ICT・ITとIoTの意味は?それぞれの違いを比較して解説

ICTやIoTなどの技術は、ビジネスにおいても重要な位置づけになりつつあります。この記事では、ICTとIoTの意味の違いを理解したうえで有効活用したいと考えている人へ向けて、ICTやIoTについて解説します。ICTやITの意味を踏まえたうえで、IoTとの違いを解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
ICTの意味
ICTとは「Information and Communication Technology」の略です。日本語に訳すと、「情報伝達技術」や「情報通信技術」などと訳されます。人と人がコミュニケーションをとったり、人とモノが情報を共有したりするために利用できる技術です。
ICTはどんどん発展しており、便利なシステムやツールがたくさん開発されています。今後もより幅広い分野で活用できるようになるでしょう。
IoTやAIなどもICTに含まれる技術のひとつです。内閣府は社会の状況を「Society」で表しており、IoTやAIなどのICTが活用されている現代はSociety 5.0に該当します。
ITの意味
ITとは「Information Technology」の頭文字をとった表現であり、日本語では「情報技術」という意味です。ITは、コンピュータやネットワークなどの情報処理技術全般を表しています。
ITはICTよりも先に生まれた概念であり、ITが主流だった時代は「Society 4.0」と定義されています。現在と比べると、当時はデジタル化される情報が限定的でした。そのため、一部の情報のみをコンピュータやネットワークなどを使ってやり取りし、処理していました。
IoTの意味
IoTは、ICTやITとは異なる意味をもっています。ここでは、IoTの概要とIoTでできることを解説します。
IoTの概要
IoTとは「Internet of Things」を略した表現であり、身の周りにあるほとんどすべてのモノがインターネットにつながってデータをやり取りできる仕組みです。
インターネットに接続してデータをやり取りできるのは、もともとパソコンやスマートフォンなど専門の通信機器だけでした。しかし、IoTにおいては、あらゆるモノがインターネットに接続でき、それぞれが相互に情報をやり取りしています。
たとえば、モノが保有するデータを共有したり、遠隔から状況を確認したりできます。インターネットを介した遠隔操作も可能です。
IoTでできること
IoTを活用すれば、さまざまなことができるようになります。たとえば、モノの動きを自動で検知できます。モノの状態を把握したうえで、必要な動作を自動化するのもひとつの方法です。また、モノの操作もでき、離れた場所からでもスムーズに作業できます。
パソコンやシステムだけでなく、モノ同士の通信もできます。モノとモノが直接データをやり取りできるため、リアルタイムでスピーディな連携を実現可能です。
ICT・IT・IoTの違い
ICT、IT、IoTを比較すると、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、それぞれの違いを解説します。
ICTとITの違い
細かい違いはあるものの、ICTとITはほとんど同じ意味として使われる場面が多いです。従来から日本ではITがよく使われてきましたが、世界ではICTを使うのがすでに一般的になっています。
この状況を考慮し、情報技術を表す場合に、日本政府はITではなくICTを用いるようになっています。2004年に発表された「u-Japan構想」から表現が変更されました。「u-Japan構想」とは、世界最先端のICT国家を目指すための取り組みです。
ITは技術そのものを表す言葉ですが、ICTは情報技術の利用方法まで含む概念です。ICTでは、技術を日常生活や業務にどのように役立てるかについても考えられています。
ITとICTは明確に区別されているわけではないものの、異なる意味をもつ言葉として使われる場合も少なくありません。具体的には、ITは主にコンピュータに関する技術、ICTはコンピュータに関する技術の活用方法を表す表現として使用するケースがあります。
ICTとIoTの違い
ICTとは、人とインターネットをつなぎ、人とモノ、人と人をつなぐための技術です。また、その活用方法も含んでいます。
一方、IoTは、すべてのモノがインターネットにつながる状態です。モノとインターネットの接続により、それまではできなかったさまざまなことが容易に実現できるようになりました。
ICTはIoTを活用するために前提となる重要な技術です。IoTによりモノとインターネットを接続し、さまざまな機能をもたせるために、最新のICTが活用されているからです。
ICTはIoTを活用するために必要不可欠であり、ICTの活用方法のひとつとしてIoTがあります。ICTとIoTには密接な関わりがあり、それぞれがお互いの発展を支えています。
ICTやIoTの活用によって実現できること
ICTやIoTを活用すれば、さまざまなことを実現できます。実現できることを具体的に解説します。
遠隔操作
ICTの発展により、ファイルやソフトウェアもインターネット上で操作できるようになりました。内容を閲覧するだけでなく、編集も制限なくできるようになっています。インターネットに接続できれば、どこにいても作業を進められます。
ICTにより人の利便性が向上したことに対して、IoTはその特徴のひとつとして、まったく別の場所にあるモノを遠隔操作できる点があげられます。また、すべてのモノがインターネットにつながるため、モノとモノとがコミュニケーションを行い、自律的に操作が可能になることも特徴です。
データ分析
ICTやIoTの技術はまだ生まれたばかりであり、十分に活用できていないデータも存在します。ICTを導入している企業でも、いまだに多くの情報を紙の資料で管理している企業も少なくありません。また、パソコン上でデータを管理していても、部署ごとにフォーマットが違うためデータを連携しにくい場合もあります。IoTでも同様に、様々なセンサーからのデータが共有されていなかったり、フォーマットがそろっていないことも多くあります。
また、IoTは、大量のデータを取得、収集するという特徴もあります。センサーやカメラなどが搭載されており、さまざまなデータをリアルタイムで取得でき、得られたデータを記録・分析まで進められます。これらの大量のモノから取得されるビッグデータをどのようにするかも大きな課題になってきています。IoTで得られるビッグデータをうまく分析し、必要な情報のみを蓄積する工夫が必要になります。
ICTとIoTの両方を積極的に活用すれば、今後はあらゆる情報をデータ化して効率的に管理できるようになります。うまく活用することができれば業務に役立つ情報をスムーズに得られるようになるでしょう。
人材の有効活用
ICTやIoTの活用においては、AIの技術が使われるケースも多くなっています。AIならデータをもとに合理的な判断が可能です。実際のところ、意思決定のほとんどを自動化できる状況になっています。
AIを取り入れたICTやIoTを活用すれば、それまで人でなければ対応できなかった業務も機械化が可能です。人件費は固定のコストとして考えられてきましたが、人件費を大幅に削減できる可能性もあります。
具体的には、営業活動においてもこの技術を活用できるようになっています。どの相手に電話をかけ、何を話すか検討する部分をAIに任せれば、その分の業務負担の軽減が可能です。
一定の基準に従って判断するため、人でなくても問題なく対応できます。電話で話す作業のみを人が担当し、それ以外のすべての業務を自動化している企業も出てきました。
また、工場などで機械の動作を実際に人が移動し確認を行って機器管理をしているケースなどでは、各IoT機器からのデータをAIによる解析によって自動判断することで、物理的な移動が不要になったり、一人でより多くの機器の管理が可能になったりすることで、より効率的な業務が可能になります。
まとめ
ICTやIoTは、日常生活や業務をスムーズに進めるために活用可能です。すでに、さまざまな技術やツールが開発されており、利用が広がっています。今後もますます便利に利用できるようになる可能性が高く、工夫次第で幅広い活用が可能です。
ソニーセミコンダクタソリューションズグループのSpresenseは、高い演算能力を誇り、複数マイクでの集音にも対応しています。省電力で利用できるため、さまざまな場面で活用できます。ICTやIoTを有効活用するために、ぜひ役立ててください。