内換気等が必要になります。CO2や気流、映像・音声などのデータをIoTセンサーにより取得することで、室内の状況や人の密集度などを監視し、注意を促し、自動制御により換気等の対策を取ることで感染症対策に有効な効果が期待できます。
IoTセンサーを使いこなすためのポイント
複数のIoTセンサーを活用して情報を集約するためには、センサーネットワークにより接続する必要があります。センサーネットワークを利用すればビッグデータの収集も可能になるため、IoTセンサーの機能を有効活用できます。
センサーネットワークはワイヤレスであり、配線や設備の追加も必要ありません。また、消費電力が小さく、動力源は電池で動作できることがメリットです。ネットワークへの接続方法はWiFiやBluetoothはもちろん、LPWAも選択できます。
IoTセンサーの選び方
IoTセンサーをうまく活用するにはどのような視点で選べばいいのでしょうか。ここでは、IoTセンサーの選び方を解説します。
目的
IoTセンサーを選ぶときは、なぜIoTセンサーが必要なのか明らかにしておきましょう。何のデータを取得し、どのように活用したいかイメージしなければ、本当に必要なIoTセンサーは選べません。
たとえば、工場内の設備の稼働状態をリアルタイムでチェックするには、電流計や振動センサーなどが必要です。状況にあわせて最適なIoTセンサーや機器を用意しましょう。
設置場所
IoTセンサーは高い精度を誇りますが、外的要因によっては正確なデータを計測できなくなる可能性もあります。IoTセンサーの種類によっては、温度や湿度に加えて外部からの振動や衝撃などにも注意が必要です。選ぶIoTセンサーの特徴や、測定結果に影響を及ぼす外的要因を考慮しながら、最適な設置場所を確保できるよう準備を整えましょう。
価格
IoTセンサーを導入して便利に活用するためには、求めるレベル以上の機能を備えるものを選ぶ必要があります。単に安さだけを追求するのではなく、価格と機能性の両面からIoTセンサーを選定しましょう。商品を買わずに、SBCでカスタムするのもひとつの方法です。
IoTセンサーをカスタムする方法
SBCを利用すれば、IoTセンサーもカスタムできます。自由な組みあわせでIoTセンサーを作れるため、通信方式やセンサーの精度も調整できます。予算が限られている場合でも、柔軟な対応が可能です。
選ぶ製品によっては、エッジでAIによる処理が可能な場合もあります。自社が求める理想的なIoTセンサーをカスタムしましょう。
まとめ
IoTセンサーの種類は幅広く、それぞれさまざまな状況について検知できます。工夫次第であらゆる場面で便利に活用できるでしょう。また、SBCのカスタムによる導入も可能なため、自社にとって最適なIoTセンサーを設計しましょう。
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