AIブームはいつから始まった?AIの概要や歴史とともに解説
AIの技術はどんどん進化しており、ブームが巻き起こっています。そうはいっても、AIブームは近年急に始まったわけではなく、長い歴史の中で何度も注目を浴びています。この記事では、各時代におけるAIのブームについて解説します。AIの歴史や注目されている理由を知るための参考として役立ててください。
目次
そもそもAI(人工知能)とは?
AI とは「Artificial Intelligence」を略した表現であり、日本語では「人工知能」とよばれています。AIは学習、推論、判断といった人間ならではの知能と同様の機能をもつコンピュータシステムです。AIの技術の活用により、これまで人間しかできなかった作業を機械化できるようになってきています。
AIは時代とともに進化しており、より高度な技術へと発展してきました。また、AIのブームは過去にも起きており、現在のブームは第3次AIブームにあたります。
第1次AIブーム
ここでは、第1次AIブームの概要とともに、具体的にどのようなことが起こったのか解説します。
第1次AIブームの概要
第1次AIブームは1950~1970年代に起きました。ここでは、第1次AIブームの概要を解説します。
第1次AIブームの始まり
人工知能のもとになる概念は、イギリスの数学者であるアラン・チューリングが1950年に発表した著書のなかで初めて記されました。その後、1956年に開催されたダートマス会議において「人工知能」という言葉が誕生しています。
ダートマス会議は、科学者たちが集まって開催されたワークショップです。これにより、人工知能の可能性について注目が集まり、第1次AIブームに発展しました。
第1次AIブームで起こったこと
第1次AIブームでは、人工知能として簡単な技術が開発されました。具体的には、推論や探索などの技術が生まれ、明確なルールがある問題に対して一定の成果を発揮しています。
この時代に開発されたAIとして特に有名なのは、1966年にマサチューセッツ工科大学のジョセフ・ワイゼンバウムが開発した世界初の自然言語処理プログラム「ELIZA(イライザ)」です。ELIZAは、入力された言語に反応して会話ができる人工知能です。
第1次AIブームはなぜ終焉したか?
第1次AIブームでは、人工知能がそれまでにない新しい技術として注目を集めました。この時代のAIは、ルールとゴールが明確に定まっている場合にのみ適用できるものとしてとどまります。しかし、世の中にはルールとゴールが定まっていない事象が多くあるため、AIを実用化するのはまだまだ難しい状況でした。
第1次AIブームにおいては、計算の効率化やコンピュータ3の技術的処理能力に限界があり、人々の人工知能に対する興味も薄れていったため、結果的に研究に対する支援も滞るようになりました。
第2次AIブーム
ここでは、第2次AIブームの始まりから、具体的にどのようなことが起こったのかを解説します。
第2次AIブームの概要
第2次AIブームは1980~1990年代に起きました。ここでは、第1次AIブームの概要を解説します。
第2次AIブームの始まり
第2次AIブームが起きた1980~1990年代には、特定分野の知識を取り込んでAI推論を進める多数のエキスパートシステムが実用化されました。これによって、AIの技術の実用化に対する期待が一気に高まります。さらに、さまざまな分野への応用を試みる動きが加速したことで第2次AIブームに発展しています。
第2次AIブームで起こったこと
エキスパートシステムは、実用的なツールとして幅広い分野で商用利用されました。エキスパートシステムによりコンピュータにさまざまな専門知識を取り入れた結果、生産、医療、金融、会計、人事などさまざまな分野で活用できるようになっています。実際に、エキスパートシステムを活用する企業は多く、ビジネスの貢献に大きな期待が寄せられました。
第2次AIブームはなぜ終焉したか?
機能性について大きな期待がもたれていたエキスパートシステムも、次第に限界があることが浮き彫りになってきました。たとえば、当時のコンピュータには必要な情報を収集、蓄積する能力がなかったため、専門的な知識だけでなく一般常識のようなデータも手作業で登録する必要がありました。
また、当時のエキスパートシステムでは、例外や矛盾したルールには対応できません。そのため、実際には一部のデータしか処理できない状況でした。使いこなすためにかかる労力と比較すると得られる成果は少なかったため、第2次AIブームは終焉に向かったのです。
第3次AIブーム
ここでは、第3次AIブームの概要とともに、具体的にどのようなことが起こったのか解説します。
第3次AIブームの概要
第3次AIブームは2006年から現在にかけて起きています。ここでは、第1次AIブームの概要を解説します。
第3次AIブームの始まり
第3次AIブームが起きたきっかけは、ディープラーニング(深層学習)の誕生です。ディープラーニングは、コンピュータ科学と認知心理学を専門とする研究者のジェフリー・ヒントンらが2006年に発明しました。
ディープラーニングに大きく注目が集まるようになったのは、2012年の画像認識大会におけるトロント大学のチームの「AlexNet(アレックスネット)」による認識精度が高く評価されたためです。
第3次AIブームで起こったこと
ディープラーニングを活用したAI技術の事例として、将棋プロジェクトやGoogleの画像認識などがあります。研究により、幅広いデータに応用できる環境が整いつつあり、実用化のための準備が進められています。
さらに、ディープラーニングの研究とともにIoT化も進んでおり、センシングAIにも期待が寄せられています。エッジデバイスとしてAIを搭載しているマイコンボードも増えているため、活用の可能性はさらに広がっていくと考えられます。
ディープラーニング(深層学習)とは?
ディープラーニングとは、機械学習を実装するための手法のひとつです。人間が行っている作業にコンピュータが対応できるようにし、複雑なルールをもつ問題を自動的に解決するための技術です。ディープラーニングを活用すれば、人間が行うと膨大な時間がかかる作業も短時間で進められます。そのため、ビッグデータの有効活用も可能です。
機械学習とは?
機械学習とは、コンピュータに大量のデータを学習させ、分類や予測などを行うためのアルゴリズムやモデルを構築させる技術です。機械学習を利用すれば、さまざまなデータをもとにしたより精度の高い分類や予測が可能になります。さまざまな学習方法があり、目的に応じて最適な学習方法を実行させます。
ビッグデータとは?
ビッグデータとは、従来のデータベース管理システムでは記録、保管、解析などができない膨大なデータ群のことです。2000年代にスマートフォンが普及して膨大なデータを収集しやすい環境が整い、ビッグデータの有効活用に関して注目が集まりました。
ただし、データ量が爆発的に増えているため、通信やストレージの確保にかかるコストや、データ1ビットあたりの価値が低下するリスクなど、さまざまな課題も抱えています。このような課題に対しては、エッジAIによるデータ処理により不用なデータを減らすという解決策も有効です。
AIブームの今後
誕生以来、AIは衰退と進化を繰り返しながら発展してきました。現在では複雑かつ難解なデータもAIによって処理できるようになっています。人間が行っている作業の一部をすでにAIに任せる動きが出てきています。
今後、新たな分野への応用の可能性も高く、AIビジネス市場はますます拡大していくと考えられます。どのような業界でもAIの活用が進むと予測できるため、早いうちからさまざまな活用方法を模索しておく必要があります。
まとめ
AIは長い年月をかけて研究が進められ、さまざまな分野へ応用できる技術へと発展しています。AIの技術は今後ますます便利になっていくと考えられるため、ビジネスにも幅広く役立てられる可能性が高いです。
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