IoTやビッグデータはどのように活用できる?それぞれの関係や活用事例を解説

IoTやビッグデータに注目が集まっています。IoTやビッグデータをうまく活用できれば、さまざまな場面で役立てられるでしょう。この記事では、IoTやビッグデータを活用したいと考えている人に向けて、IoTやビッグデータの意味とともに、具体的な活用事例を解説します。注意点にも触れるため、ぜひ参考にしてください。
目次
IoTやビッグデータとは?
そもそもIoTやビッグデータとは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、それぞれの意味を具体的に解説します。
IoTの意味
IoTとは、さまざまな場所に設置されたモノからデータを集めて活用する仕組みのことです。物理的に存在するモノに対してインターネットの特徴である情報伝達の機能を応用し、両者を接続できるようにしました。IoTは「Internet of Things」の頭文字をとった表現であり、日本語では「モノのインターネット」と表されます。
IoTの活用が広がっており、実際に多くのモノがインターネットに接続できるようになっています。
ビッグデータの意味
ビッグデータとは、さまざまな性質や形式によって表現される多様な種類のデータのことです。単に大量のデータという意味ではなく、ビッグデータとして判断されるためには3つのVの要素を満たしている必要があります。具体的には、データの量を表す「Volume」、データの種類を表す「Variety」、データの発生頻度や更新頻度を表す「Velocity」があります。
ビッグデータを処理するためには、高性能なプロセッサが必要不可欠です。
IoTとビッグデータの関係
ビッグデータの種類を性質に基づいて大別すると、構造化データ、非構造化データ、IoTデータにわけられます。構造化データとは形式がもともと決まっているデータのことで、たとえば電話番号や住所などが含まれます。非構造化データとは形式に決まりのないデータです。たとえば、メールやSNSへの投稿などがあります。
IoTデータは、IoT機器によって収集されたデータです。IoTの普及によりビッグデータの量はますます増えています。IoTにはAIの技術も組みあわせられるため、より細かい分析も可能です。そのため、これまでなかった革新的なサービスや商品の開発につながる可能性もあります。このようにIoTとビッグデータは密接な関係にあります。
IoTやビッグデータの活用に期待されていること
IoTを有効活用すれば、さまざまなモノの状態を自動的にチェックしたり管理したりできます。ビッグデータとして収集して処理すると、細かい状況についても分析可能です。リアルタイムで分析できるため、業務の効率化にもつながります。
IoTやビッグデータはさらに活用される場面が増えていくと予想できます。今後はあらゆる場面でデータを集められるようになり、誰も思いつかなかったような価値を生み出せるのではないかと期待されています。
IoTとビッグデータの活用事例
IoTやビッグデータは幅広いところで活用できます。具体的には、どのような活用方法があるのでしょうか。ここでは、IoTやビッグデータの活用事例について紹介します。
スマートシティ
スマートシティとは、街やビルなどにIoT機器を取り入れてより便利に生活できるようにするための取り組みです。日本国内でも少しずつ導入が進んでいます。
たとえば、ビルやマンションなどの配線に専用のセンサーを設置すれば、それぞれの機器がどの程度の電力を使用しているか簡単に計測できるようになります。それぞれの機器の消費電力量を正確に把握できるようになるため、実際の状況に即した効果的な節電対策を実践できるでしょう。
IoTはあらゆる場所に導入できる可能性があるため、スマートシティにおいても幅広い活用が期待されています。
製造業
製造業の工場にIoTやビッグデータを有効活用している企業も多いです。工場内で稼働している各設備に振動センサーを設置し、データを取得しています。設備の稼働状況をリアルタイムで監視できるため、異常が発生しそうになってもすぐに把握できます。あらかじめ設定しておいた閾値を超えた場合にアラートを出す仕組みです。
予期せぬトラブルも未然に予防できるようになり、工場の管理や維持にかかるコストも抑えられています。業務効率化や生産性の向上に役立つため、今後はますます工場のIoT化が進んでいくと考えられるでしょう。
ヘルスケア
ヘルスケアの分野では、IoTやビッグデータの活用により厚生労働省がDPC(Diagnosis Procedure Combination)とよばれる診断群分類別包括評価を実施しています。医療費に関するデータを各医療機関から厚生労働省に提出させ、それを集計して発表するものです。2018年の段階で実用化されており、各医療機関を評価しています。
また、体に装着するウェアラブルデバイスも普及する可能性があります。端末を経由して心拍数、血圧、消費カロリー、体重などのデータを集め、健康のために役立てる仕組みです。
マーケティング
IoTやビッグデータの活用により、精度の高いマーケティングを実現できます。たとえば、カスタマージャーニー分析を実施して各顧客の意識やニーズを個別に把握すれば、それぞれの人に最適なキャンペーンを実施できます。
また、店頭や自販機にIoTの技術を組み込んだカメラを設置すると、顔認識により年齢や性別などの識別も可能です。データを集めて分析すれば、どのような人が購入しているのか簡単に把握できます。購入に至らなかった非購買層の特徴に関するデータも分析できるため、効率的に売上げアップを目指せます。
交通
IoTやビッグデータは公共の場所でも活用可能です。たとえば、交差点にシステムを導入すれば、車両が停止しなくても安全に交差点を通過できるよう調整できる可能性があります。車両をトラッキングして位置や速度などを認識します。世界各国で研究が進められており、実用化を目指しているところです。
また、コンピューターによる自動運転車についてもさまざまなテストが行われており、将来的な実用化に期待が寄せられています。
IoTやビッグデータを活用する上での重要なポイント
IoTやビッグデータにはさまざまな期待が寄せられていますが、活用する際は注意も必要です。
目的の明確化
IoTやビッグデータを有効活用するためには、あらかじめ目的をしっかり定めましょう。目的がはっきりしていないと、たとえ高度な技術で良質なデータを分析したとしても意味のある成果は得られません。IoTやビッグデータを扱うためには手間やコストもかかります。目的を定めたうえで活用し、高い費用対効果をえられるようにしましょう。
基盤整備
IoTを使えばビッグデータを取得できます。ただし、ビッグデータは、取得後にきちんと分析してはじめて有効活用できます。そのためには、適切なシステムを導入して高度な分析ができる体制を整えなければなりません。具体的には、集めたデータから必要な部分を素早く抽出し、リアルタイムで分析できるようなシステムが必要です。
人材確保
IoTやビッグデータを扱うには専門的なスキルや技術が必要です。IoTやビッグデータを本格的に活用するためには、そのようなスキルや技術をもつ人材を採用しなければなりません。得られた結果をビジネスに応用できる人材も必要になります。多くの企業が人材確保を目指すと考えられるため、採用の競争率も高くなるでしょう。
セキュリティ対策
パソコンなどの端末と同じく、IoTデバイスはサイバー攻撃の標的になる可能性があり、情報漏洩のリスクもあります。企業が活用するIoTやビッグデータには、顧客情報が含まれているケースが多いでしょう。顧客情報が流出すれば、大きな問題になるため注意が必要です。セキュリティ対策に力を入れ、トラブルを未然に防いでください。
まとめ
IoTやビッグデータはさまざまなところに導入できます。実際にさまざまな分野で実用化や研究が進められています。IoTやビッグデータを有効活用できれば、これまで以上に効率的にビジネスを進められる可能性が高いです。今後はより多くの企業が導入すると考えられます。
「Spresense」は、省電力で高い演算能力を備えるボードコンピュータです。IoTによりビッグデータを扱う場合にも便利に活用できるため、ぜひ導入してください。