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AIとは? 歴史や日本の現状、AIを導入するメリット、デメリットを解説します!

最近では私たちの生活の中でもAIの技術が浸透してきました。この記事ではAIを改めて詳しく知りたい方向けに、AIの概要や歴史、日本でのAIの現状、AI導入のメリット・デメリット、業種ごとの活用事例を網羅的に解説します。今後のAI導入や活用に、ぜひお役立てください。

目次

AIとは

東京大学の松尾豊教授によると、AIとは『人工的に作られた人間のような知能、ないしそれを作る技術』と定義づけられています。AIという用語は「Aritificial Intelliganse(アーティフィシャル インテリジェンス)」の略で人工的な知能と言う意味です。一般的にAIは『人工知能』とも呼ばれています。

AIの特徴はコンピュータのように単純作業を効率的に行うだけではなく、人間と同じように「起きた事象に対して柔軟に対応できる」知能を持つことにあります。ただし、学術的な視点での定義は明確に定まっているわけではありません。そのため専門家によってAIに対する定義は異なっていることが現状です。

AIの歴史

そもそもAIという言葉が誕生したのは1956年です。過去に遡り、AIの歴史を紐解くとこれまでに3度のAIブームが訪れていることがわかります。第1次AIブームは1950年代~1970年代、第2次AIブームは1980年代~2010年代、第3次AIブームが現在という位置づけです。

第1次AIブームはニューラルネットワークの初期の研究が人々の興奮を呼び、第2次AIブームでは機械学習の研究が活発化しました。それらを経て、現在はディーブラーニングと呼ばれる機械学習の技術が第3次AIブームとして牽引しています。

また、AIはSF小説やハリウッド映画でも取り扱われているので、そもそも人々の注目を集めていたという背景もあります。

日本のAI導入の現状

AIの分野において日本は世界に大きく後れをとっています。具体的には、AIに関する特許件数は中国が6548件、アメリカが5956件という中、日本は808件にとどまっているという現状です。またAI技術に関する論文の数も、アメリカに比べて4分の1程度です。

日本のAI人材も少なく、中国の清華大学の「世界的AI研究者2000人」というリストの中で日本人は8人しかいませんでした。その他、AI企業の数も少なく、アメリカの2208社、中国の1011社に比べて日本のAI企業数は40社と非常に少ない結果になっています。

このように技術力、企業数、利用意識、人材数のどれをとっても日本のAI導入はアメリカや中国と比べて劣っています。

AIを導入するメリットとデメリット

ここからはAIを導入するメリットとデメリットを解説します。

AIを導入するメリット

AIを導入することでさまざまなメリットがあります。以下では、8つのメリットについて詳しく解説します。

生産性が高まる

AIを導入することで作業の生産性が高まります。たとえば、同じ動作を繰り返すような単調な作業は、人がやるとどうしてもミスがつきものです。しかし、AIは単調でありながらミスが許されない業務を得意としています。そのため、結果的にミスが減り生産性が高まるのです。

人手不足の解消

人手不足はどこの産業や業種でも課題となっている問題です。AIを導入することで、定型作業や単純作業を自動化することができます。その結果、従来は人が行っていた業務をAIが代替できるため、人手不足の解消につながります。

コストの削減

AIの導入はコストの削減にもつながります。具体的には、従来なら人が行っていた作業をAIが代替することで、人件費などのコストを削減できます。AIが代替できる作業として、たとえば工場の検査や監視、ライン作業などがあげられるでしょう。

従業員満足度があがる

AIを導入することで、従業員満足度が上がるというメリットがあります。AIが定型的な作業を代替することにより、人間はよりクリエイティブな業務に集中できるからです。その結果、より重大な意思決定にリソースを注げるので現状の課題解決や業務改善による従業員満足度の向上に繋がります。

顧客満足度があがる

AIはマーケティングの分野において膨大なデータを収集し、分析・解析を行うため、緻密なデータに基づいた最適な行動が可能です。そのため、確実性が高いマーケティング施策を行うことが可能となり、サービスの質が向上して顧客満足度を高められます。

その他、チャットボットによる自動対応やAIガイドは迅速に応対できるため、満足度も高くなります。ECで商品を購入した際のレコメンド機能なども、同じことがいえるでしょう。

コミュニケーションが円滑になる

AIを導入することで、コミュニケーションが円滑になるというメリットもあります。

例として、AIのチャットボットによる問い合わせ業務では、簡単な対応が素早く行えるようになったり、自動翻訳の精度が向上したりすることで、結果的にコミュニケーションを円滑にできます。また、カウンセリングAIなどを導入することも可能です。

AIが対応できない事案にだけ人が対応すればよいため、効率よくリソースを活用でき、業務の質も向上するでしょう。

生活の利便性があがる

AIが浸透し、さまざまな業務が自動化されると、24時間いつでも安全で迅速にサービスを利用できるようになるというメリットがあります。その結果、生活の利便性はあがり、人々の生活や暮らしは豊かになるのです。身近な例では音声ガイドや自動掃除ロボット、近い将来はクルマの自動運転の普及などがあげられます。

安全性があがる

AIを導入することで、作業の安全性があがるというメリットもあります。なぜなら、これまでは人が行っていた危険な作業はAIが行ってくれるからです。AIは高精度な予測や検知を実現できるので、事故そのものを防いだり、人が巻き込まれる事故を防いだりできます。

AIを導入するデメリット

AIを導入するデメリットは「雇用がなくなる」「一時的なコストの増加」「情報漏洩のリスクが高まる」の3つがあります。それぞれを詳しく解説します。

雇用がなくなる

AIが人の仕事を代替できるようになると、一部の職業はなくなる可能性があります。たとえば近い将来AIが普及すると、スーパーやコンビニのレジ係や、タクシーの運転手などの雇用が消失すると予想されています。一方でAIの浸透により、データサイエンティストなどのIT系の雇用は増加していくでしょう。

一時的なコストが増える

AIを導入すると一時的なコストが増えるというデメリットがあります。AI導入により従来のシステムの基幹から利用サービスまでを大幅に切り替えると、相応のコストや期間が必要になります。その他、専門家を雇うなどのランニングコストも必要になります。

情報漏洩のリスクが高まる

AIは企業秘密や顧客情報などのあらゆるデータを集中的に集め、学習し、分析や判断を行います。そのため、セキュリティの強化を怠ると外部からハッキングされたり、内部から情報が漏洩したりなどのリスクを伴います。情報漏洩リスクはAIを導入すると必然的に高まるため、セキュリティ面の強化は必須です。

AIの活用事例

ここからはAIの活用事例について、6つの業種に分けて解説していきます。

マーケティング

小売業界では、顧客データの管理や分析にAIが導入されています。たとえばセンシング(画像解析)という技術によって顧客属性の分析や行動化分析を行うことで、顧客データを拡充できます。その結果、膨大な顧客データを分析できるため、最適な商品提案が可能となるのです。顧客データを基盤としたAI営業支援システムの導入により、購入率があがった事例もあります。

食品

食品の製造ラインでは、AIを導入しセンシング(画像解析)を取り入れることで、不良品の判別の質があがりました。これまでは人の目で行っていましたが、自動判別する技術が開発されたことで、質はもちろん労働環境も改善されたという事例があります。

製造

製造分野では発注業務に、欠品や過剰在庫などの課題を抱えている企業が多くありました。しかし、AIを搭載した発注管理システムの導入により、発注業務が効率的に行えるようになりました。具体的には在庫の過不足を最小限に抑え、最適な発注数を提案できるようになったことで、発注量の改善の他にも担当者の負担が軽減されたのです。

その他にも製造分野では、ラインの不良や製造機器の故障などによる製造コストが増加してしまうという問題もありました。これらもAIの導入によっていち早い不良や故障検知が行えるようになり、こういったリスクの軽減できています。

物流

物流の分野では、AIを導入することで属人化されていた配車計画の立案業務が改善されました。台車台数やルートなどを最適化することで、コスト削減を実現しています。この先は、配車業務手配のスピードアップや、担当者の業務工数の削減などが期待されています。

住宅

日本政府は2030年までを目処に、全住宅にHEMSの設置を目指しています。HEMSとは、家庭で使用するエネルギーを節約する管理システムのことです。HEMSはAIを搭載しており、気象データや住宅で使われるエネルギー消費パターンを収集、分析することで電力単価やエネルギー消費予測ができます。

金融

金融の分野ではこれまで、金融商品を提案したり、組んだりするときは人間の勘に頼っていたケースが多くありました。しかし、AIによるデータ分析でリスク許容度、商品ポートフォリオ構成、株式保持期間、リスク許容度などを分析し最適な金融商品を顧客に提案できるようになりました。その結果、従来よりリスクを抑えた投資手法に着手できます。

農業

AIは農業にも応用されています。例えば、各種センサーを搭載したドローンの自動運転による農薬散布や、作物の生育状況をカメラで撮影・解析して収穫時期判定を行うことが可能になります、また、無数の場所に設置した温度・湿度センサーや二酸化炭素センサー、水分センサーなどの様々なセンサーのデータから、細かな生育環境をチェックする試みも行われています。

間接的には、精度の高い気象情報の解析にもAIが活用されています。

医療

医療の現場も同じくAIが活用されはじめています。たとえば、AIを使って検査データから患者の状態や特定の疾患を読み解いたり、患者のカルテのデータを解析して収集したりする実験も進んでいます。今後、さらにAIを活用した医療が進むことで、現在医療現場が抱えている人手不足の解消や医療費問題の解決が期待されます。

まとめ

AIは私たちの生活の中でも身近な存在となり、生活にかかせなくなってきました。製造業をはじめ、さまざまな分野、業種でもAIの技術が浸透してきています。今後さらにAIの技術が進化し、普及することで、便利で豊かな未来になると予想できるでしょう。

ソニーセミコンダクタソリューションズのSpresenseは、ソニーが開発したIoT向けのセンシングプロセッサを搭載したIoTです。Spresenseメインボード単独でも動作することができ、各センサーからの情報などをLTE-Mネットワークを利用して送信もできます。

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