製造業でIoTを導入するメリットとは?普及した背景やポイントも紹介!

製造業で生産性を高めるために、今やIoTの導入は欠かせなくなりました。この記事では、製造業でIoTの導入をお考えの決裁者向けに、IoTとは何か、IoTが製造業に普及した理由、メリット、導入するポイントなどを解説します。IoTの導入を検討する際にぜひお役立てください。
目次
IoTとは
IoTとは「Internet of Things」の略で、モノのインターネットという意味があります。具体的には、あらゆるモノとインターネット接続する技術の仕組み、サービスの総称です。IoTが普及したことで、いろいろな技術がインターネットつながり、便利な世の中になりました。
IoTが誕生する前は、インターネットはサーバーとPCをつなぐ程度しかできませんでした。しかし、今では、スマートフォンやタブレットといった通信機器をはじめ、テレビやデジタルレコーダー、デジタルカメラといった家電など、あらゆるモノがインターネットと接続されます。これらのモノとインターネットを接続することをIoTと呼ぶのです。
IoTが工場に普及した理由
IoTが工場に普及した理由に「Industry 4.0」があげられます。Industry 4.0とは、ドイツ政府が2011年に提唱した、製造業でインターネットを活用する概念のことです。これは第4次産業革命とも呼ばれ、工場をスマート化することが目的です。製造業の工場内でのデジタル化や自動化を実現することで、業務やモノが複合的につながり、最終的に生産性を高めることに目標があります。
Industry 4.0の概念はすでに中国やアメリカでも浸透しており、近年は日本でも必要とされている考え方です。その証拠に経済産業省も「Connevted Industres」を提唱しています。具体的にIoTやAIを製造業に活用することで、人手不足や歩留まり、不良品の削減が可能となりました。今では製造業にIoTを導入することは経済や社会の持続的な成長に不可欠といえるでしょう。
製造業にIoTを導入する5つのメリット
製造業にIoTを導入する以下のメリットを5つ、具体的に解説します。
1.コストの削減
2.生産性の向上
3.品質の向上
4.トラブルの予防・回避
5.人で不足の解消
1.コストの削減
IoT技術を導入することでコストの削減につながります。IoTを導入する前は製品・商品の形状や色などの品質検査は、人が目視する必要がありました。IoT技術を導入することで、センサーが検品や品質チェックを行える自動検知機能を活用できます。その結果、品質検査の質が向上し、人的コストを削減できて品質の質も向上するのです。
2.生産性の向上
IoTの導入で生産工程を「見える化」し、生産性が向上します。その理由は、生産工程の稼働状況をリアルタイムで把握できるからです。たとえば「生産ラインが混み合っていないか」「待ち時間の長い機器はないか」などを把握することで、稼働率の最適化を図れます。最近ではこれらのデータの把握をクラウド上で一元管理もできるようになりました。
その結果、生産スケジュールが立てやすくなり、生産状況を把握するためのデータ収集もしやすくなりました。これらの理由により、Iotの導入は生産性の向上につながります。
3.品質の向上
IoTが導入される以前の工場の生産ラインでは、深夜や休日の稼働も人手が必要でした。24時間交代勤務で、フル回転させるという方式です。しかし、それではどうしても人的リソースが限られるため、不良品の防止やトラブルの回避に限界があります。長時間労働をすると、人はどうしても疲れるのでミスが起きやすくなります。
また、生産ラインの故障した箇所に従業員がかけつける時間にもロスが発生していました。しかし、IoTを導入することで、監視や操作が遠隔で可能となり、24時間安定して稼働させられます。
4.トラブルの予防・回避
IoTを導入することで、生産ラインで稼働するロボットや、機械の動作の状態をリアルタイムで監視できます。その結果、故障や異常の検知・検出が素早く行えるため、トラブルの予防や回避につながります。事前にトラブルの予防や回避を行うことで、状況に合わせた柔軟な対処が可能です。
5.人手不足の解消
あらゆる業界で人手不足が懸念されています。製造現場でもそれは例外ではありません。若手の技術者の数が少なく、熟練工の技術を引き継ぐことができないため、今後の技術の継承も危ぶまれます。しかしIoTの技術を使えば、この問題も解決できます。
今まで人が行っていた作業を自動化することはもちろん、培ったノウハウや技術を可視化できるので、熟練工の技術を共有、継承することが容易です。可視化したデータをもとにマニュアルを作成し、それをタブレットなどで共有することで、人材育成にも役に立ちます。
製造業にIoTを導入する際のポイント
製造業にIoTを導入する際のポイントは、「解決する問題の明確化」「苦手意識を持たない」「費用の設定、仕組み作りを行う」の3つです。ここでは、それぞれ詳しく解説します。
IoTで解決する問題を明確化する
製造業では、それぞれの現場で解決すべき問題が異なります。そのため、それぞれの製造現場にあったIoTを導入することが大切です。まずは、自社はどんな問題をIoTによって解決にしたいのかを明確にしましょう。IoTを導入する前に、現在稼働している設備や作業について現場の把握と情報を集めておきます。そこで集めた情報をもとにして、最終的にIoTで解決する問題を明確化してから導入します。
IoTに対して苦手意識を持たない
製造現場のなかには、「IoT」といったデジタル用語に対して苦手意識を持つ人も少なくありません。しかし、製造業とIoTの親和性は先にも述べたようにとても高く、生産性の向上には不可欠といえます。そのため、まずはデジタル用語や新しい技術に対して偏見や苦手意識を持たずに、積極的に受け入れる姿勢が大切です。
最近ではクラウドを活用することで、価格も安価で導入できるパターンも増えています。フラットな目線で導入を検討しましょう。
費用の設定を行う
導入するIoTの規模や、解決したい問題によって必要な費用が異なります。予算が豊富にあるのなら話は別ですが、決められた予算内であれもこれもというわけにはいきません。そのため、事前に解決したい問題を明確にして、必要な費用を設定しましょう。予算によって導入できるシステムも異なるので、費用対効果の高いサービスを選ぶこと、予算内で必要なシステムを導入することがポイントです。
IoTを活用できる仕組み作りを行う
IoTを活用するためには、ITに詳しい人材やセキュリティに詳しい人材の確保が必要です。せっかくIoTを導入しても、それを使いこなせる人材がいなくては意味がありません。IoTを上手く活用するために、ITに詳しい人材の確保や教育などの仕組み作りは必須です。また、データを収集するIoT製品や、データを活用して制御するためのシステムの導入も欠かせません。
IoTを使いこなせる人材の確保とシステムの導入といった、ソフトとハードの両方の面でIoTを活用できる仕組みを構築することがポイントになります。
まとめ
今や製造業にIoTの技術は欠かせません。人手不足の問題や、セキュリティ面や品質の向上、トラブルの回避など、IoTを導入するメリットはとても多いからです。システムを導入する際は、一定の費用が必要ですが、長い目で見ると費用対効果も高いといえます。生産性を高めるためにも、IoTの導入を積極的に検討しましょう。
Spresenseは、GPSによる測位機能、ハイレゾリューションオーディオの再生・録音機能、低消費電力のマルチコアを内蔵したハイパフォーマンスのIoT向けプロセッサです。また、Arduino 互換のソニーのボードコンピュータで、ソニー独自のセンシングプロセッサ CXD5602 を搭載しています。IoTを導入する際はぜひ検討してみてください。