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医療分野におけるIoT技術の活用方法とは?導入するメリットや注意点を確認

IoT技術はさまざまな業界に幅広く導入されており、医療分野での活用にも注目が集まっています。この記事では、医療分野でIoT技術がどのように活用されているか知りたい人に向けて、医療現場へIoTを導入するメリット、具体的な活用方法を解説します。医療分野でIoTを有効活用するために、ぜひ参考にしてください。

目次

医療現場でIoTの導入が注目される理由とは

医療現場にIoTを取り入れれば、さまざまな問題を解決できる可能性があります。日本では全体的に医師が不足しており、特に過疎地では医療の空洞化も進行している状況です。IoTにより医療分野の業務をよりスムーズに進められれば、少ない人員でも効率的に医療を提供できます。また、災害時の医療活動にも貢献できるでしょう。

「IoMT」の導入も見逃せない

IoMTとはInternet of Medical Thingsの略で、医療に関連する機器やメディカルシステムをネットワークで連携させるという考え方です。

IoMTが積極的に活用されるようになれば、医療や健康に関するビッグデータの収集が可能になります。データの分析により、これまでわからなかった体のメカニズム、新しい治療方法を発見できる可能性もあります。

IoTを医療分野で活用するメリットとは

IoTを医療分野に取り入れると、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に解説します。

医療データを有効活用できる

IoTを活用すれば、病気や体に関するデータをリアルタイムで取得して素早い判断につなげられます。患者に対してより正確な情報を伝えやすくなりため、安心して医療を受けられる体制が整います。医療サービスの質を向上させられる可能性が高いです。

また、患者が転院する際も詳細なデータを提供できるため、医療機関同士がスムーズに連携できます。ビッグデータの取得により、医療の研究の推進のためにも役立てられます。

遠隔地にいても患者の診療ができる

IoTを導入すれば、通信設備や医療機器の遠隔操作も可能です。たとえば、カメラを使って遠隔地にいる患者を診察できます。過疎地で暮らしている患者や、寝たきりで医療機関を頻繁に訪れるのが難しい患者でも、簡単に診察を受けられるようになります。

カメラの映像を通してやり取りするため、テキストのコミュニケーションで発生しやすいすれ違いも防止可能です。また、どこにいても専門医の診察を受けられるため、再診の手間も減らせます。

モニタリングの管理・情報収集がしやすくなる

医療分野へIoTを導入する場合、ウェアラブル端末で患者の様子をモニタリングする方法もあります。ウェアラブル端末を装着すれば、消費カロリー、心拍数、睡眠などさまざまなデータを自動的に収集可能です。

日常的な動作を検知して、体調不良や老化の進行度もチェックできます。体の震えから特定の病気をみつけられる場合もあり、病気の早期発見にも役に立つ点がポイントです。医療分野におけるIoTは病気の治療だけでなく、予防にも活用可能です。

医療機関向けの機器だけでなく、個人消費者向けの機器も販売されています。

IoTを医療分野に導入する場合の課題とは

IoTを医療分野に導入する場合には課題もあります。ここでは、具体的な課題について解説します。

導入が難しいケースもある

医療分野へのIoTの導入は新しい考え方であり、法律の整備が追いついていないのが現状です。IoTの活用方法を医師に指導できる体制も、まだ十分には整っていません。医療分野で有効活用できるIoT技術が多数誕生しているものの、実際は導入が難しいケースもあります。

現時点では、健康を保つためのケアの目的でIoT活用が期待されています。

セキュリティ対策は必要不可欠

医療分野で扱うデータの多くは個人情報です。健康や持病に関する情報は特に秘匿性が高いため、ネットワークを通じたIoTの活用においてはセキュリティに注意が必要です。

IoT機器が攻撃されてハッキングや改ざんなどの被害が発生した場合、大きな問題につながります。情報漏洩でだけでなく、医療事故につながる恐れもあります。

「共有」とプライバシー

医療分野でIoTを活用すれば、さまざまなデータを簡単に共有できて便利です。しかし、自分の健康や持病に関する詳細な情報を共有されるのを好まない患者も存在します。IoTで取得したデータを活用するためには、事前に同意を得ておかなければなりません。患者のプライバシーを保護する方法についても、検討する必要があります。

医療分野(特にヘルスケア領域)におけるIoT技術の活用方法とは

前述のように医療分野の中でも医療領域での活用には、まだまだ課題が多くあります。ですが、医療分野(特にヘルスケア領域やセルフメディケーション領域)では、少しづつ活用が広がってきています。実際には、どのようにIoT技術を活用できるのでしょうか。ここでは、具体的な活用方法を解説します。

診断補助

IoT技術を取り入れれば、検査や症状などに関する膨大なデータをもとにしたAIによる診断補助を実現できます。治療方法の候補を短時間で提案できるため、医師の手間を減らしたり、正確な診察を行うために役立てたりできます。

たとえば、診断補助の事例としては、自治医科大学と複数の企業が開発を進めている「ホワイト・ジャック」が有名です。タッチパネルから患者が予診情報を入力するとAIが分析し、罹患している可能性の高い病気を診断します。

同時に、必要な検査や薬の情報についても提示して医師の判断をサポートする仕組みです。問診から診断までの流れがスムーズになるため、医療機関と患者の双方にメリットをもたらします。

リアルタイムな体調管理

IoTの技術を活用すると、リアルタイムで患者の体調を正確に管理できるようになります。たとえば、患者の心拍数、呼吸数、睡眠などさまざまなデータを把握できるパラマウントベッドがあります。単にデータを取得するだけでなく、電子カルテやナースステーションとの共有が可能です。これにより、患者の状態の変化をいち早く確認し、最適な処置につなげられます。

近年は、スマートウォッチをはじめとするウェアラブルデバイスも一般的になってきました。日常的に手首に装着しておけば、活動量、血圧、脈拍、体温などを測定してスマートフォンに転送できます。各種データはスマートフォンのアプリで管理できるため、自分自身の健康状態をいつでも確認可能です。

スマートウォッチで収集したデータは、希望すれば医療機関にも転送して共有できます。より専門的な立場からデータを確認できるため、病気の早期発見や予防にも役立てられます。

患者の服薬のサポート

病気の治療のためには服薬も必要ですが、継続的な薬の服用を忘れてしまう患者も少なくありません。そのような問題に着目し、患者の服薬をサポートするためのIoT機器が開発されています。

たとえば、薬の飲み忘れを防止するための服薬支援容器を開発と言ったものがあります。服薬すべき時間になると容器についているライトが点灯し、患者に服薬を促す仕組みです。

家族のメールアドレスに通知し、しっかり薬を飲めているか確認できるようになっています。また、服薬の履歴はスマートフォンで確認可能です。調剤薬局や医療機関で履歴をチェックし、指導に活かす方法もあります。

IoT機器の活用により毎回きちんと服薬できるようになれば、スムーズな治療につなげられます。

まとめ

医療分野においても、IoTはさまざまな活用方法があります。今後はますますIoT機器が活用される機会が増え、より身近なものとなっていく可能性が高いです。

IoT向けのスマートセンシングプロセッサ搭載ボードである「Spresense™」は、AIを活用したセンシングカメラ、ドローン、スマートスピーカーなどのIoT機器の活用に興味をもっている人におすすめです。省電力に優れており、高い演算能力を備えているため、ぜひ活用してください。

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