AI(人工知能)は人間の仕事を奪う?将来無くなる可能性がある仕事や残る仕事を紹介
AIの発展に注目が集まっており、自分の仕事への影響が気になっている人も多いでしょう。なかには、AIに奪われる可能性のある仕事も存在するといわれています。この記事では、今後AIが仕事にどのような影響を与えるかについて解説します。AIとうまく関わりながら仕事に励むために、ぜひ参考にしてください。
目次
「AIが仕事を奪う」って本当?
以前までのAIは単純作業が得意であり、人間が行っている複雑な分析や判断はできませんでした。しかし、近年はディープラーニングや機械学習などの技術が発展し、AIは人間が行っている作業も代行できるようになりつつあります。以下では、AIが人間の仕事を奪うと考えられている根拠を解説します。
根拠1:野村総合研究所
野村総合研究所が公表しているレポートによると、20年後には日本の労働人口の約49%の仕事がAIにより代替できるとされています。AIで代替できる可能性の高い職種についても示されており、現在多くの人が就いている仕事が含まれています。
根拠2:オックスフォード大学の論文
オックスフォード大学のカール・フレイ博士とマイケル・オズボーン准教授が執筆した論文では、AIの導入により9割以上の確率で無くなると考えられる仕事が紹介されています。論文によれば、現在の職業の大半は無くなるとされています。
AIによって無くなるといわれている仕事は?
ここでは、AIの発展により将来的に無くなると考えられている仕事について、具体的に解説します。
事務
事務は一定のルールに沿って進める作業が多いため、AIの活用が進めば仕事が無くなる可能性があります。人間が作業していると少なからずミスが発生しますが、AIに任せればミスが減るため業務の効率化にも期待が寄せられています。
コンビニ・スーパーの店員
コンビニやスーパーでは商品代金の決済のために、店員がレジ打ちをしています。しかし、AIを搭載した決済システムを導入すれば、わざわざ店員がレジ打ちをする必要はありません。そのため、コンビニやスーパーの店員も必要無くなると予想されています。
銀行員
銀行の窓口で行う業務は限られているため、AIでも対応できると考えられています。銀行ではフィンテックやキャッシュレス化を進めているところも多く、AIの導入を積極的に検討しているケースが多いです。複雑な計算が必要な業務についても、AIを活用すれば簡単に進められます。
運転手
運転手の仕事内容は、車を運転して人や荷物を運ぶことです。AIによる自動運転が可能になりつつあり、タクシーにも自動運転を導入する動きがあります。そのため、将来的には運転手がいなくても人や荷物を運べる車が現れる可能性があります。
ライター
ライターは、さまざまな情報を集めて記事にまとめる仕事です。しかし、AIでキーワードを指定するだけで自動的に記事を書く仕組みが開発されています。すでにAIに記事を書かせている企業も出てきており、今後はAIにライターの仕事を任せるケースがさらに増えると予想されています。
フロントマン
ホテルのフロントで宿泊客の受付をするフロントマンの仕事も、AIを導入すれば代替可能です。すでにAIを導入してフロント業務を自動化しているホテルも存在します。そのため、今後はフロントマンの仕事も必要無くなるでしょう。
AIに奪われにくい仕事は?
ここでは、AIが発展しても奪われにくいと考えられている仕事について解説します。
カウンセラー
カウンセラーは、相手とコミュニケーションをとりながら相談に乗る仕事です。AIも人間の感情をある程度は読み取れますが、細かい部分にまで対応できるわけではありません。AIではなく人間に悩みを話したいと考える相談者も多いため、カウンセラーの仕事はAIに奪われにくいです。
コンサルタント
コンサルタントの仕事は、企業が抱える課題に対して効果的な対策を提案することです。ビジネスを取り巻く環境は複雑で、変化のスピードも早くなっています。単純に数値では表せない部分も多いため、AIに業務を代替させるのは難しいと考えられています。
営業職
コミュニケーションとりながら相手のニーズを把握し、自社の商品やサービスを提案するのが営業職の仕事です。営業職には高いコミュニケーション能力が必要であり、AIが代替するのは簡単ではありません。そのため、AIの活用が広がっても、営業職は無くならないと予想されています。
介護職
介護職も介護する相手とのコミュニケーションが必要な仕事です。AIでは細かいニュアンスの違いに対応できないため、介護職の代替は困難だと考えられます。国内では高齢者の割合が増えており、介護職に対するニーズはますます増えていくでしょう。
AIによって生まれる仕事は?理由も確認
ここでは、AIの発展により新しく生まれると考えられている仕事について解説します。
AR体験クリエイター
ARとは拡張現実のことであり、ゲームや製造現場などさまざまな場面での活用が広がりつつあります。今後はさらにARが一般的になっていくと考えられており、AR体験を提供するための仕事も増える可能性が高いです。AR体験クリエイターになれば、ARのデザインやプロデュースなどを担当できます。
AIビジネスプロジェクトマネージャー
AIの活用が進めば、自社で開発したAIを販売する企業もさらに増えると予想できます。しかし、有能なAIを作っても、うまくアピールできなければ売上は伸ばせません。AIの販促を進めるには、AI構築可能な技術的背景を持ちつつ戦略的な売り込みが必要です。AIビジネスプロジェクトマネージャーは、成果をもたらせるAIの構築を行いプロジェクトのマネジメントしながらAIビジネスを成功させるという、今後、活躍が期待される仕事です。
データ調査官
AIが正しく機能しているかを把握し、AIの運用を的確にサポートするためには、膨大なデータの管理や解析を行うことが必要です。また、収集、解析したデータの活用方法を企業に提案するなどの業務も必要になるでしょう。これらデータの分析からコンサルタントまでを行うデータ調査官は、今後の活躍を期待されている業務と考えられます。
話し相手になる仕事
AIはさまざまな作業を人間よりも正確に行えますが、人間の感情をすべて把握したり共感したりできるわけではありません。そのため、AIが日常に浸透して人と人が触れ合う機会が減ると、話し相手になる仕事が必要になると考えられています。
人間がするべき仕事の特徴とは?
ここでは、AIが広く活用されるようになっても人間が行うべき仕事の特徴について解説します。
クリエイティブな仕事
AIは過去のデータをもとにして答えを出す作業は得意ですが、一から新しいものを創造する作業は苦手です。そのため、人間ならではのクリエイティブな仕事は、今後も無くならないと予想できます。
人と接する仕事
AIは人間の複雑な感情を読み取って適切な対応をするのは困難です。よって、コミュニケーションが必要な仕事や、人間のぬくもりを与える仕事などはAIではなかなか代替できません。
重要な判断をする仕事
ビジネスにおける重要な判断では、数値で表せない内容も含めて総合的な決断が必要である場面も多いです。そのため、AIよりも人間による判断が適しています。また、データが少ない場合もAIでは正しい判断ができないので、人間が判断する必要があります。
AIが当たり前になる時代に注目されている仕事とは?
ここでは、AIが当たり前になる頃に注目度が高まる仕事について解説します。
データサイエンティスト
データサイエンティストとは、膨大なデータをもとに分析を行う仕事です。AIを使いこなす立場であり、AIの発展に伴って需要も増えています。データサイエンティストは単にデータを扱うだけでなく、それぞれの課題に応じた分析や判断をします。
AIエンジニア
AIエンジニアは、AIを開発する職業です。AIの導入はどんどん進んでおり、新しくAIを取り入れようとしている企業も多いです。そのため、AIを開発できるエンジニアにはニーズがあり、高待遇で採用情報を出している企業が目立ちます。
データエンジニア
データエンジニアは、膨大なデータを活用するための基盤を構築する仕事です。データベースを開発するための基本的な知識だけでなく、ビッグデータに対応するためのスキルも求められます。構築だけでなく、設計や運用なども担当します。
AIの活用による仕事の変化の事例
ここでは、AIを活用するとどのような変化が起こるかについて、事例を解説します。
医療
医療の分野では、病状を診断するためにAIが活用されています。たとえば、スライスCT画像から脳出血を検出したり、レントゲン画像から骨折を感知したりできます。AIはスピーディに病状を診断できるため、医師の診断時間の短縮につながりました。
農業
農業分野でもAIの活用が勧められています。中でも、養蚕業ではAIの活用が進んでいる分野になります。伝統的な生糸を製造する養蚕業では、担い手の高齢化や後継者不足が問題になっています。そこでAIにノウハウを組み込んで作業を進めたところ、人間なら複数人で数日かかる作業をAIは6時間未満で完了させられました。これにより、人手が少なくても産業を維持できるようになっています。
飲食業
飲食業では、顧客が選んだ食品を認識して自動的に会計を行うAIを導入しているところもあります。これにより、レジの担当者がいなくても顧客はスムーズに会計を済ませられるようになりました。画像認識により食品の種類を判断できるため、精度の高い判断を実現しています。
AIを日常的に活用するために、マイコンボードを利用しよう
最近では、組み込みAIを導入するケースも増えています。組み込みAIとは、生活家電や産業機器などのIoT端末に汎用マイコンを組み込んだものです。以前までは、組み込みAIは演算能力やメモリ環境が十分ではなく、活用の幅が限られていました。しかし、いまでは小型で消費電力の少ない汎用マイコンでも、問題なく機能するようになっています。
一般的に、AIを導入するには高価なGPUやネットワーク接続が必要ですが、組み込みAIにはそれらが必要ありません。そのため、簡単に導入できてスムーズに通信できます。組み込みAIを活用するためにはマイコンボードの利用がおすすめです。
参考情報:マイコンボードとは?
マイコンボードは、マイコンや回路を搭載した基盤のことです。マイコンとは、マイクロコントローラ(MCU)のことであり、ICチップにコンピュータの基本機能を組み込んだ電子部品を意味しています。ハードウェアとして必要な最低限の機能を搭載しているため、すぐにプログラムの開発を始められます。また、ハードウェアを追加したい場合にも使用可能です。
たとえば、「Spresense」という高性能なマイコンボードを販売しています。消費電力が非常に少ないところが特徴的で、高い演算能力を発揮できます。AIを日常に取り入れるために、ぜひ活用してください。
将来的なAIとの関わり方は?
今後はAIがより幅広く導入されると考えられるため、そのような社会に適応できるよういまから準備しておく必要があります。AIにより奪われる可能性のある仕事も存在するのは事実ですが、必ずしも悲観的に捉える必要はありません。
たとえば、単純作業のすべてをAIに任せられるようになれば、自分自身の仕事を効率化できる可能性もあります。AIをどのように活用すべきか考え、うまく共存するための方法を検討しましょう。
まとめ
AIの技術はどんどん進化しており、人間の仕事の大部分を代替できる可能性があります。ただし、なかにはAIでは対応できない業務もあるため、棲み分けを意識する必要があります。AIを使いこなす立場になれば、便利に活用しながら業務を進めることも可能です。
IoT端末でAIを活用したいと考えている人には、IoT向けスマートセンシングプロセッサ搭載ボードのSpresenseがおすすめです。省電力で高い演算能力を誇り、複数のマイクでの集音にも対応しています。高性能で信頼性のあるマイコンボードなので、ぜひ導入してください。